ノンケ提督が艦シーメール鎮守府に着任しました。   作:ゔぁいらす

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その先にあったもの

 救出作戦が無事に成功し、入渠している2人を除いた全員で食事を取っていた。しかし、俺はまともに食事をする事ができない状態に居る。

何故かって?そりゃ決まってるじゃないですか。見渡す限り胸!胸!胸!衣服の破れた所からあらわになる胸。そしてブラジャー!!そのちらっと見える物に何かしらの物を感じてしまう。こんなの目の前にしてたらご飯は何杯だって行けてしまうだろう。いやこれはあくまで比喩表現であって実際直面するととても落ち着かないし目のやり場に困る・・・それに何より目の前には胸が並んでいるが彼女等は皆男なのだ。それが一番の問題で・・・いやいやそう言う事じゃなくて胸が・・・

そんな事を考えていると

「提督君、どうした?あまり箸が進んでいない様だが」

長峰もとい長門さんが俺に声をかけ近付いてくる。ほほー無骨そうに見えて結構派手なブラジャーをしていらっしゃる・・・!いやいやそんな事考えるんじゃあない俺!邪念を捨てろ邪念を捨てろ・・・・俺は頭の中で邪念を捨てようと必死に頑張った。すると

「ん?顔が赤いぞ提督君。ちょっとこっちを向いてくれ」

そう言って長門さんは俺のアゴを持ってくいっと横に向けた。そして額を俺の額に当て

「なんだ。別に熱は無い様だが・・・」

と少し安心したように言った。一瞬自分が何をされたのか分からなかったが理解するのにそう時間はかからなかった。俺は尚更顔を赤くして

「ななななななななな何するんですか長門さん!!そんなはしたない事を!!!そそそそんなかかか顔がちかっかかかったですよ・・・・・」

と言葉に詰まりながら俺は言った。しかし女性(いや長門さんは男性なのだが)に急に顔を近づけられそして額と額が合わさるなんて言う事は今の今まで親にすらされた事が無かったし、それよりも無骨そうに見えても近くで見れば見る程美人だよなぁこの人・・・・いやいやいやそう言う事じゃなくてああもう!何だよもう何のこっちゃ分かんねえよ!!完全に美人さんだよ!こんな人に付いてるとかマジかよ信じらんねぇ!!!

俺は今更な事を頭の中で巡らせる。すると

「はっはっは。面白いな提督君。別に男同士だから気にする事も無いだろう」

長門さんは笑いながらバンバンと俺の肩を叩いた。

「いや気にしますよ!!もうちょい自分の見ためを自覚してくださいよ!端から見たらほんと美人さんなんですから!!!それに男同士でもこんな事しませんよホント!!!!それに胸!そんなビリビリに服破れてんですからあんまり見せびらかさないでくださいよ!!こっちも目のやり場に困って仕方ないんですよ!!!」

俺の頭に巡った考えがそのまま口から出てしまった。やべぇ言っちゃったよそれを聞いた長門さんは少しクスッと笑った後

「そ・・・そうか?私が・・・美人?余り陸奥以外にそう言う事を言われた事がないから・・・その・・・なんと言うか・・・恥ずかしいんだが・・・胸が・・・熱いな・・・・」

長門さんの顔がポッと赤くなって急に大人しくなった。そして何やら恥ずかしそうにしている。俺は誰かに助け舟を出してもらおうと辺りを見回すとニマニマと微笑ましそうにこちらを見ている高雄姉妹(兄弟?)

「ふふふっ♪提督?そんなに私達のおっぱい気になってたの?別に見せてあげても良いわよ〜♡なぁんちゃって」

「馬鹿めと言って差し上げますわ・・・ぷぷっ・・・」

この二人は完全に俺をからかって遊んでいる。そしてその横ではなにやらこちらを睨みつけている艦娘が2名・・・・何で俺睨まれてんの・・・・?このままじゃマズい。とりあえず大淀に声をかけてみよう。

「な、なあ大淀、しょ、醤油取ってくんないか?」

すると大淀は

「はい。かしこまりました提督」

と笑顔で言いながらすっと席を立ち俺の元へ醤油を取って来てくれる。何その笑顔めが笑ってないんですけど・・・・・そしてバァンと音を立てて醤油差しを俺の手元へ置き

「提督?お醤油取りすぎると身体に悪いので気をつけてくださいね?あっ、それと後でお話があるので執務室まで来てくださいね」

その言葉からは殺気すらも感じた。そしてもう一人、吹雪は自分の胸をみてまたブツブツと何かを言っていた。

ああ居辛い・・・・どうにかここを離れる言い訳を考えなければ・・・俺はそう思い、何かこの場を離脱する良い策は無い物か・・・いやあそれにしてもここに阿賀野が居たらもっと話がややこしい事になってただろうなぁ・・・・ん?阿賀野?アイツは今入渠してるからここに居ない訳で、もう一人一緒に那珂ちゃんも入渠してるんだよな・・・?あれ?一緒に入渠してるって事は二人で風呂に入ってるって事だよな?って事は阿賀野の下半身にアレが生えてるのが那珂ちゃんにバレるといろいろとヤバいんじゃぁないかな・・・・でも俺がそのまま大浴場に突っ込むのも良くないしそれとなく阿賀野に様子を聞く為に大浴場前くらいまで行ってみるか。もしかしたら那珂ちゃんが入渠完了するまで阿賀野は風呂に入らないで待ってるかもしれないし・・・・別にあわよくば那珂ちゃんの入浴を覗きたいなんてそんな事はみじんも思ってないんだからな!!意を決した俺は凄まじいスピードで目の前の夕食を掻き込み、

「ごちそうさま!ちょっとトイレ行って来ます!!」

とその場を離れ大浴場前に向かった。

 

 

さて、大浴場の脱衣所に到着した訳だが・・・どうやら阿賀野の姿も那珂ちゃんの姿も見えない。その代わりに大浴場の中から姦しい2人の話し声が聞こえてくる。一体中で何が起こっているんだ・・・・気になる・・・

俺は大浴場の戸に耳を当て中の様子を窺う事にした。

中では

「那珂ちゃんか〜わ〜い〜い」

「阿賀野ちゃん化粧品はどこの使ってるの〜?」

といったキャピキャピとしたガールズトークが展開されている・・・・男には分からん世界だ。いや阿賀野も男なんだけどなぁ・・・・

しかし聞いているだけでは飽き足らない俺は探究心だけはある男だ。ここまで来たんだ那珂ちゃんの裸を拝んで行こういや俺は阿賀野が困ってるかもしれないからちょっと中の様子を見るだけでそんなやましい気持ちは無い・・・ちょっとだけ・・・ちょっとだけ覗くだけだから・・・

その時の俺は女体に飢えていた。本当の女性の・・・股の下に何も無いスッとしているあの感じに飢えていたのだ。

俺はバレないように少しドアを開けそこから大浴場の中を覗き込んだ。

中では相変わらず阿賀野と那珂ちゃんが風呂に入りながら笑談していた。それからしばらくして阿賀野が

「那珂ちゃん、そろそろダメージも回復してきたみたいだし良かったら身体洗いっこしない?」

と那珂ちゃんに提案し始めた。良いぞ!GJだ阿賀野。これで那珂ちゃんの・・・女の子の全裸が拝めるぜ! いやちょっと待てよ・・・?そんな事したらマジに阿賀野が男だって那珂ちゃんにバレないか?一体どうするつもりなんだ?又でアレを挟んで女の子〜とかいう奴で乗り切るつもりなのか?そんな事を考えていると

「うん良いよ!」

と那珂ちゃんも承諾していた。

「じゃあ一旦お風呂出よ〜どっこいしょっと」

と阿賀野が浴槽から出て来た。うーむいつ見てもデカい。高雄さんや愛宕さん程ではないけどデカい・・・えっ?どっちの事かって?どっちもにきまってるじゃ無いですか。こんな可愛い娘のアレのサイズが俺より大きいとなんかヘコむよなぁ・・・そんな事を思っていると

「あ〜待って〜」

と那珂ちゃんも浴槽から身を乗り出す。

おお!小さめだけどハリのある美乳・・・最高だ。そして綺麗なお腹・・・・その下は・・・・その下は・・・・・・・んん?何だあの可愛らしいモノは・・・・えーっとあの・・・もしかしてもしかすると・・・・いやもしかしなくても那珂ちゃんって・・・那珂ちゃんも男かよお!いやまあアレだけ平然と阿賀野と一緒に風呂入ってたんだから当然と言えば当然か・・・・

「那珂ちゃんも・・・男・・・ハハァ・・・」

俺の口から乾いた笑いが漏れる。そんな時である

「あ〜!洗顔脱衣所に忘れたから取ってくるね〜」

と阿賀野は立ち上がりこちらに向かって走って来た。やっやべぇ!逃げなきゃ!俺の脳はその司令を即座に足腰に伝えたが那珂ちゃんが男だったというショックから腰が抜けてしまい盛大にすっ転んでしまう。

そして脱衣所の戸がガラッと開き

「さーて洗顔どこ置いたっけ〜あっ!提督さん!!何やってんの!?」

阿賀野に見つかった。ああ終わった・・・ああまたこれは大淀にぶん殴られるオチかぁ・・・いや一応弁明はしなきゃ

「いや・・・こっ、これはえーっと阿賀野が心配で・・・・」

そんな事をやっていると急に阿賀野に抱きしめられ

「あががががが阿賀野!?ぬっ濡れたままだだだだ抱きしめられたら俺もぬっ、濡れちゃうんだけどなぁ・・・」

とりあえず驚きやその他諸々の感情を押し殺しそれとなく阿賀野を離そうとしたそのとき

「提督さん。でももうちょっとだけこうさせて・・・・命令無視してごめんなさい。でも結果的に那珂ちゃんを助けられた。でも・・・私・・・怖かった。またここで沈むんだ。もう帰れないかもしれないって何回も思った。でも提督さんが私は私だって言ってくれたから・・・ありがと。提督さん」

そう言って阿賀野は更に強く俺を抱きしめる。俺は気の利いた一言を返してやりたかったが同年代くらいの女の子(厳密に言えば男)に抱きしめられたせいでなんと言ってやればいいのか分からず

「おっ、おう。良かったな阿賀野・・・お・・・俺も阿賀野が帰って来てくれた事が一番嬉しいよ・・・」

と適当な返事しか返せなかった。

「ふふっ、照れちゃって・・・私提督さんのそう言う所嫌いじゃないよ。」

阿賀野はそうクスリと笑った。すると大浴場から

「阿賀野ちゃ〜ん何してるの〜?」

と那珂ちゃんの声が聞こえる。

「あっ、いっけない!じゃあ阿賀野入渠に戻ります!じゃあね提督さん♡」

と阿賀野は俺を解放し、あざとく敬礼をしてから大浴場へ戻って行った。

「今のは一体なんだったんだ・・・・」

俺はその後数分感ほど放心状態でそこに立ち尽くしていたがここに長居するのはマズいとハッとなってその場を後にした。それからしばらくして大淀が話があるから執務室に来るようにと言っていた事を思い出し、どうせまた殴られるんだろうなぁと思いながら足取り重く執務室へ向かった。

そして執務室のドアをノックすると

「はい。どうぞ」

と大淀の声が聞こえたのでそのまま執務室へ入る。

「提督、早かったですね。」

大淀はまず始めにそう言った

「えーっと・・・あの・・・話って何だ?」

俺は聞きたくはなかったが早速大淀に話の内容を尋ねた。

「提督、任務の成功によってトラック、そして本陣から電文が届いています。読みますね」

そう言うと大淀は本陣からの文書を読み始めた。なんでもトラック周辺で突然通信機器が使用出来なくなる事件が多発していたそうで、その原因になっていた深海棲艦を阿賀野が沈めたらしい。その功績やらが認められうちの鎮守府に新しい艦娘が着任するという内容、そしてそれに伴って少しこの鎮守府を改築してくれるらしく、5月のゴールデンウイーク中にその工事を行う為その間の休暇が認められたという内容だった。

「との事なのですがどうされますか提督?」

と大淀に尋ねられる。

「えっ?ああ。別に良いんじゃないかな?全部本陣がやってくれるんだろ?それに改築してもらえるなら良い事じゃないか?」

俺はそう返す。すると。

「そうですか」

と大淀は少し複雑そうにそう言った。

「そう言えば大淀、話ってそれだけか?俺もっと怒られると思ってたんだけど・・・」

俺が大淀に尋ねると

「えっ!?いや・・・そのなんと言うか・・・・なんでも無いです!!」

と少し戸惑ったような表情でそう言った。

「ああそうか。じゃあもう良いか?それならその手続きとかの資料片付けるの手伝うよ。」

俺は大淀の持っていた資料に目を通し始める。

そして小一時間程経ち

「これでまあ今日の分は終わりだな。お疲れ」

俺がそう言って執務室を後にしようとすると・・・

「あの・・・謙!いえ提督!」

と大淀に呼び止められる。

「何だよ?まだ何か残ってんの?」

また何か悪い事でもしたのかなと思い俺がそう聞くと

「えーっと・・・あの・・・・いえ!なんでもありません。今日は疲れたと思いますしゆっくりお休みになってくださいね」

と大淀は少し言葉に詰まらせてからそう言った。

「ああ、お前も今日はゆっくり休めよ。じゃあお先に」

俺はそう言って執務室を後にし、俺達の長い一日は幕を閉じた。

後に阿賀野が交戦したという影の正体は軽巡棲鬼改という名前で呼称され、トラックで多発していた海難事故や通信障害の原因である事を本陣から知らされたが、それ以外の事は何も教えてもらえなかった。

 

そして次の日・・・

入渠も終わり那珂ちゃんはトラック泊地に帰る事になった。

「みなさん〜ありがとー☆」

那珂ちゃんは手を振って迎えに来た艦娘達と一緒にトラック泊地へと帰って行った

そして那珂ちゃんを皆で送り終えると

「では私も失礼しよう。ただ出掛けるとだけしか言ってこなかったのでな。陸奥が心配しているだろうし・・・世話になったな。それと・・・提督君・・・美人って言ってくれてありがとうな・・・」

長門さんもそう言って帰って行った。

「急に静かになったわね・・・」

「ええ寂しいわぁ〜」

と高雄さんと愛宕さんが言っている。

「司令官!色々お疲れさまでした!」

吹雪は俺に頭を下げる。

「ああ、吹雪もお疲れさま。そうだ!今日は皆に話があるから夕方に執務室に集まってくれ」

俺は皆に声をかけた。

そしてその場で皆は持ち場に戻ったのだが俺には行く所があった。

まず阿賀野の部屋へ行き

「阿賀野〜?今良いか?」

俺はドアをノックすると

「はーい。提督さん、ご用事?」

そう言って阿賀野が部屋から出てくる。

「ああ、おおとりの女将さんにお守り返しに行かなくっちゃ。お前も来いよ」

俺が阿賀野を誘うと

「うん!行く・・・肉じゃが・・・・」

と即答し口からよだれを少し垂らした

「おいお前食う事しか考えてねぇのな。まあいいやとりあえずそれのお礼を言いに行くから付いてこいよ」

俺は呆れたが

「うん!」

阿賀野は頷いた。

そして俺たちはおおとりへ向かった。

そしておおとりに到着した俺たちは慣れた手つきでインターホンを押すと少し経ってから

「は〜い。あら謙くん。それに阿賀野ちゃん!良かった・・・」

と女将さんは安心した表情で俺たちを迎え入れてくれた。

そしてカウンター席に俺たちを通すと

「阿賀野ちゃん待ってたわよ。この間謙くんが一人で深刻そうな顔でここに来た時はとっても心配だったけどちゃんと帰って来れて良かったわね。私も嬉しいわ。今日はごちそうしてあげる」

そう言ってコンロの鍋に火をかけ始めた。

「わぁい!阿賀野、女将さんの料理また食べられて幸せ〜」

阿賀野は横で嬉しそうにそう言った。そして俺は

「女将さん、お守りのおかげです。これお返しします。ホラ、阿賀野お守り出せよ」

俺は女将さんに一礼した後阿賀野にそう促した

「はぁい。女将さん。お守りと肉じゃがありがとうございました。ちょっと汚しちゃいましたけど・・・」

そう言って阿賀野はお守りを取り出し女将さんに渡した。それを受け取った女将さんは少しふしぎそうな顔をしてお守りを見つめた後。すこしほっとしたような表情になり

「このお守りのおかげねぇ・・・でもこのお守り、今は私が持っていても意味が無いから阿賀野ちゃん持っておきなさい。もうそれはあなたの物よ」

そう言って女将さんはお守りを阿賀野にもう一度渡した。

「えっ、でもこれ提督さんから聞いたけど大切な人から貰ったものなんじゃ・・・」

阿賀野はそう女将さんに尋ねる。しかし

「ええ、でもあなたに持っていて欲しいの。もしまた大切な人がどこかへ行ってしまいそうなときはそれをその人に渡してあげてね」

女将さんは笑ってそう言った。

阿賀野は

「大切な人に・・・かぁ・・・・なんかロマンチック」

と言った。すると

「あっ、そうだわ」

と女将さんは何かを思い出したかのように棚の引き出しを開け

「これ、懸賞で当たったんだけど私こういうのに興味ないし店の仕込みもあって行けないから二人にあげるわ。」

と何やら映画のチケットが入った袋をこちらに手渡して来た

「あっ、ありがとうございます。」

俺はチケット袋を明け中のチケットを見るとそのチケットには【シン・弩ジラ】と書かれており、その下には××シネマコンプレックス専用ペアチケットと書いてあった

どう考えてもこれは懸賞で当たった物ではなく女将さんが××ショッピングモールにある××シネマまで買いに行った物なのだろう。そんな事を考えていると

「ほっ、本当に懸賞で当たったのよ!?丁度2枚だったから謙くんと阿賀野ちゃんのデートにどうかなー・・・って・・・」

と女将さんは少し誤摩化そうとしたのかそう言った。ん?デート!?今デートって言ったかこの人!?

「でででデートって別に阿賀野と俺はそんな関係じゃ・・・」

俺はとっさにそう言おうとすると。

「ありがとうございます女将さん。阿賀野行って来ます!!」

と目を輝かせた阿賀野がそう言った。

「あら。喜んでくれて嬉しいわ。そろそろ肉じゃがが温まってきたわね。それじゃあお皿を取ってくるからもう少し待っててね。」

そう言って女将さんがカウンターを離れたのを見計らい俺は阿賀野に

「おい、お前・・・どういうつもりだよ」

と小声で耳打ちする。

「だって〜折角そう見えてたんならそっちの方が面白いと思ったから・・・それにお守りを貸してもらいにここに来たとき阿賀野とそんな関係だって思わせる感じで提督さんがお話したんじゃないの?でも折角だし良いでしょ?買物も行きたいし付き合ってよ。ね?」

と阿賀野は返す。

俺は少し思い返して恥ずかしくなったが確かにそう思われているのなら仕方ないなとも思った。

「ま、まあ別に買物行って映画見るくらいなら・・・」

俺がそんな事を言っていると

「お待たせ〜肉じゃがよ。」

と女将さんは肉じゃがを持って来てくれた。

「わーい!いっただきまーす!!!」

阿賀野はそれを見るや否や肉じゃがをほおばり始めた。

俺はそれを尻目にデートかぁ・・・いやいや阿賀野は男で・・と今まで何度も頭の中に駆け巡らせた思考を走らせる。いや、まあ同性の友達と映画行ったりする感覚で・・・・うーんまあでも阿賀野は作戦も頑張ったしそれ位はしてやってもいいかな。とも思った。そしてデートなんてものに縁の無かった俺はあんな事になるなんてその時は考えもしなかったのである・・・


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