こうなった。~世界を作ったら~   作:彼是

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ちょっと長く書きました。
今後4000文字を目標にします。
もし何かあれば感想をお願いします。


第二十五話 畑と街

目の前には程よく耕された俺達の畑が見える。

「ようやく完成か」

「ああ。めっちゃ腰痛い」

「夜マッサージしますね」

「ありがとう」

俺達はやっと耕し終えた畑の前で感傷に浸っていた。

まあ、主に耕したのは俺だがな!

クワとか使った事が無かったから、手は豆だらけになるし普段使わない筋肉を使うから毎日筋肉痛だよ!

 

「で?何を植える?麦?芋?」

「そうだな・・」

耕してる間に考えていた。

麦を植えたい。

小麦なら小麦粉が出来るしイースト菌を手に入れればパンが出来る。

料理に幅が広がるし保存食も作りやすい・・あ。保存食といえばソーセージは作れるよな。

後で将太に頼んでギルイットさんの所に作り方の書いた木板を持っていって貰おう。

「小麦、トウモロコシ、カボチャ、人参、ジャガイモ迷うよな。ミーナはこんなのがあったらいいなとかある?」

「コーラです!」

ミーナが元気いっぱいで答え手くれたのはいいんだが・・てかミーナコーラ好きになったんだね。

「コーラかぁ~流石に無理かな~」

コーラが生える植物とかヤバ過ぎる。・・・ポイント使ったら出るとか無いよな?

「甘いものならサトウキビ?」

「サトウキビならモリスが」

「アレは味が似てるだけだし砂糖にはならないだろ」

「ならポイント次第だが複数育てるか」

「そうだな」

 

炎天下の中の話し合いの結果、一面ずつ違う種類の作物を育てるで決まった。

内容は優先順位順にサトウキビ、小麦、、カボチャ、トウモロコシになった・・といいたいが。

「そういえば収穫間に合うか?」

の一言で時期を鑑みた結果は人参、ししとう、サツマイモ、キャベツになった。

ミーナに聞いた所この地域は四季がある程度あるそうで今を夏と仮定して植える事にする。

具体的には6~7月と考え動く。

 

「じゃあポイントで交換できるか試すぞ」

えっと・・人参は・・

【人参の種10粒1ポイント消費で出しますか?】

安い!安いぞ!いや!高い?高いよな!?

つまり育って10本1ポイントだぞ?

コーラは5ポイントだったのに・・他は?

【サツマイモの挿し穂(7節)10本10ポイント消費で出しますか?】

【ししとうの種10粒1ポイント消費で出しますか?】

【キャベツの種10粒1ポイント消費で出しますか?】

・・・全部似た様なものか・・

 

じゃあまず人参にするか。

【人参の種10粒1ポイント消費で出しますか?】

イエスだ。

【人参の種類はどうしますか?】

・・・・・え?種・・類?

 

 

 

 

 

 

 

~一方その頃~

 

クロ達が住むリットベルから一番近くの街【キリング】

【キリング】平地に円状の形に造られており街の周辺には20メートル程の塔が10本立っている。

街は人口10万人程で様々な種族が暮らしている。

 

【キリング】は元々は小さな村だったが地下には遺跡がありそこから発掘される物を求めて人が集まり街になった。

 

円状の形は人が集まり増設に次ぐ増設をしたため構造はまるで迷路の様になってしまった。

住民にとっては特に気にすることは無く旅人や新たな移住は住民に道を聞き仲良くなると言う関係を築いていた。

 

犯罪は殆ど無い、あっても喧嘩、事故ぐらいだ。

国や思想が違う為犯罪という殆ど無い。

硬貨が無いのも影響しているだろう。

親の教育や一族の決まりはあるし街にはルールがある。

もしもこの世界に盗賊や犯罪者が生まれるとすれば硬貨、利子、法律等のシステムが生まれた時だろう。

 

【キリング】中央に位置する家で街のトップである40代の片目に傷のある白いワータイガーの【ギル キリング ワータイガー】は机に座り、若い部下からある報告を受け悩んでいた。

質素な部屋では【ギル】と報告をした部下が苦い顔をしていた。

 

「それは本当なのか?」

「はい・・残念ながら本当です」

「・・・・」

ギルは重く溜息をつく。

部下から受けた報告は街の人々にはけして伝えられる内容ではなかった。

「せめて正確な場所がわかれば・・」

「妖精の粉の数がもう無く正確な場所までは・・」

 

【妖精の粉】というアイテムがある。

金色の粉で探し物や知りたい事を絵や文字で教えてくれるアイテムだ。

遺跡やダンジョンがら極々稀に出土し街の危険察知に使われる。

4年に1度妖精の粉を使い、魔物や災害等の街の危険を調べるのだ。

街には必ず4つはストックし有事の際に使い、何時起きるのか?何が起きるのか?どうすればいいのか?を調べ街を守るのだ。

 

「どうすればいいんだ・・」

 

今回の妖精の粉で危険が発覚し調べた。

何時起きるのか?1~9年後

何が起きるのか?南から   の襲撃

どうすればいいのか?   のコアの破壊

普段はこんな名前が無い等の事は起きない。

魔物が原因だったら魔物の名前が出て倒し方や逸らし方を教えてくれる。

 

昔【ジバラシ】という旅をする大亀の魔物が街を潰すという危険が発覚した時は

どうすればいいのか?【ミラチ】の葉を置き逸らす

と出たのでミラチという木を探し出し葉を集め街の周辺に配置し難を逃れた。

しかし・・・

 

「名前も無い、コアの破壊のみが街を救う手段とは・・」

妖精の粉はもう無い。元々出土頻度が無く数年で4つ集まったらいい方だ。

普段は何も起きないので多めにストックしているがこの数年はジバラシや【リーチ】の襲来でもうストックが無い。

 

「妖精の粉の出土を待ちますか?」

「・・・それと平行して何かしなければな」

キリング始まって以来の危険が迫っている。

その不安と街を守る責任によりギルの胃がキリキリ痛む。

「コアの破壊という事は魔物だと思われます。魔物でしたら冒険者に依頼ですか?」

「・・・・」

ギルは考える。

冒険者は魔物やダンジョンのプロだ。だからこそ不明な事等には敏感だ。

このわからない魔物に対してどれほど冒険者の協力をしてくれるか・・

むしろ教えたら最後、冒険者達はみなを連れて街を捨てると進言してくるかも知れない。

 

「依頼はダメだ。今すぐ街を捨てようと進言されるだろう。だが冒険者の知識は必要だろう、信用できる者に協力を依頼する」

「信用できる者ですか?」

「ああ。私達は街のみんなに知られない様に街を破棄する準備と妖精の粉を手に入れる為に行動する。協力をしてくれる冒険者には南に言ってもらい名無しの討伐、もしくは情報を仕入れてもらう」

「はい」

「すまないが街のみんなにはギリギリまで内緒にしといてくれ」

「・・・はい」

「冒険者達に依頼を頼む。内容は遺跡未探索エリア発見だ」

「・・4-S辺りですか?」

「ああ。そこの開放と出土アイテムの探索だ」

 

遺跡の多くはまだ未探索エリアだ。

遺跡はダンジョンで魔物も出るし危険が多い。

あまりに深く潜ると冒険者の危険も跳ね上がる為封鎖していたり冒険者に教えていないエリアがいくつかある。

4-Sは深くは無いし魔物もそこまでだが探索が後回しなっていたエリアだ。

 

「最後に冒険者チーム【インブル】【オオリ】【マリアナ】に来てくれるように伝えてくれるか?」

「わかりました」

若い部下が部屋を去りギルは一息つく。

名前の無い魔物なんて初めての事だ。

 

昔、大爺様から遺跡はクロス様がお造りになられた物で出土されるアイテムもクロス様がお作りになられた物と教えられた。

妖精の粉は今だ私達が知らない魔物の名前も出てくる。

他にも名前やステータスもわかる【鑑定の指輪】等も同じだ。

だが今回は名前が無い。

こんな異常事態に我々はどうすればいいのか?

 

街を捨てるのは簡単だ。

だがここまで成長した街だ。

人口も多い。もし今魔物から逃げ街を捨てれば多くの死者が出るだろう。

 

私達の出来る事はもしも街を捨てる時の事を考え避難場所を作る事。

妖精の粉を出来るだけ手に入れ名無しの場所や名無しの弱点等を知り対処する。

秘密裏に冒険者に依頼し名無しの討伐、生態の調査だ。

 

「さて、忙しくなるな」

ギルは体を伸ばし、いつもの日々にしばしの別れを告げる。




やっとここまで来た・・
犯罪は賛否あると思いますが世界的に犯罪の殆どない街ってあるみたいですね。
まあ、みんな良い人だと思ってください。
今の所は・・・

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