こうなった。~世界を作ったら~   作:彼是

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短いですが上げます。
読みにくいですかね?



第二十三話 幕間 生まれたソレ

大きくそびえる山の麓、暗く湿気の強い洞窟の中でソレは生まれた。

 

(ココハドコダ?)

 

周りには多くの生き物の腐乱死体や臓物等が散乱し腐って酷い悪臭がしている。

虫が湧き、ガスが発生し空気が淀んでいる。

酷い環境でまともな生き物は生きていけないだろう。

だがここで生まれたソレにとっては揺り篭であり親だった。

 

ここは元々酷い場所では無かった。

昔は15匹の【ミャーリ】というイタチに似た動物の家族が住んでいた。

【ミャーリ】は主食は果物や木の実で巣に持って帰り保管し家族で分ける。

【ミャーリ】には敵が多く他の動物を見たらすぐに巣に逃げ帰る。

 

この習性のせいで悲劇が起きる。

【ボットドッグ】という1メートル程の黒い犬の魔物がいる。

単体ではそこまで強くは無いが集団で行動し基本的(・・・)に獲物の巣を特定するまで獲物を襲わず巣を見つけると巣を襲い一時的な住処にする。

 

一番の特徴はその残忍な性格である。

【ボットドッグ】は獲物を家畜にする。

家畜にし生まし増やし食べる。

ただ殺して食べる事はまずしない。

殺す時は嬲り拷問し息絶えたら食べる。

獲物を骨の髄までしゃぶり尽くし飽きたら次の獲物を探す。

それが【ボットドッグ】である。

 

運が悪かったのだ。

ここが【ミャーリ】の巣では無かったら。

【ボットドッグ】が飽きず数年地獄を作った事。

洞窟がある山が後に霊峰と呼ばれ人脈が集まる場所だった事。

この数年気候が穏やかで湿気が強い洞窟ではモノが腐っても風化しかなった。

亜人が【ボットドッグ】に獲物として巣に連れて来られ殺された事。

他にも多くの要素が混ざりソレは生まれた。

 

生まれたばかりのソレは体を動かしてみて違和感を感じる。

どうも思ったように動けない。

覚えているように(・・・・・・・・・)4足で歩こうとしてみるがうまくいかない。

柔らかい何かを潰し硬い何かで転び芳しい何かを嗅ぎ何かを口に入れる。

身体に何かが入り何かが駆け抜けるのを感じる。

 

(ドウシタ?ナゼ?)

 

ソレは考える。

どうして動きにくいのか? 

ここはどこなのか? 

自分がなんなのか? 

家族(・・)はどこなのか? 

敵はどこなのか? 

殺したいのは誰なのか? 

家族を殺したのは誰か? 

答えは出ない。

答えは【ミャーリ】や【ボットドッグ】にはあってもソレには無いから。

 

(マアイイ。ココハイゴゴチがイい)

 

ソレは考え成長する。

食事は辺りに山ほどある。

時間もある。

成長し自由になるまでこの環境で安全だろう。

 

 

ここは揺り篭であり卵であり災厄の生まれた場所。


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