コジマティック・ストラトス   作:禿げ眼鏡(三十路)

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皆さんお久しぶりです、遅くなりました。


突入!アンデス要塞!

灰色の男達の所在が判明した翌日、学園からある機体が音速で飛び立った。

 

コジマ大帝ことヴァルター・クリューガーとその愛機、コジマ・エンペラーである。

 

エンペラー《良いのか?主だけで彼の地に向かうというのは。》

 

ヴァルター「なーに、学園と企業連にも了承は取り付けてあるし、このVOB(ヴァンガード・オーバード・ブースター)の性能も試したかったところさ。」

 

時速2000kmを出す巨大な背部ブースター、ヴァンガード・オーバード・ブースター。GA傘下企業の1つであるクーガーが開発した超長距離用大型ブースターである。といっても試作機故に主翼や尾翼があるわけでもなく、ただ推力にモノをいわせて無理矢理飛ばすというあまりにリスキーな装備(変態過ぎるロケットブースター)な代物である。

 

ヴァルター「どのみち待つなんて私の性に合わん。動く時は動かねばならんからな。それに・・・」

 

エンペラー《それに?なんだ主よ。》

 

ヴァルター「シャルルや恭一少年を連れて行く訳にはいかん。シャルルはともかく、恭一少年はまだ15だ。人殺しの十字架を彼らに背負わせる事は私自身が許さん。背負うのは私だけで十分だ。」

 

エンペラー《ふむ・・・》

 

恭一達に人殺しの十字架を背負わせる訳にはいかないという考えはある種の傲慢かもしれない。また彼が大帝という異名を自ら背負っていると同時に自身が矢面に立つ

覚悟も背負っていた。

 

エンペラー《しかし主・・・いやヴァルターよ、お前ほんとは・・・

 

 

 

 

 

 

お前一人で敵さんをコジマ色に染めたいだけだろ?》

 

ヴァルター「はははははは!バレてたか!」

 

エンペラー《わからいでか》

 

『HAHAHAHAHAHAHAHAHA!』

 

ほんとはコジマ汚染患者を増やしたいだけだった(笑)

 

 

 

 

そして数時間以上かけてチリの領海に到達した。既に企業連からチリ、アルゼンチン両政府から領海・領空の進入の承諾を得ており、ヴァルターを阻む然したる障害はなかった。

 

VOBをパージした後、灰色の男達の本拠地であるアンデス山脈付近の基地までに到達しかけたその時である。

 

エンペラー《主よ、敵のお出ましだ》

 

ヴァルター「見えている。ゴリアテが15機か・・・大した数ではない。」

 

敵の機動兵器、ゴリアテが15機出現した。先の戦いに壊滅した機関が作った機動兵器で機体の中には生体コアユニットとして造られたクローン人間を搭載している。

 

ヴァルター「では、攻撃開始と・・・」

 

接近してきたゴリアテに対し攻撃をするまさにその瞬間!

 

エンペラー《後方から高熱源反応!来るぞ!》

 

ヴァルター「!」

 

ビィィィィィィィィィ!

 

後方から放たれた5本の光、その光はヴァルターの眼前にいたゴリアテ部隊の半数を焼き払った。

 

ブレイズ《こちらラーズグリーズ隊、貴方の突入支援の為に来ました!》

 

ヴァルター「ほう、ラーズグリーズか・・・助かる」

 

企業連直属戦闘機部隊、ラーズグリーズ隊がヴァルターの基地突入の支援に参戦したのだ。

 

チョッパー《連中は俺達が惹き付けるから、あとは頼んだぜ!》

 

ヴァルター「感謝する、君らの武運を祈る!」

 

 

ラーズグリーズ隊がゴリアテを惹き付けている間に、ヴァルターは敵要塞のゴリアテ発進口から突入、地下要塞内部の侵入に成功した。

 

 

 

 

マイントイフェル「ふふふ・・・来るが良いヴァルター・クリューガー、ここが貴様の墓場だ━━ふはははははははは!」

 

複数の培養槽を眺めながら高笑いするワルター・G・E・マイントイフェル、そしてマイントイフェルの後ろにいる人物・・・

 

 

アドルフ・ヒトラー(死んだ筈の第三帝国総統)その人がマイントイフェルと培養槽を鋭い眼差しで見据えていた。まるで全てが終わる事を予見しているかのように・・・

 

 

━━━━━

 

一方、侵入したヴァルターは発進口から機体の兵装を替えて地下へと降下(というより落下)していた。何度か発進中の敵兵器と遭遇したが、アサルトアーマー(いわゆるコジマ大爆発)で焼き払った。

 

ヴァルター「コジマの~♪緑は~♪良い緑~♪」

 

エンペラー《我らがバカ共を~♪コジマ色に染めてあげてやんよ~♪》

 

ヴァルター「漲ってきたぞぉぉぉ!」

 

『☆HA☆HA☆HA☆HA☆HA☆HA☆HA☆』

 

・・・どうやら色々と漲ってきたようであるがそれはさておき・・・

 

ズウウウウウウウン!

 

着地と同時に地下基地の深部に到達した。

 

「動くな!」

 

そしてヴァルターは敵の兵士100名とゴリアテ12機に囲まれた。

 

ヴァルター「ほう、たかたが100人程度とは・・・片腹痛いな」

 

エンペラー《なら我が主よ、我が偉大なる主よ!この者達を屠る我らの最強の切り札を使おうではないか!》

 

ヴァルター「ふふふふ━━貴様達よ、我が真なるコジマの力をご覧あれ!」

 

「う、撃てぇぇぇぇ!」

 

━━System 00 start-up━━

 

敵兵達が攻撃しようとしたその瞬間、強烈な緑色の光がヴァルター達を包み込んだ。

 

「━━!」

 

そしてその光が晴れたその時、敵兵達は全員その姿に未知の恐怖を覚えた。

 

それはアクアビットとレイレナードが最初に造り上げ、テスト中に何人ものの死者を出した故に封印されたが、唯一ヴァルターのみが完全に使いこなすことが出来る最強最悪の切り札、ネクストISすらも超える巨大な機体を持つプロトタイプネクストIS━━━それが・・・

 

 

ヴァルター「待たせたな、諸君━━さあ、地獄の始まりだ。」

 

00-ARETHA(最強最悪のネクスト)だ。兵士達はもとより、ゴリアテですらその未知なる恐怖その物と言える機体を前に動くことすら出来ず、ただ立ちすくむだけだった。

 

ヴァルター「なんだ?攻撃しないなら私から行くぞ!」

 

ダララララララララ!

 

「がっ!」「ぐぇ!」

 

ARETHAになってから僅か数分も立たないうちに殺戮が始まった。右腕の5連装ガトリングが火を吹き、兵士達の大半が肉塊へと変わる。ゴリアテもビームを放ったがARETHAの異常ともいえる回避速度はそのビームをも凌駕していた。

 

ヴァルター「まとめて沈めぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

エンペラー《ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!》

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン!

 

コジマ粒子を圧縮し、放たれたAA(アサルトアーマー)、だがその爆発範囲、破壊力はネクストISすら遠く及ばない。たった一撃、たったその一撃でゴリアテ12機と100名の兵士達が灰塵の一つすら残さず、蒸発していった。

 

ヴァルター「私を誰だと思っている!我が名はヴァルター・クリューガー、コジマに選ばれし男だ!私を倒すなら、軍団一つを引き連れて来い!」

 

真なる力を解放した今、彼の前に敵はなかった。

 

━━━

 

一方のラーズグリーズ隊、すでに敵戦力の半数以上を撃滅していた。だが、それでも敵の増援はまだ増えていた。

 

アルヴィン《くそ、まだ出てきやがる!》

 

グリム《これじゃキリがない!》

 

増援部隊がまるで蛆のように湧いてきたと同時にラーズグリーズ隊全機にある暗号化通信が・・・

ブレイズ《っ!全機、高度10000以上あげろ!急げ!》

 

そのメッセージを見た瞬間、ラーズグリーズ隊は有無を言わずに最大速度で上昇した。

 

敵部隊の追撃を振り切って高度を上げたラーズグリーズ、そして・・・

 

ドォォォォォン!

 

爆発━━1発2発ではない。10発の巡航ミサイルの爆発が敵を襲い、爆発した後もばら撒かれた金属片が・・・さしずめ豪雨の如く降り注ぎ地上の敵部隊や施設を破壊する。

 

放たれたそのミサイルとはレイレナード空中艦隊旗艦、AFアイガイオンから放たれた長距離散弾巡航ミサイル《ニンバス》による長距離攻撃である。

 

ラーズグリーズ隊が半数まで撃滅した際に複数のマーカードローンが目的地である敵要塞付近に到達、マーカードローンから送られた座標と敵戦力のデータを受信、味方部隊を巻き込まないように且つ敵に通信傍受されないように暗号化通信を送り、退避し始めた頃合いに発射したのだ。

 

スノー《あれがニンバス・・・》

 

ナガセ《凄い・・・》

 

ラーズグリーズ隊はアイガイオン率いる空中艦隊の凄さにただ圧倒するしかなかった。

 

パステルナーク《こちらシュトリゴンリーダー、ラーズグリーズ隊聞こえるか!》

 

と、そこへシュトリゴン隊隊長であるイリヤ・パステルナークから通信が入った。

 

ブレイズ《こちらラーズグリーズリーダー、ブレイズ。何か?》

 

パステルナーク《良いか、良く聞け!ナチ公の連中、核弾頭を所持しているという情報が企業連情報部からついさっき届いた!》

 

 

 

戦争はまだ続く・・・


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