HRの後には授業…という決まりはありません。   作:飄零

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第4話 闇のオークション

どれほどの間意識を失っていたのだろうか。

やっとの思いで目を開ける。

しかし目に映ったのはリムルーブ城までの道のりである草原の草や森の木ではなく石で出来た壁と自分の手足を縛り付けている鋼鉄の何かだった。

手足は自由に動かせず動かそうとすれば金属の擦れる音が響くだけ。どうしようもないこの状態に俺は何が起きたのか記憶にある部分だけで把握しようとした。

 

リムルーブ城でカルロスさんに説明された任務。

そしてその任務において盗賊が出るかもしれないのにもかかわらずあまりにもバランスのかけるパーティ編成。

そして何より重要なのが最後に見たルーブさんによる裏切りと言える行為。

その後どうなったのかわからないが俺が生きているという事はマルクやフィンそしてサーシャも生きているのだろうか?

そしてここはどこか。他の3人もここにいるのかどうか。

 

色々なことが頭の中で整理されていく。

そんな事をしている間に誰かがこちらに近づいてくる音がする。

金属の擦れる様な音もするがマルク達だろうか?

と思っているとその姿は現れた。

盗賊2人と真っ白な肌の少女だった。

盗賊が俺のいる部屋の鍵を開け俺を立ち上がらせる。

朝の拘束具のみ外され手は相変わらず不自由のまま俺は女の子と共に歩かされた。

ここがどこで何をする場所なのか。

盗賊に聞くわけにもいかず黙って後ろを歩く。

その間俺と少女以外の人を見かけなかった。

しかしそれはマルクやフィン、そしてサーシャがここには居ないという事を意味していた。

そして再び頭の中で考えをまとめる。

 

ここにいる俺と少女は殺されなかったという事は囚われたらここに連れてこられる。

連れてこられていないマルク達は無事に逃げだしリムルーブ城へ向かったのではないかという事。

 

考えがまとまり今ここにいるのは俺とこの少女だけということがわかったあたりで俺たちは外に連れ出された。

急な太陽光に目が慣れず目を開けられずにいるとここがどこなのかというのが一発でわかる発言を盗賊の1人がした。

 

「大変お待たせしました。最後はこちらの二人!一件は普通の人ですがこの女の子の方は今はもう絶滅したのではないかと思われているルネ族!! さらに男の方は…」

 

その発言を聞いてる間に目は慣れあたりをしっかりと把握する。

近くにいるのは盗賊2人。この何かを仕切っている司会者が1人。

そしてここを埋め尽くす様に貴族のような人達がずらりと並んでいた。

貴族は一人ひとりが手を挙げ金額を叫ぶ。

ここがオークション会場で俺と少女はオークションにかけられる人という事だ。

ふと少女の方を見ると顔色があまり良くなく今にも倒れそうな感じだった。

すぐに終わるだろうと思い待つと一人の貴族が壇上に上がり俺と少女を見つめる。

手の拘束具を外すため盗賊が俺の手に触れ鍵を回し、手の拘束具が外れた瞬間、俺は思いっきり足を振り上げ盗賊の顎を蹴り上げた。

盗賊が倒れる前に短剣を借りる。

そして少女の方にいる盗賊にも顎先を殴る。

そして手に持つ短剣が二本となった所であたりの時間は動き出す。

司会者は怯えた表情でこちらを見ながら逃げだし貴族は完全に動きを止め現状の把握をしようとしていた。

壇上にいない貴族は我先にと出口に向かって走りだす。

他にも警備用に隠れていたのであろう盗賊が現れる。

その数は3人。

短剣をそれぞれ逆手に持ち替え壇上から降り盗賊を倒さんと動きだす。

相手の盗賊はこちらを殺す勢いで短剣を振り下ろしてくる。二本の短剣で攻撃を防ぎながらどこかで一撃を入れようと様子を伺う。

城でやっていた訓練とは程遠いこの戦いに未だ殺すことに少しの抵抗を感じていた。

しかしその抵抗は一瞬にして消えさった。

何故なら盗賊の一人が少女を人質としたからだ。

今にも倒れそうな少女は拘束具が外されているが立っているのでやっとなのだろう首元にナイフを当てられているが全く抵抗せずにいた。

 

「おい、そこのお前! 今すぐその短剣を捨てろ。じゃないとこの子を殺すぞ?」

 

まだ知り合って数分、というか話すらしたことのないはずの相手だが無視するわけにはいかず相手の盗賊の攻撃を短剣で受け流すと同時に手を離そうとした。

しかし盗賊の攻撃を受け流すために短剣で攻撃を受けた瞬間壇上の方から電気が見えた。

一瞬何が起きたのかわからなかったがその電気とともに盗賊は倒れる。

相当な電圧だったのだろう少し焼け焦げた盗賊の死体があった。

これなら少女は人質になる事はないと思った矢先。少女は完全に意識を失ったのか倒れてしまった。

 

盗賊は味方の急な死に未だに理解出来ず動けていなかった。

その隙を逃すことなく首元に当てたナイフを引き絶命させる。

そして残った1人の盗賊を倒す為走り出そうとした時頭の中で何かが閃く。

足の裏に力を溜め一気に間合いを詰める。

急にそんなことを思いつく。

足の裏に力を溜めている間に盗賊は完全に意識を失った少女を再び人質にしようと走りだす。

盗賊の走る先に向かって溜めた力を解放する。

《双剣技 疾風撃》

すると盗賊は目の前に現れた、いや自分が盗賊の前に立っていた。

そして喉元には自分の持つ短剣が構えられていた。

その行為に盗賊は完全に戦意を喪失したのか短剣を床に落とした。

 

その後自分のつけられていた拘束具を盗賊に付けた俺は盗賊から色々な話を聞き出した。

 

「今からする質問には答えてくれ。 拒否権は…ない。

俺たちを襲った後俺だけをここに連れてきたのか?」

 

「あぁ。 俺たちはあんたしかここには連れてきていない他の連中なら今頃リムルーブ城にはいるんじゃないか?」

 

質問に対し間を開ける事なく答えていく盗賊。

 

「俺だけを連れてきだ理由はなんだ。 オークションで高く売れるからか?」

 

「いや、それだけじゃない。命令されたんだ。リムルーブ城の王様に。」

 

「ここに連れてきて売りさばけってか?」

 

「正確には王様はあんたを殺す事を俺たちに依頼した。

けど、俺たちだってそんな殺せと言われたからといって殺すような極悪非道な奴らじゃない。そんな時にカルロスっていう騎士団長さんが殺したと見せかけてくれって頼んできたんだ。それも酒付きでだ。

そんなわけで俺はカルロスって人の話を聞いた。マルクって言ったっけか? あんたの仲間達はカルロスに雇われた冒険者見習いさ。 俺たちとあそこで遭遇した後ルーブの毒針であんたを眠らせる。それを見た奴らはリムルーブ城まで戻ってあんたの死をみんなに伝えるってわけさ。」

 

「つまり俺をオークションで売ろうとしたのは酒だけじゃなくて金を得ようとしたからか?」

 

「あぁ まさかあんたにあんな剣技が使えると思ってなかったからな。5人なら暴れられても確実に売れると思ったんだ。」

 

「なるほどな。 それでここはどこだ。リムルーブ城からは遠いんだろ?」

 

「ここは裏オークションの会場ってだけで場所に名前はねぇ。 地図にものらない場所だからな。 だがここを出て北東に歩いて行くとフェルダースって街に着く。 あの街なら色々とあるしリムルーブについても知れる筈だぜ。それとお前さんの武器だが出口のすぐ隣にあるスイッチを押すと出てくる階段の下だ。 お前さん以外にも過去にここに捕まった奴らの武器もある。好きなもんを持ってきな。」

 

「そうか。ありがとう。」

 

そう言って少女を背中に背負い出口に向かって歩きだす。

壁のスイッチを押し現れた階段を下るとそこにあったのは片手で振るのに丁度よさげな剣が二本と俺の使っていたポーチ、そのほかにも色々なものがあったが荷物が増えると少女を背中に背負いながらの移動が困難になるためポーチと剣を二本だけ取って階段を再び上がる。

すると先ほどまでいた盗賊は消えていたが再び襲いにくるような奴でもないだろうと思い特に散策する事なくフェルダースへ向かって歩き出した。





この前たまたま見たらUAが100超えてましたw
皆さんありがとうございます。
これからも少しずつ書いて行きますのでよろしくお願いします。

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