ハイスクールD×D ~勝手に転生させられた男の話~   作:瞬殺

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女神のレイナーレが特訓します


第8話 レイナーレが特訓します!

 

 

「それで?なんで、この世界最強の龍神が零也の娘なの?」

 

 

「いやさ、さっき学校行く途中に出会ってさ。最初は迷子かと思って、それなりの対応をしてたんだけどさ。

 

調べてみたら、無限を司る龍神じゃないっすか!?みたいな感じで驚いて。

 

けど、よくよく考えてみたら、無限って無から生まれた存在なのよ。

 

だから、無を操る俺にとっちゃ、娘みたいな感じなのよ」

 

 

「なるほどね。だから、家に持ち帰って、一緒に住もうと」

 

 

「はい、そんな感じです。もしかして、ダメでしょうか?」

 

 

だったら、マジでどうしよう!?

 

レイナーレは恋人で大切だし、オーフィスは娘みたいな感じで大切だし。

 

あぁー!俺は、どうすれば良いんだー!

 

 

「いいんじゃない?」

 

 

「え?」

 

 

俺の口から、気の抜けた声が出た。

 

 

「だって、ここの家は零也の家だし。私だって、居候させてもらってるみたいな感じだし。

 

だから、私がダメとか言う権利はないと思うの。おかしいかしら?」

 

 

「さ……さすが、俺の彼女だぜ!レイナーレ!」

 

 

俺は、嬉しさのあまりにレイナーレに抱きついた。

 

いやー本当に良かった!マジで良かった!

 

嬉しすぎて、涙が出ちまいそうだぜ。

 

出ないけど。

 

 

「零也、そいつ誰?」

 

 

ここで、今まで俺の家を見ていたオーフィスが話してきた。

 

俺の家に着くなり、興奮した様子で俺の家を見回っていた。

 

オーフィスは、好奇心旺盛なのだろう。

 

それは何よりだ、元気が一番だからな。

 

 

「お前のお母さんだよ。名前は、レイナーレ」

 

 

「お母さん?」

 

 

「ちょっと///それって、どういう意味よ///」

 

 

「別に良いだろ?お前は俺の嫁候補なんだし。あれ?もしかして、嫌だった?」

 

 

「そんなことはないわ///ただ……そうなんだ、結婚してくれるんだ」

 

 

レイナーレは小さく言ったつもりだったらしいが、俺の耳はバッチリと聞き取っていた。

 

いや~、体が凄いことだけが取り柄なんで。

 

 

「零也がお父さん、レイナーレがお母さん、我が娘……家族?」

 

 

「そうだ、俺たちは家族だ。そうだろ、レイナ……」

 

 

レイナーレにも、家族っと言ってもらいたかったが、彼女の様子がおかしかった。

 

顔は少し赤くて、顔も少しにやけていた。

 

なぜ、レイナーレがこんな状態になっているか考えてみたら、1つあった。

 

 

『零也がお父さん、レイナーレがお母さん、我が娘』

 

 

多分、超絶可愛い娘にお母さんと言われ、嬉しくてたまらないのだろう。

 

俺は少し耐性が出来たが、レイナーレは初めて呼ばれたので、こんな状態になってるのだろう。

 

 

「どうしよう、零也。この子が物凄く可愛く見えて、物凄く守りたいと思ってるんだけど」

 

 

俺はレイナーレの肩に手を置いて、同情するかのように言った。

 

 

「レイナーレ。お前は母親になったんだ、オーフィスが俺らの娘だ」

 

 

「私が母親で。この子が、娘」

 

 

レイナーレがそう言うと、オーフィスが可愛らしく首を傾げた。

 

 

「お母さん、どうしたの?」

 

 

「零也!いますぐに、家族写真を撮るわよ!早く、カメラを持ってきて!」

 

 

「任された!」

 

 

俺は、2階にあるカメラを全速力で持って来た。

 

その時間、わずか0.5秒。規格外も良いところである。

 

すぐにカメラを持ってきた俺は、カメラを設置し、10秒後にタイマーをセットした。

 

 

「準備完了!」

 

 

「さ、はやく!零也が右、私が左で、オーフィスは真ん中ね」

 

 

「うむ、分かった」

 

 

並び終わった後に、カメラに視線を向けた。その少し後に、シャッターが切られた。

 

三人で一緒にその写真を見ると、三人とも笑っていて、とてもいい写真になった。

 

この写真は俺の一番の宝物だ。

 

 

† † † † † † † † † † † † † † †

 

 

俺が学校に行く時には、もう日が沈みかかっていた。

 

だったら、学校に行かなくても良いだろ?

 

と、考えていると思うが、さすがに今日行かなかったらリアス・グレモリーに殺される。

 

そんな感じがしたので、学校に向かっていた。

 

オーフィスが一緒についてこようとしていたが、さすがにつれては行けなかった。

 

世界最強と言われている無限の龍神が現れたら、ビックリするに違いない。

 

そう思った俺は、名残惜しかったが、レイナーレにオーフィスのことを任せ、家を出た。

 

オカルト研究部に着いた俺は、少し開けるのに戸惑っていた。

 

昨日の件で、どんなことを言われるのか?マイナスなことばかりを考えていた。

 

だけど、はやく帰ってオーフィスに会いたいので、意を決して扉を開けた。

 

部室の中には悪魔に転生したアーシアと小猫ちゃん、それと木場がいた。

 

アーシアが、俺が扉から入ってきたことに驚いていた。

 

すぐに彼女は俺に、お礼の言葉でも言いたかったのだろうか?

 

俺のところに来ようとしていたが、リアス・グレモリーの言葉で足が止まった。

 

 

「あら、来たわね」

 

 

リアス・グレモリーが、その背中から物凄い怒気を発しながら言った。

 

正直、俺でも少し怖いと思った。

 

 

「い、イッセーは?」

 

 

「チラシを配りに行ってるわ」

 

 

「そ、そうなのか……」

 

 

俺がそう答えると、部室内がいや~な空気になった。

 

1人、アーシアがこの状況に対してオロオロしていたが、リアス・グレモリーは気にせず喋った。

 

 

「席に座ったらどう?立ち話もなんでしょ?」

 

 

口調はこんな風に優しいが実際は、背中から『早く座れ、でないと殺す!』

 

みたいな、オーラが物凄く出ていたので、言われた通りにソファに座ったら。

 

向かい側のソファに3人がいて、皆、俺の様子を伺っていた。

 

 

「それで、話してくれるんでしょ?あなたの正体を?」

 

 

いい加減、隠しきれるのに限界が来たようだ。

 

ここは、潔く正体を明かすしかないか。

 

 

「俺の正体は、秘密裏に三大勢力を探る、いわゆるスパイなんだ」

 

 

残念でした!

 

この俺が、易々と正直に招待を明かすと思ったか?

 

 

「秘密裏に三大勢力を探るスパイ?それはどういうこと?」

 

 

「俺はもともと人間だが、少し事情があってな、お前の兄の魔王と会うことになったんだ」

 

 

「そんな話、聞かされてないわ!」

 

 

「当たり前だろ?これは国家レベルのことなんだからさ」

 

 

いいぞ、いいぞ。順調にリアス・グレモリーが信じてくれている。

 

この調子で行けば、俺の正体がバレずに済むだろう。

 

 

「それで、その内容は?」

 

 

「ここだけの話だぞ。俺の任務は、悪魔側と天使側と堕天使側の監視だ」

 

 

「天使側と堕天使側は分かるけど、なぜ悪魔側も監視をしないといけないの?」

 

 

「上級悪魔辺りの奴等が、なにかよからぬことをしているらしい。

 

俺も魔王から聞かされた話だから詳しくは分からん。いまのところ、まだ証拠は掴めてない」

 

 

まぁ、こうも平然に嘘が言えるね、俺。

 

自分でも少し引いてるよ。

 

 

「それじゃ、昨日の堕天使レイナーレの件はどうなの?あなた、自分で彼女とか言ってたわよね?」

 

 

「それは、堕天使側の情報をうまく引き出すためだよ。

 

俺が堕天使と付き合えば、なにかと堕天使と仲良くなる。

 

そいつらの信用をあげることによって、簡単に内部のこととか知れるってわけだ」

 

 

ごめんよ、レイナーレ。いまはこうするしかないんだ。ちゃんと君のことは愛してるから!

 

 

「そうなの……あなたも色々と大変ね」

 

 

「もう慣れたさ。天使側はいまのところは異変はない。こちらから攻撃をしなきゃ問題はないだろ」

 

 

「そう……ありがとう、悪魔の為に色々とやってくれて。それなのに私は、あなたのことを疑って……」

 

 

おいおい、これは予想以上の効果だぞ!?

 

どうする、いつしか俺が神だってことはバレる。その時に、こいつはどうするだろうか?

 

うん、俺を殺しに来るね。なんの躊躇いもなく、全力で殺しに来るね。

 

あぁ、その時になったらどうしよう?

 

けどいまは、全力で演技を続けるしかないな。

 

 

「いいんだ。俺もそういうのを覚悟して、この仕事を受けたんだ。お前の考えは正しいよ」

 

 

何を言ってるんですかね、俺は!?

 

いくら演技とは言え、これは流石にマズイでしょ!?

 

バレたときが物凄くマズイことになるって!

 

 

「ごめんなさい。もう、帰って大丈夫よ。お仕事、頑張ってね」

 

 

「おう、任せとけ」

 

 

そう言って扉から出て行こうとしたが、アーシアがそれを止めた。

 

 

「あの!零也さん!」

 

 

「アーシアか……すまないな、お前を見殺しにして」

 

 

「いいんです!零也さんが私のことを考えてしてくれたと、イッセーさんから聞きました!

 

だから、ありがとうございました!私を助けてくれて!」

 

 

「そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ。じゃあな、アーシア」

 

 

今度こそ、扉を閉めて部室から出ていった。

 

あーあ、最後に言われちゃったよ。

 

たっく、アーシアは優しすぎる。それが、彼女の美点でもあり、欠点でもあるけどな。

 

はぁ~、はやく家に帰ってオーフィスに癒してもらお。

 

 

リアスside

 

 

まさか、彼が悪魔側の関係者だったなんて。

 

だとしたら、今までの行動にも説明がつく。

 

私達の戦力を見に来たと言ったのにも納得がある。

 

それなのに私ときたら……考えもしないで、ただ自分の感情に任せて動いてた。

 

彼が、国家レベルの任務をしていたことなんて考えずに、彼にはきつく当たっていた。

 

彼が人間でもなく、悪魔でもなく、堕天使でもなく、天使でもないって言ってたことは!

 

人間を捨てて、どんな存在にもなれない存在になったことだったのね!

 

あぁ、私はなんて愚かなの!

 

そんなことも知らずに私は、彼に酷いことをしてしまった!

 

彼が、今までどんな気持ちで私たちに接して来たのも考えずに!

 

あぁ、私は愚かだ。なにも考えずに行動してきた。

 

せめてもの償いとして、これからは彼に優しく接しよう。

 

そんなことで彼の心の傷は癒せるとは言えないが、少しでもいまの人生を楽しんでほしい。

 

だから、生きてることが辛いと思わないで!小林!

 

 

side out

 

 

翌日。

 

朝ごはんを作るために早く起きた俺は、キッチンで料理をしていた。

 

いつもなら、この時間帯に起きなくても料理は出来るのだが、

 

これからは3人分の料理を作らないといけないので、こうして早起きしている。

 

レイナーレとオーフィスは可愛い寝顔で二人仲良く寝ていた。

 

料理を作ってる最中、窓からイッセーとリアス・グレモリーが一緒に走っていた。

 

とは言っても、リアス・グレモリーは自転車だが。

 

なんで、この時間帯に走っているのか考えていると、1つ思い付いた。

 

前の教会の事件の時に、リアス・グレモリーはイッセーの戦力の増強を考えたのだろう。

 

それで、手始めに基礎体力から鍛えようと思ったのだろう。

 

これだな、多分あってる。

 

だとしたら、俺も呼んで欲しかった。

 

イッセーが強くなることは、俺にとっても嬉しいことだ。

 

あ、でも、これからは料理があったんだ。

 

はぁ~仕方ない。

 

イッセーの特訓は今のところはリアス・グレモリーに任せよう。今のところはな!

 

と、思ってる間にお米が炊けたようだ。

 

今日の朝ごはんは、定番に鮭と卵焼きと味噌汁で行こうと思っている。

 

少々、少ない気もするが、味は俺の母さんが保証している。

 

鮭を焼く行程に入ろうとしたが、オーフィスが起きてきた。

 

 

「おはよう、零也」

 

 

「おはよう、オーフィス。顔を洗って、歯も磨いてきな」

 

 

「うむ、分かった」

 

 

そう言うとオーフィスは、少し眠そうに目を擦りながら行った。

 

それを見送った俺は、鮭を焼く行程に戻る。

 

うちのキッチンは、なかなか設備がよく、とても使いやすい。

 

母さんが多分、家を作る時に提案したのだろう。

 

3匹の鮭をグリルに入れ、後は焼けるのを待つ間、味噌汁の準備に取りかかる。

 

とは言っても、お湯にスーパーの味噌を入れれば完成なんだけどね。

 

俺が味噌を溶かしている時に、オーフィスが戻ってきた。

 

 

「零也、終わった」

 

 

「それじゃ、テレビでも見てたらどうだ?」

 

 

「そうする」

 

 

いや~うちのオーフィスは素直でいい子ですわ~

 

間違いなく将来は素晴らしい大人になるでしょう。

 

あ、オーフィスは龍神だった。姿、自由自在に変えられるんだっけ?

 

ま、その話は置いといて。

 

今度はレイナーレが起きてきた。

 

髪がボサボサで少しだらしないが、そんな彼女の姿も可愛いと思えた。

 

 

「おはよう~零也~」

 

 

「おはよう、レイナーレ。お前も洗面所に行って、髪型とか直してこい」

 

 

「うぅ~分かった~」

 

 

レイナーレは朝が苦手なようだ。

 

そう思ってる間に味噌汁が完成し、次は卵焼きの番だ。

 

うちの卵焼きは、ご飯が進むように醤油を少し多く入れるのが特徴だ。

 

だが、少なすぎると味が薄くなり、また濃すぎるとしょっぱくなる。

 

簡単そうに見えて、意外と繊細な作業なのだ。

 

卵を溶いたあと、醤油をいれる。

 

そして、専用の道具を使って、卵を焼く。

 

少しずつ溶かした卵を入れていき、厚さを増さしていく。

 

そして、焼き終わった後に1つ食べ、味を確かめる。

 

うん、美味しい。

 

その時に、ちょうど鮭が焼き上がった。

 

お皿に料理を盛り付けていき、テーブルに料理を置く。

 

オーフィスも料理が出来たことに気づいたみたいで、テレビを見るのをやめ、こちらに来た。

 

そして、レイナーレが洗面所から戻ってきたので、それぞれ椅子に座って。

 

 

「いただきます」

 

 

「「いただきます」」

 

 

その、朝ご飯の時間はとても充実していた。

 

オーフィスが意外と大食いで驚き、レイナーレが自分より料理が上手いと言って、落ち込んだり。

 

それを、オーフィスが慰め、すぐに機嫌を取り戻すレイナーレ。

 

とても、楽しい時間だった。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

「「ごちそうさまでした」」

 

 

食べ終わった後に、俺は学校へ行く準備があるので二人に皿洗いを任せた。

 

そして、玄関を出ようとしたが、レイナーレに手を捕まれ、止められた。

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「行ってらっしゃいのチュー」

 

 

「あ、そういうこと」

 

 

俺は、触れる程度のキスをレイナーレにし、玄関を出る。

 

 

「それじゃ、行ってくるから、留守番よろしくな」

 

 

「行ってらっしゃい、零也」

 

 

「行ってらっしゃい」

 

 

見送られるって、いいな。

 

 

† † † † † † † † † † † † † † †

 

 

学校に着いた俺は、イッセーと少し気まずくもなりながら、良好な関係に戻れたと思う。

 

それと、うちのクラスにアーシアが転校してきた。

 

ま、完璧にリアス・グレモリーのせいだな。

 

あいつが兄に頼んで、無理やり学校に入れたのだろう。

 

それだけなら良かったが!

 

アーシアが、イッセーの家にホームステイをしてるとか言ったので、松田と元浜と一緒にイッセーを殴った。

 

癒しのアーシアと一緒に過ごしてるなんて、許さん!

 

この調子だと、リアス・グレモリーも一緒に住んでいそうだな。

 

クソ!羨ましいぞ、この野郎!

 

あれ、そういえば俺も似た状況じゃね?

 

癒しのオーフィスとレイナーレ。

 

うん、全く一緒だ。

 

だが、お前を許すとは言ってないぜ、イッセー!

 

ま、とりあえず学校は平和でしたよ。

 

 

「さーて、レイナーレ。今日からお前を鍛える!」

 

 

「え?急にどうしたの?」

 

 

家に帰った俺は、堂々とレイナーレに宣言した。

 

ちなみに、オーフィスは大人しくテレビを見ています。

 

 

「レイナーレ、お前は仮にも神様なんだぞ?その神様が弱くちゃ話にならないだろ?」

 

 

「うっ!ま、確かに、その通りだけど~」

 

 

可愛く言ったって、今日は折れないからな。

 

 

「なので、とりあえずお前を、オーフィスと同じくらいに鍛えようと思います」

 

 

「え!?無理無理無理!世界最強の龍神と同じくらいとか!」

 

 

「お前はそれでも母親か!」

 

 

「うっ!」

 

 

「いいか?もし、オーフィスの身になにかあって、俺がいないとき、助けられるのはお前だけなんだぞ?

 

その時のためにも鍛えておいたほうがいいんじゃないか?」

 

 

「で、でも……」

 

 

む、なかなか折れないな。

 

ま、無理もないか。

 

いくら神とはいえ、その神を越す力を持つオーフィスと同じくらいに強いとか考えられないよな。

 

うぅ~と、俺がどうやってレイナーレを説得しようか考えていると、

 

オーフィスがテレビを見るのをやめ、レイナーレのところに行った。

 

 

「お母さん、頑張って」

 

 

「零也!今すぐ私を鍛えて!オーフィスと同じじゃなくて!

 

オーフィスを越える力を手に入れないと、母親としてのメンツが立たないわ!」

 

 

そうだった、こいつも超がつくほどの親バカだった。

 

それから、レイナーレの特訓が始まった。

 

すぐに準備に取りかかった俺は、いつもの神様ゾーンを作りだし、レイナーレとオーフィスを入れた。

 

 

「なに、ここ?」

 

 

「この空間は、こっちでは一年の時間が、現実世界だと一時間という感じになっている」

 

 

「なにそれ!?てことは、こっちで五年過ごしても、あっちでは五時間しか経ってないの!?」

 

 

「その通りだ、我ながら規格外のことをしてしまった」

 

 

自分でもこの空間には少し引いている。

 

どんなに俺が本気を出そうと壊れないし、無の力を使っても壊れないので本当にヤバい空間だ。

 

なので、いくら無茶なことをしようと安心して特訓が出来るってわけだ。

 

 

「それじゃ、特訓を始めるぞ」

 

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

 

うむ、気合いはよし!

 

とりあえず、レイナーレには無の力のことを教えた。

 

とはいっても、俺も詳しいことは知らないので、それっぽいことを言っておいた。

 

この力は考えて使うんじゃなくて、感覚的に使うほうが正しい。

 

このようになるから、こう。ではなくて、こうだから、こう。

 

みたいな感じでやっていかないと、この能力はとてもじゃないが使えない。

 

なので、レイナーレには発想力を鍛えてもらうことにした。

 

無の力は、はっきり言ってなんでも出来るので、そのなんでも出来る力を使いこなさなきゃいけない。

 

ま、そこら辺の詳しい話は飛ばして、次の話をしましょう。

 

能力の制御や使いかたを覚えたレイナーレは最終試験に望むことになった。

 

そう、実戦経験だ。

 

この経験がなくては、とてもじゃないが戦闘では使えない。

 

それに、実戦で培う、感というのも育てないといけない。

 

そういうところを含めて特訓を開始した。

 

ま、ただ俺とオーフィスが攻撃をして、それをレイナーレが身体能力で交わしたり、

 

能力で消したり、逆に攻撃したりをした。

 

そのお陰でいまは、俺を越すには遠いが、オーフィスと互角に戦えるようまでになった。

 

だけど、彼女は互角ではダメだと言うので、もう少し鍛えた。

 

その結果、レイナーレはオーフィスを越えた。

 

オーフィスは負けたことに少し悔しがっていたが、どこか満足したような顔をした。

 

レイナーレの特訓が終わり、現実世界に帰って来た俺たちは風呂に入り、すぐ寝た。

 

流石に疲れた。

 

なので俺たちは、すぐに夢の世界に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ん?ここは何処だ?』

 

 

「ここはお前の夢の世界だよ、小林零也」

 

 

俺の前に、赤い髪、そして黄色い目をした幼女がいた。

 

それだけならまだ可愛い子だな、としか思わなかったが、その体に纏う気迫が普通とは違っていた。

 

それは、強者の気迫。しかも、相当の手練れの気迫。

 

俺は、能力を使って彼女のことを調べることにした。

 

 

【全てを見通す能力】

 

 

真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド

 

種族:ドラゴン

 

夢幻を司る龍神。

 

この世界において『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス並び、世界最強の存在。

 

夢幻の幻想から生じたとされる存在。

 

 

なるほど、こいつがグレートレッドか。

 

確かに、これならオーフィスを倒したのを頷ける。

 

その身に纏うオーラ、間違いなく世界最強を名乗るだけのことはある。

 

 

『それで?グレートレッドがm俺になんのようだよ?わざわざ、人の夢に潜り込んでまで』

 

 

「気分を害したのならすまない。ただ、お前に言いたいことがあったのだ

 

 

『言いたいこと?』

 

 

「オーフィスを幸せにしてくれないか?」

 

 

え?なぜ、次元の狭間からオーフィスを追い出したくせにこんなことを言うんだ?

 

もしかしたら、それなりの理由があったんじゃないか?

 

 

『なぜ、オーフィスを次元の狭間から追い出したんだ?』

 

 

「仕方がなかったのだ。無限と夢幻が一緒にいると、それだけで矛盾が生じる。

 

かと言って、オーフィスに次元の狭間を任すと、大変なことになる。

 

だから私は、仕方なくオーフィスを追い出したのだ」

 

 

ふむふむ、なるほど。

 

確かに、無限の力と幻の力では、矛盾が生じるな。

 

それだけで、現実世界が崩壊する可能性もある。

 

なんだ、ちゃんとした理由があるじゃないか。

 

こいつは、現実世界のことを考えて、オーフィスのことも考えてくれていたのか。

 

結局、オーフィスの早とちりだったわけか。そんなことだと思ったぜ。

 

こんなにオーフィスのことを考えてくれているのに、肝心のオーフィスは嫌ってる。

 

なんか、こいつがかわいそうだな。

 

そうだ!いいことを思い付いたぞ!

 

 

『グレートレッド、俺の娘になれ!」

 

 

「はぁ!?お前は一体なにを言っているのだ!?」

 

 

『お前が、オーフィスのことを大切にしているということは、大変よく分かった』

 

 

「べ、別に。そんなんじゃないし」

 

 

おいおい、まさかのツンデレですか?

 

意外と可愛いじゃないか。

 

 

『なのでお前には、俺の娘になり、オーフィスの姉になってもらう!』

 

 

「ちょっと待って!仮に私がそのことを承諾しても、肝心のオーフィスはどうするのだ!?」

 

 

『そこは任せておけ!俺のお父さんパワーでなんとかしてみせる!」

 

 

「なんとかって……はぁ~分かったよ、行けばいいんでしょ、行けば。

 

だけど、オーフィスが拒否したら、この話はなしね」

 

 

『おう!任しとけ、我が娘よ!』

 

 

「はいはい、頑張ってね、お父さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン

 

 

「はっ!?夢か……なんて、落ちにはさせないぜー!」

 

 

こうして、お姉ちゃんにさせよう大作戦が始まったのだ。


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