「ん…ここは?」
目が覚めると見慣れない部屋のベッドに俺は寝ていた。しかも両腕を縛られた状態で。ここがどこなのか、そして何故腕を縛られたのかわからないまま誰かが部屋に入ってきた。
「起きましたか?奏斗さん」
「チノ、ここは?」
「私の部屋です。少し監禁させて頂きました」
「どうして?」
「…奏斗さんがいけないんですよ。私というものがありながら他の女の子と仲良くするなんて…」
「チ、チノ?」
「もう誰にも渡しません…。ココアさんにも、リゼさんにも、千夜さんにも、シャロさんにも…。奏斗さんは私のものです…。永遠に…」
輝きの無い目で見られた瞬間背筋がゾクッとした。今のチノは明らかに正気じゃない。
「 俺をどうするつもりなんだ?」
「安心してください。殺しはしませんよ、奏斗さんを私で満たしてあげるんです。もう私のことしか考えられなくなるように…」
俺は身の危険を感じ、なんとかできないかとじたばた暴れるがチノが俺の上に跨がり静止させる。
「暴れても無駄ですよ…。じっとしててください…」
そして俺の首筋に舌を這わせてくる。
「くっ…チノ…」
「ふふっ、可愛い反応ですね。体がビクビクしてますよ。もっと聞かせてください♥奏斗さんの声を」
「チ、チノ…どうして…」
「私だってほんとはこんなことしたくなかったんですよ…。でも、奏斗さんを確実に私のものにするためにはこうするしか無かったんです…」
「……」
「奏斗さんの事を一番よくわかってるのは私だけです。だから、奏斗さんには私だけいればいいんです。他の女の子なんていりません…」
「チノ…それはお前が決めることじゃない」
「…なんで?私じゃ不満なのですか?それじゃあ、私はどうすれば奏斗さんの彼女になれるのですか?答えてください」
「……」
チノは俺を愛してるくれている。それは理解できた。問題はその愛があまりにも大きすぎるところだ。
「チノが俺を思ってくれてるのはわかってるし、嬉しいよ」
「なら、どうして?」
「でも、俺は…みんなとの関係を壊したくない。今のままで俺は満足してるんだ…」
「…やっぱり奏斗さんは私よりみんなを選ぶんですね…。わかりました。なら、力づくでもあなたを私のものにします」
すると、チノは急に縛っていた俺の両腕を解放した。と、思ったらチノは自らの片腕と俺の片腕に手錠をかけた。
「ふふっ、これで奏斗さんと私はいつでも一緒です♥出掛けるときも、ご飯を食べるときも、お風呂に入るときも、寝るときも…」
「嫌だ…」
「奏斗さんに拒否権はありませんよ。私がこうなったのは奏斗さんの責任ですから…」
すると、チノはテーブルに置いてあった何かを口に含むとすかさず俺に口移ししてきた。
「んっ!?…んむぅ…ん…」
そして更にチノは口を離さず舌を絡めてくる。抵抗しようにもチノとのキスが気持ちよすぎて抵抗できなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
チノがやっと口を離すと俺の意識が段々と薄れていくのがわかった。
「チノ…何を…した…」
「睡眠薬を飲ませました。奏斗さん、悪いですけど少しだけ眠っててくださいね…」
薄れ行く意識のなか、最後に見たのは不気味な笑みを浮かべたチノの顔だった。
この話は1話だけです。もし、続きまたは別の話を書いて欲しいのであれば考えます