こうなった。~世界を作ったら~   作:彼是

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今回からサブタイトルを話数だけにします。俺の構成下手で1話に色々書いてしまって題名が決めれません。


第二十八話

村に戻った俺達は重苦しい雰囲気の中、自分の家で待機していた。

村の会議に出ていてミーナはいない。

「・・・どうなるんだろうな」

「わからん」

翔太の心配もわかる。正直言って結構堪えてる。

今までなんだかんだこの世界の事を舐めてた。

今回の異常事態で雰囲気が元の世界と違った。

 

「・・・・帰りたくなったか?」

「どうだろ?」

元の世界に帰りたいか・・・わからない。

どっちにもいい所と悪い所がある。

元の世界は・・なんと言うか息苦しい。

見えないスケジュールに動かされているというか見えない何かに操られているというか・・・

例えば他人の目だな。奇行まで言わないが人と違う行動するだけで仲間外れにされる。

 

自分を受け入れて貰えない(・・・・・・・・・・・・)

自分では受け入れて貰えないから自分を偽る。

みんなが偽っているから自分も偽る。

偽らないと仲間じゃない。

そんな世界だったな・・・

 

こっちの世界は命の危険がある。

でも息苦しく無い。

色々な種族がいるせいか自分を偽る必要が無い。

話をしていて楽だった。話をしていて楽しかった。

 

俺が考え事をしていたら将太が立ち上がった。

「どうした?」

「とりあえずさ。ミーナちゃんがいつ戻ってきてもいいように御飯の用意しておこうぜ」

「・・・お前本当にいいやつだよな」

「そうか?」

お前が友達で良かったよ。

 

 

 

ギルイットさんの了解を得たのでカスバル達オオリを村へ案内する。

「村長が会うそうだ。村へ案内しよう」

「ありがとう。武器はどうしたらいい?」

「・・そうだな村へ付いたら念の為預からしてもらう」

「わかった」

 

勘だがコイツらは悪い奴らじゃあなさそうだ。

だが念のため村へ向かう途中、スミレにカスバル達を観察して貰う。

もし敵対する可能性があれば合図を出してもらう。

「・・・・・・」

おかしい。警戒しすぎ(・・・・・)だ。

俺に気づいた腕のいい冒険者だ。

カスバル達ぐらいの冒険者なら森の中間ぐらいでここまで警戒するのか?

俺に警戒するのはわかる。

だがカスバル達は異常に周りを警戒(・・・・・・・・)している。

なんだ?コイツらは何をこんなに警戒しているんだ?

 

 

 

「・・・・」

森を探索しながら進んで2日、なんとかこの森の村の村長と話す事が出来そうだ。

キリングの長のギルさんからの依頼でこの森を進んできたが今の所兆候は無い。

・・・本当に街を滅ぼすモノがいるのか?

魔物もいない普通の森だ。

 

この森は大まかに4層に分かれているらしい。

一番端の安全な外側部分。

二番目の獣の住処。

三番目の魔物の住処。

四番目の森の村の人達曰く聖地と呼ばれる場所だ。

 

聖地か・・・俺の故郷の【ギジィル平原】にも聖地と呼ばれる場所があった。

もしそこに原因があれば厄介だな。

聖地と呼ばれる場所は大抵進入不可だ。

部族によっては禁句(タブー)となっている。

 

やれやれ、話を聞いてしまった以上受けざる負えない仕事だったが思っていた内容よりきつそうだ。

当分街に帰れそうに無いな。ユキナに怒られそうだ。

依頼を受けた事に後悔は無いが報酬の上乗せでユキナへの土産でも貰わなと割にあわんな。

 

数時間歩いた頃、開けた場所に出た。

木材の柵に木造の建物の村だ。

・・・普通だ。思っていたより普通の村だ。

 

村の門には数名の門番がいた。

そのうちの一体の緑色のゴーレムが前に出てきた。

「話は聞いている。武器は預からして貰う」

「ああ。よろしく頼む」

俺達の武器を預けマキマムさんについて行った。

 

村長の家に付き中に案内される。

家には俺だけが入り仲間は念のため家の外で待っていて貰う事になった。

荷物はギルさんから受け取った手紙だけを持ち村長の家に入る。

テーブルにはオークゴブリンが座っており、私に気付くと立ち上がり空いている席へ案内してくれる。

「初めまして。リットベルの村長のギルイット ローズ オークゴブリンです」

「私はキリングから来た冒険者チームのオオリのリーダーカスバル ド リザードマンです。早速ですがこちらをお受け取り下さい」

私は持っていた手紙をテーブルの受けに丁寧に置く。

「受け取らして頂きます」

ギルイットさんはそう言って手紙を取り丁寧に開け中身を読み始める。

 

「・・・これは・・・・」

ギルイットさんは手紙を読んだたとそう呟き何度も手紙を見直している。

(だろうな)

俺達も話を聞いた時は慌てた。

 

奥から青い鱗が特徴の美人のブルーリザードマンが飲み物を持って出てきた。

「よければどうぞ」

「ありがとうございます」

礼をいい頂く事にする。

うまい、ここ数時間なのも口にしていなかったから口が喜んでいるのがわかる。

 

読み終えたのかギルイットさんがため息を吐き手紙を丁寧に元に戻し机に置く。

「他にこの内容を知っている人はいますか?」

「私のチームとキリング上層部、後は他の村へ向かった冒険者達です」

「なるほど。・・・・わかりました。リットベルは協力を惜しみません。必要な物はできる限り揃えます」

「ありがとうございます」

よかった。これでこの村を拠点に調べる事が出来る。

拠点があると無いとじゃあ段違いだからな。

「・・・・一つお願いがあります」

「なんでしょうか?」

「カスバルさん達が優秀な冒険者でしょう。その知識や経験を教えて頂けませんか?」

「・・・・」

 

冒険者とって知識、経験等は財産だ。

それの為に命を張り、そのせいで死ぬ。

食料や物は使えば無くなる。しかし知識、経験は無くならない。

それを教えてくれと?

 

「それは」

「無論それなりの報酬は用意しましょう。まずは教える相手を見てもらえませんか?」

「教える相手?」

どういう事だ?ギルイットさんが知りたいのではないのか?

「はい。村にいる若者に教えて貰いたいのです。もちろん空いている時間、教えれるモノだけで結構です。報酬はハチミツ10大瓶、干し肉100キロでどうでしょう?」

・・・破格だ。はっきり言って今回の依頼がなければ飛びつきたい。

ハチミツは貴重で色々な物と交換しやすい。

交換に使え薬にもなるし腐らない。

それが知識や経験を教えるだけで大瓶で10コも手に入る。

 

「・・・仲間と相談してもいいですか?」

「はい。もちろんです」

まずは仲間と相談しよう。それから教える相手にあってから決めよう。

・・・・別に長期で離れるから娘のご機嫌取りにハチミツが欲しかったわけではない。

 

 

 

 

「で何作るよ?」

俺と将太は台所でミーナがいつ帰ってきていいように御飯を作ろうとしていた。

「そうだな~クロシェフ。今日の食材は?」

「今日はですね~」

冷蔵庫と書かれた箱を確認する。

中には氷がたくさん入っていて食材を腐りにくくしている。

「シメジ、自然薯、芋(異世界固有種)、ネギ(以下略)、人参、モリス(サトウキビ)です」

「・・・・なに出来るの?」

「野菜炒め?もしくは芋焼き?」

「いつもと一緒じゃねぇか!」

知ってるてか基本的な野菜はある程度これだしな。後は魔馬魚や肉が入るだけだしな。

 

「!?」

「どうした?」

「凄い事に気づいた。ちょっと試すわ」

もし、もしもだ。ポイントでアレを交換できればなんでも出来るのでは?

 

【鶏の卵(有精卵)を1パック9ポイントで交換しますか?】

 

・・・・よっしゃああああああ!!!

「将太!!」

「お、おう。どうした?」

「鶏だ!いや!ひよこの育て方を調べてくれ!」

「ひよこ?」

「ああ!」

もしこれで鶏が増えるなら卵が食べれる!

 

「えっと・・人肌に加熱し続け、夜も数時間毎に卵の向きを変えるらしい。大体約3週間程で孵るみたい」

「ほう。頑張れば卵食い放題か・・」

じゃあ交換で。

残りポイントはこれで8ポイントか・・

 

「決断早くないか!?」

いいんだよ。卵大好き。

「で料理はどうするだ?」

「・・・」

「さらに誰が温めるんだ?」

俺じゃない誰かがいいなぁ~

 

「アホやってないで始めるか」

「はいな」

交換した卵をまずは食べられない様に印をして別の所に置いておく。

まずは芋だな。皮を剥き0.5mm程の大きさに切る。

後はトマト、ネギ、シメジを切った芋の上に乗るぐらいの大きさに切る。

火を起こしフライパンの上にまず芋を並べ温める。

熱し過ぎると芋が焦げるから程々(弱火)で中まで火を入れる。

ある程度中まで火を入れたらフライパンから出し、余熱でしっかり火入れる。

その後ネギ、シメジを塩で味付けし炒める。

ミーナが帰ってきたら芋を温め直しその上にトマトや炒めた野菜を乗せて食べる。

 

「チーズやマヨが欲しいな」

「わかる。牛だな牛」

「ヤギでもいいな」

【ヤギを6923ポイントで交換しますか?】

しねぇよ。出来ねぇし。

 

 

 

 

 


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