「晩ご飯ですか?」
ミーナは不思議そうな顔をする。
「そう」
まずは材料集めだな。
集められそうなのは
トマト
猪の肉
モリス(サトウキビ)
後は畑を回る事と調味料だな。
「ミーナ、食材を集めたいんだがどうしたらいい?」
「ん~みんな言えば貰えると思いますが・・・何が欲しいですか?」
「そうだな。調味料とか欲しいから村の案内ついでに交渉とどんな味か教えて欲しい」
「分かりました!」
ミーナはぴょんぴょんと俺の前を跳ね村の案内と食材の交渉をしてくれる。
村には井戸や倉庫等があって作物が取れなくてもある程度備蓄もあるようだ。
調味料だが聞けば塩はあるそうだ。
削っても少ししたら再生する1メートル程の大きさの岩塩だ。
後、唐辛子があった。聞けば、眠気覚ましとカイロ替わりに使うそうだ。
野菜類はアケビ、林檎、人参、じゃがいもに似た芋、青い苦い果実、木苺があった。
青い果実は【ポール】と言って苦くエグミが強いが毒消しになるそうだ。
つかモリスより林檎をくれよ。
余談だが倒木にシメジに似たキノコが生えていた。
流石に使わん。キノコは怖い。
後は油があれば・・・
猪の肉を見たが種類が違うのか脂身が豚と比べ物にならない程少なかった。
(油・・・・)
オリーブ 菜種 動物生 後は?
「ん~」
「どうしたんですか?」
交渉で今日も宴会で今日のメインは俺の料理になった。
そのおかげ?で目の前には大量にあった。
「油がな・・」
「油ですか?油なら【ミット】さんの・・」
「すまんが、それ以外だ」
【ミット】・・なんちゃらさんは二足歩行のカエル・・フロッグマンだ。
食用では無く滑り止めの為にフロッグマンのミットさんの油を使うそうだ。
ゴマ、種・・バター・・バターか!?
でも牛乳かぁ・・あるとしたら猪?ヤバイよな・・
「ん~」
「油ですか・・・」
「まあ無くてもいいんだが・・・」
あれば野菜炒めができた。
白菜があれば猪鍋だ。
後はBBQ位か?
(あ・・イケルか?)
昔、アケビの中をくり抜き中にミンチ、野菜を入れて揚げるか焼く料理を見たことがある。
てかよくこれで晩飯作るとか言ってたな!
後は山ならムカゴがあれば自然薯があるんだが・・・
(もう日が暮れるな)
もう山には入れない。
そして火の準備はマキマムさんがやってくれている。
火は外なら釜戸、中なら炭みたいだ。
一度試すか?
まずはミンチを作るか・・
「ミーナ手伝ってくれるか?」
「はい!どうすればいいですか?」
「肉を包丁で粘り気が出るまで叩いてくれ」
「叩くですか?」
「そう、こうやってくれ」
まな板に猪の肉の塊を置き、脂身を出来るだけ取る。
それをある程度細かく切り包丁の裏で叩く。
出来るだけリズムを取るのがコツ・・と聞いた。
「うわぁ~すごいです」
「じゃあ頼んだよ」
「はい」
(・・・・)
椅子を使ってキッチンで包丁を持って調理する裸エプロン姿の兎か・・・
(想像異常にシュールだ)
「トントントン。これ面白いです!」
「それはよかった」
さて、俺はその間に野菜を出来るだけ細かく切る。
その後じゃがいもに似た芋【芋】を擦る。
なんで擦りおろし器まであるんだ。
「粘り気ってこれぐらいですか?」
「うん。こんなものかな?」
いい感じに出てきた。アレ?塩はここでだっけ?
ちょっと塩を入れてもう少し叩いて貰う。
出来た物と野菜を混ぜちょっとだけポールを入れる。
見た目はハンバー・・・あ。
トマトがあるならケチャップが出来て煮込みハンバーグに出来るじゃん・・・
試しにトマトを潰して貰い煮込む予定。
「アケビと木苺と林檎はデザートにするか・・」
林檎は切って温めて甘くなる。
それを木苺の潰したペーストにしてかけるか?
アケビは温めると甘くなるのか?
全部試すか・・・
~試した~
「どうですか?」
ミーナは手元を覗き込む。
俺の手元にはケチャップモドキ
ハンバーグモドキ
デザート2品 アケビ 焼き林檎
はっきりいいってまずい。
ケチャップは品種が違うからかスゲー青臭い。
ハンバーグモドキはボソボソだし肉汁とかはほとんど出ない。
てか玉ねぎや繋ぎが違うし多分血抜きしてないから血生臭い。
デザートも林檎は酸っぱい程アップルパイに合うと聞いた。
そら考えたら砂糖で煮るはずだしな!
だから林檎の酸っぱさ木苺の酸っぱさのダブルで酸っぱい。
アケビはちょっと甘くなったが・・・デロデロになって食べ難い。
「うわぁ~すごいです!」
「そう思う?」
「クロさん。すごく美味しそうな匂いしますよ!」
「・・・本当ですか?」
ちょっとだけ味見してもらう。
「美味しい!」
「これは・・美味しいですね。初めての味です。お酒が欲しくなります」
マジで?
ほっこり。
寝れん。