こうなった。~世界を作ったら~   作:彼是

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遅くなって申し訳なかったです。
別に海外ドラマ見てて時間無かったとかではないですよ?



第十六話 狩 後半

俺は悪戦苦闘しながら自分の作業を終わらした。

リットンさんに慰められタニアさんには笑われマキマムさんは苦笑いされた。

俺達は休憩をせず後処理を終わらしてその場をすぐに離れる。

鹿はリットンさんが武器は俺、二人は前後を警戒し進む。

 

「この辺で一度休むか」

 

獣の領域を出て少し進みマキマムさんがそう言ったので俺達は休憩を取る。

鹿は今のうちに処理する。

マキマムさんとタニアさんが警戒して俺とリットンさんで解体する。

リットンさんは小さなナイフである程度ゆっくり俺に説明しながら解体していく。

血抜きをしているからほとんど血が出なかった。

 

「いいか?ここの間接に刃を当てる。こう力を加えると綺麗に間接が外れる」

 

そう言って鹿の丸々太った足をてこの原理で綺麗に外した。

だるまになる鹿と目が合う。

そんな目で見るんじゃない。

 

 

「足は使い難いから持って帰らず皮を剥ぎ埋める事の方が多い、皮は表面を綺麗になぞる形に」

 

足の皮を大根の様に桂剥きの様に剥ぐ。

そんな簡単には剥げないと思います。

でも剥げてるんだから剥げるんだろうな。

 

「やってみな」

 

俺は軽く震えながらナイフを受け取る。

足もポイっと投げられ受け取った。

手がめっちゃ震える。

落ち着け。深呼吸して、言われた事を思い出しながら逝こう。(誤字では無い)

まず切り込みを入れる。

肉は筋ばって美味しくないので深く切ってもいいが皮は使うのでまっすぐ切る。

 

「そうだ。まっすぐ切らないと皮がダメになるから気をつけろよ」

 

リットンさん、プレッシャーを与えるんじゃない。

俺はそんなに本番に強くない。

まっすぐ?切った次は切った場所に手を突っ込み皮を引っ張りそこに刃を当てゆっくり切っていく。

 

「ナイフは押す引くで切れる。慣れない内は引くを利用し切る方がいいかもな」

 

のこぎりの様に切ると皮が痛むので出来るだけ一回で広く切る様に切る。

イメージはホタテの貝柱?ん~テープを剥がす?思ったより、てかすごく剥がれやすい。

 

「クロはラッキーだな。コイツは特に皮が剥ぎやすい」

 

ほう。ラッキーなのか・・・

なんか複雑だな。

気付いたら震えも止まり自分より思ったよりうまく出来た。

大きさは大き目の枕ぐらいになった。

 

「初めてにしてはうまく言ったな」

 

後は皮をなめし柔らかくし加工して使うそうだ。

足の皮は繋げて使うか帽子、靴や小物入れに使える。

 

「その皮はクロさんが使うといい」

 

「いいんですか!?」

 

「ああ。初めての皮はみんなも持ってる。ほれ」

 

そう言ってリットンさんは腰に付けていた小物入れから白と黒のボロボロになった槍ケースを取り出した。

俺には表情はわからないが声は恥ずかしそうな感じだ。

はっきりいってリザードマン系の表情が未だにわからん。

声色、雰囲気で判断するしかない。

 

「俺は下手でボロボロだったがな」

 

アレか?自分の最初の狩の思い出と後輩への気配りから最初の皮をもらえるのかな?

初給料や入学祝いに近いのか?でもめっちゃうれしい。

何にしよう?靴・・・いや。

小物入れかな?それともナイフのカバーとか?

 

「ハハハハ。皮をどうするか考えてますね。みんなそんな顔をするんですよ」

 

俺の顔を見てマキマムさんが笑う。

そんなに顔に出てたかな?

皮をどうするか考えてる顔ってどんな顔だ。

ちなみに残りの足はリットンさんが終わらしてくれた。

使わない肉は深く穴を掘り埋める。

必要な物だけ持って帰る。

 

「よし。そろそろ戻るか」

 

また同じ様に荷物と隊列を組み帰りを進める。

そういえば『行きは良い良い帰りは怖い』と言う言葉があったな。

どういう意味だったかな?なんて疲れていたのかくだらない事を考えながら歩く。

 

「クロ大丈夫か?」

 

タニアさんが声をかけてくれる。

ダメだな集中力が欠けている。

 

「もう少しだからな」

 

「はい」

 

疲れが出てきたのか帰りから俺のペースが極端に落ちた。

もう一度気合を入れなおす。

周りに危険は無いか等に気を配る。

集中力が切れる前に村が見えてくる。

 

「もう少しだぞ。がんばれ」

 

100里の道を行く者は99里を持って半ばとせよ。

遠足は帰るまでが遠足だ。

等の言葉が頭を掠める。

もう少しだ。

後数歩がんばれ。

そこの木までがんばれ。

その大きな草までがんばる。

門が見えたから門までがんばる。

と少しづつ自己暗示して戻って来た。

 

「お帰りなさい。みなさん無事で何より」

 

門番のシュバルツさんは俺達を確認してから門をあける。

やっと帰ってきた。

少し、いや大分調子に乗ってた。

狩を舐めてたわ。

滅茶苦茶しんどい。

 

「クロさんにお客さんが来てるよ」

 

「え?」

 

シュバルツさんが俺に言った言葉が一瞬理解できなかった。

俺に客?誰だ?もしかしてミーナに言ってた商人か?

 

「だれですか?」

 

「カキタニ ショウタだ。クロさんと同じ種族だ」

 

「え?」

 

カキタニ?ショウタ?柿谷将太?はあ!?

 

「え?ちょっと待って!シュバルツさん!えっとこんな感じの体系の!?」

 

俺はあたふたしながらこう小太りな感じにポーズを取る。

わかってくれるかな!こんな感じ!!

 

「落ち着け。たぶんその人であってるからクロさん落ち着いてくれ」

 

(マジで!?嘘だろ!?どうして!?)

 

「ちょ!クロ!」

 

俺は荷物を放り投げ走る。

疲れなんて吹き飛んだ。

将太が来てる?

なんで?どうして?

頭が酸欠でぐるぐるするがそんなことよりまず会いたい。

村を周り将太を探す。

 

「はぁはぁ」

 

ミーナの家に着きドアを開ける。

少し乱暴に開け過ぎたのかすごい音がした。

 

「・・・クロ?」

 

「クロさん?」

 

「将太?」

 

将太だ。

俺の知ってる姿で湯のみを持って座ってる。

ああ・・もう会えないと思っていた友人の姿だ。

 

「将太!」

 

「うお!?」

 

俺は将太に思わず抱きついてしまった。

そして泣き出ししまった。

 

「も・・う・会え・・・ない・・と・・」

 

「ク・・・・ロ・・・」

 

「あの~クロさん。将太さん苦しそうですよ?」

 

ミーナの言葉でハッとする。

今の俺は少しマッチョだ。

こうやって思いっきり抱きついたら苦しいだろ。

 

「すまん!」

 

「いいんだが・・・どうしたその体?」

 

あ~話す事がいっぱいあるな。

その前に

 

「ミーナ。すまないが俺の分も飲み物を貰ってもいいか?」


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