見にくい?どうだろう?
種・・類?え?人参の種類って・・普通の赤い人参なんだが・・・
【五寸ニンジンの種10粒1ポイント消費で出しますか?】
五・・寸?なんだそれ?
「なあ、将太?」
「ん?どうした?待ってるんだ、早く出せよ」
将太は種を植える為にしゃがんでスタンバっていた。
「なんか人参の種類聞かれたんだが・・」
「種類?普段売ってる種類は五寸人参だぞ」
「・・・なんでそんな事を知ってるんだ?」
「実家農業ですから」
将太は爽やかな顔でサムズアップした。
流石すぎる。
【五寸ニンジンの種10粒1ポイント消費で出しますか?】
イエスだ。
気が付くと手に何か持ってる感覚がある。
手を開き確認すると、中には小さな種がこんもりとあった。
「これが人参の種か」
「そうそう、この種だ。種撒きは任せろ」
将太は準備していた
「人参は苗の移植が出来ないから種を畑に直接蒔く。植え付ける前に土にたっぷりと水をやるんだ」
将太は水をやり終えると次にメモリが書いてある棒を持ってきた。
「種を蒔く時は棒などを使って、大体深さ1㎝の蒔き溝を作りって1㎝間隔で植え付ける。条間は20㎝以上空けて植えるんだ」
「条間ですか?」
将太はミーナを手で呼び土を掘って山と溝になっている所を指差す。
「うん。ミーナちゃんこの掘って凹ましてる所を見てくれ。作物を植えつけた列を
(へ~勉強になるな~)
将太はミーナに説明しながら手を動かし器用に指で蒔き溝を作っていく。
「私手伝います!」
「頼むよ」
「待て待て俺もやるよ」
「じゃあ!みんなでやりましょう!」
ミーナの一言で3人で笑う。
数分後蒔き溝を作り終え3人で慎重に種を蒔く。
「人参の種はすごく小さいから風で飛ばない様に気を付けてね」
「はい!」
「あ」
「おいクロ!言ってるそばから、あってなんだよ!あって!」
「すまんすまん。今探してるから」
「クロさん。ここです」
「お。ありがとう」
危ない危ない。貴重な種を無くす所だった。
「種を植えたら土をかぶせるだがが、人参は発芽するのに光が必要だ、種に土を深く被せてると発芽しない事があるからふんわりとかけてくれ」
「えっと、こうですか?」
ミーナは器用に土を手ですくい種にかぶせる。
「そうそう。うまいよ」
「本当ですか!」
ミーナは手先が器用でうらやましい。
「芽が出るまでの間はたっぷりと水やりだ」
3人で如雨露でたっぷりと水をやる。
「最後は芽が出るまで乾かない様に蓋をする」
そう言って大きな葉っぱを持ってきた。
3人で葉っぱを広げかぶせる。
「以上!御疲れ様!」
「「お疲れ様でした!」」
数日かけて他の野菜の準備が出来た。
ししとう(獅子唐)は育苗箱という専用の苗を作る箱を使いししとうがある程度育った苗を作り、植え付けをする。
キャベツ(寒玉)は9㎝のポリポットと呼ばれるコップの様な物に植え大きめの苗を作り、植え付けをする。
サツマイモ(安納芋)の挿し苗の植え方は【斜め植え】という3~4節まで畝に差し込んで斜めにする植え付けをする。
細かい事は説明しないが俺達は仲良く準備した。
畑は順調だ。後は・・・
「養蜂、養殖はすばらしいですね、水路や整地は現状難しいですね」
「やっぱりそうですか・・」
今日はギルイットさんと将太の渡した木板の件で話していた。
「後は冒険者の報酬ですね。蜂蜜は大変珍しいのでもし雇うなら十分だと。でもずっとなんて事は難しいかと」
「やっぱり住んで貰わないよダメですかね」
「・・自分で言うのもなんですが小さな村ですから難しいと思いますよ」
ギルイットさんが苦笑いしながらそう答えた。
慣れてないとギルイットさんの苦笑いは怖い。
つまり怖い。
「蜂蜜や特産物があればどうでしょうか?」
「・・それでも難しいと思います。村が森にある事もそうですが多くの人住める環境でなないので」
「村を移動する事は出来ないんですか?」
「移動は出来ます。でも街に行くことは出来ないんです」
「どうしてですか?村の人達の事を考えるなら街に移住する事を考えてもいいのでは?」
「・・・村の皆さんは知らない事ですがクロさんにはお教えしましょう」
ギルイットさんはゆっくりと話始めた。
「私達の祖先は元々は森のもっと奥に住んでいました。そこで聖地を守っていました」
「聖地ですか?」
ギルイットさんは辛そうな声で続きを話した。
「はい。森の奥深くに聖地【リットベル】があってリットベルは元々その聖地の名前なんです。リットベルは昔、神クロス様が初めてこの世界に現れた場所でクロス様達神々がいらっしゃる世界に繋がってると言われた場所です」
「え?」
えっと?それが本当ならマジモンの聖地じゃねぇか。
それは奪還の為に総力を集めるものじゃないのか?
「えっと・・それって冒険者を集める理由になるのでは?」
「・・祖先が打診した所、断られたそうです。理由はそこまで行く戦力がない事、聖地が本当かどうか確認できなかった事です」
「・・・」
よく考えたらそうか。魔物に生活圏を奪われ続けたんだ。向こうも向こうで手一杯だろうし、国家が無いから聖地が本当かどうか誰も保証出来ない。
「つまり聖地を取り戻りたいって事ですか?」
「そうです。私達の悲願です。でも村のみんなは知りません。理由は」
「暴走ですか?」
「はい」
もし村のみんながこの話を知ったらどうする?
まあ取り戻したいと思うだろう。
無茶はしないだろうが今までの様な雰囲気や村を捨てる判断が遅れかも知れない。
「シュバルツは知ってるみたいですがね」
「そうなんですか?」
シュバルツさんは知ってる?何でだろ?俺、あの人は怖いイメージしかない。
「シュバルツは元々旅をしていたと前に話しましたよね?あの旅が聖地を探すのが目的だったそうです。シュバルツが初めて村に来た時は森の奥からボロボロになってやって来ました。村で治療して村の名前を聞きこの村で住む事になりました」
確かにその話だとシュバルツさんは何か知ってそうだ。まあ何も知らない可能性もあるけどね。
「なぜこの事を俺に教えてくれたんですか?」
すごく疑問だ。なぜ余所者の俺になんかに教えたんだ?
理由がよくわからない。
「それはクロさんが元余所者だからです」
「?」
「クロさん達は不思議な力と知恵があります。もし私達に何かあってもみんなを引っ張っていけます」
何かってなんなんだ?
「なにかって?」
「もしもですよ。昔と違い村にこの事を知っている人は私と妻だけです。もし私達に何かあったら知っている人がいなくなります」
なるほど。つまり伝言役だな。もしくは遺書を持ってくる人か。
「わかりました。もし何かあれば信用できる人に話します」
「ありがとうございます」
この後世間話をしてからギルイットさんの家を出た。
辺りも暗くなりお腹も空いたし早く帰ろう。
帰り道に考える。もしもか・・確かにこの世界だともしもがあるんだよな・・
もし将太やミーナ、ギルイットさん等の村で仲良くしている人達が魔物に殺されたら?
魔物じゃなくても盗賊とかが村を襲ったら?
怖い。
今の幸せの壊されると思うと死ぬほど怖い。
理不尽に奪われたら?許せるか?無理だ。絶対に無理だ。
もしも相手が神でも絶対に復讐するだろう。
「ただいま」
家に入るといい匂いがする。
「お帰り~」
「お帰りなさい!」
リビングでは将太が座っていて俺が帰って来るとミーナが来ていてくれて玄関までわざわざ来てくれた。
「お疲れ様です!ごはんもうすぐ出来ますから待ってて下さい!」
そういうとミーナはピョンピョンと台所に跳ねていった。
~将太サイド~
クロが村長の家から帰ってきた。
なんか暗い顔をしていた。
ミーナちゃんもそれに気付いたのか気を使ってご飯の準備に専念してくれた。
クロが前のテーブルにかける。
なにかあったんだろうな。もしくはクロ特有の考えすぎか。
「お帰り」
「・・ただいま」
「ちょっと待った。いつものお前は俺がお帰りって言うと「ただいま~疲れた~」とか言うだろ?どうしたんだ?」
俺がそう言ったらクロは苦い顔をした。
(あ~クロ特有の考えすぎか・・)
クロはわかりやすいヤツだ。
考えすぎる事が多いから迷うし悩む。
悪い事じゃないんだがクロの場合深みに嵌る。
悪い方に悪い方にと考える。
しかも根が単純だからあっちこっち手を貸して自爆している。
そんな苦労性のアイツを見ていられなかった。
「で、どうしたんだ?おいちゃんに話てみ」
「・・・もしだ。もしも今魔物が来たら?」
でた!もし!クロが悩む時は基本考え過ぎて不安になるんだ。
「逃げる」
「もし、逃げれなかったら?」
「戦う」
「すごく強かったら?」
「・・」
ああ今回は結構重症だな。
「気にするだけ無駄だな。もしもだろ?そのもしにならない様に俺達がんばってるんだろ?」
「まあそうなんだが・・」
「不安になるのはわかる。今はすごく楽しい。だからすごく不安なんだろ?」
クロは嫌そうな顔をする。
そんな顔すんなよ。
「俺お前のそういう所嫌いだわ」
「そうか?俺はクロの考えすぎる所うざいわ」
二人で苦笑いする。
「次は言い方を考えるわ」
「あんまり悩まない様にするわ」
「そうしろよ」
「ああ」
元気になったかな?
でも今回のは長引きそうだな。
今はミーナちゃんもいるし村の人もいい人ばっかりだしな。
不安になるのもわかる。
俺だって不安だしな。
特に魔物の話を聞いた手前な。
ミーナちゃんも不安だと思うぞ。
でもそれを表面に出さない。
出しても不安を煽るだけだからな。
クロは・・・クロだしな。
「ミーナちゃん手伝おうか!!」
「大丈夫です!今から運びます!」
さて食事にするか。お腹減ったし。
皆さんはどうでしょう?
不安に潰されそうになりますか?
書いてて思った。俺は何を書いてるんだろうorz