異界の召喚憑依術師~チート術師は異世界を観光するついでに無双する~   作:秋空 シキ

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 申し訳ありませんが、今後の展開のため大幅に修正させて頂きました。5/2


【第九話】ゴブリンの襲撃!

 ♪~♪~

 初心者の森を陽気な口笛で突き進むグレイスさんと、たまに薬草の群生地を見つけては摘みとり、黙々と本を読み続ける俺。

 先程から警戒をしているが一向に出てくる気配のないゴブリンやコボルト。

 今は魔法習得のため出てきて欲しくなく逆にありがたく思っていたが、あまりにも不自然である。

 

 俺は一度本を閉じ、脇に抱えると前を見据えた。

 

「出てきませんね」

「そうだね、どうしたのかな」

 

 グレイスさんも神妙な面持ちになり辺りを見渡す。

音響世界なら見つけられるだろうか、しかし、半妖狐になる必要がある。

 

「ちょっと俺。トイレ行っていいですか?」

「トイレ?いいよ」

 

 少し獣道を離れ林の中へ入っていった。

 

 

 

「ここら辺でいいか……妖狐」

 

 一瞬の後、体の底から何かが這い上がって胸にそれが蓄積されていくのを感じる。以前より鮮明に。

 本に書いてあった魔力とは体の丁度、肺にたまっていた。

 

「これが……」

 

 俺は手をにぎにぎさせ、胸に手を当てる。

……まだ、違和感は残ってる

なんとか移動させ、意識下で魔法を発動させられたらと思った。感覚は掴んだ。あとはコントロールするだけ、

 

「………っと今はそれどころじゃないんだった」

 

 俺は急いで音響世界を発動させると頭の中に新しい3Dの地図が出来上がって、半径100M程で止まった。

 

「!っこれはヤバい」

 

 百に下らないかという生物反応。それは俺たちを中心に均等間隔で囲むように広がっており全てがここからは視認出来ない位置にいた。

 

 

 俺は頭に耳、お尻に尻尾が生えてることなんて気にせずにグレイスさんの元へ急ぐ。

 

 音響世界によればまだ攻撃らしきものはされていない。無事である。しかし、だからと言って、ゆっくり戻っていいわけじゃない。迅速にかつ、冷静にと自分に言い聞かせて戻った。

 

「グレイスさん!」

「どうしたの……ってなにそれ可愛い!」

「可愛い?…………っとそんなことよりも囲われています!」

 

 俺は状況を伝え、これからどうすべきかを求めた。

 

「そうだね、とりあえず逃げる事だけを考えて、その策を練ることだよ。焦っちゃいけない」

 

 おお、頼りになる。

 

「で、その策とは?」

「え?」

「いやだからその策はどう考えても、この危機的な状況だとグレイスさんが考えるのが妥当だと。そうですよね」

「え、うん、まぁ……そうだね……どうしよう?」

 

 一瞬にして俺の頭は、こいつ!となっていたが、気付くかなかった責任は両方にあるので息を吐いて自分をおちつかせた。

 

 そしてグレイスさんは、何やら良い案を思い付いたように手のひらに拳をポンと当てる。

 

「思い付きました?」

「いや、そうじゃなくてね。こういうときこそ。冒険者としてどう動くかが大事になるから初心者である君が考えて、私が採点してあげよう。うん」

 

 どうやら正論っぽいことを言って、俺に押し付けたいだけのようだ。

……殴っていいかな

 …………こうなったらあれだな、うん。俺に任せたことを後悔するが良い。

 

「そうですね……逃げるの…止めましょうか倒しちゃいましょう」

「え?ちょ、え?」

「じゃ、頼みました。俺は遠距離から、グレイスさんは近距離で」

 

 そう言って俺は返事をする時間を作らず走り出した。次第に状況が理解できてきた(遅すぎだけど)グレイスさんは、はああああ!?と言って餌にされたことに気付く。

 

 俺は直ぐにグレイスさんの視界から外れると、木に上った。そして周りを見渡しながらハイスペックブックを取り出す。

 

「ここまで来ると大丈夫かな、ゴブリンは木にのぼれないしコボルトは犬だし」

 

 気になるジャイアントベアーという以前俺を襲ってきた熊はここには居ない。

 

「そもそもあいつ推奨LV35だし、よく生きてたな俺」

 

 俺は大勢のゴブリンたちを見下ろせる高さまで上ると下を見た。

 

「さてさてどうなってんのか」

 

 地上十数メートル、思った以上に足場が不安定で怖いが、あいつを懲らしめれると思うとまだ我慢できる高さである。

 

 立ち回る小さな影は短剣を片手に孤軍奮闘していた。

右から迫るゴブリンを切り付け、後ろから降り下ろされる棍棒を半身をずらしてかわし、首を斬る。そして囲われないよう移動しながらゴブリンに飛び掛かっていた。

 だが、度々短剣が届かないことがある。短剣が合っていないのだ。そのため体力を消耗し額には汗が滲んでいる。その表情からは焦りが見えていた。

 

「ふっ、罰が当たったな……さて、ゴブリンの生態」

 

 ハイスペックブックがぺらぺらと捲れていく、そしてとまった。次第に文字がにじむように浮き出てきて知りたい情報を載せていく。

 

「………弱点は火か、あいつの出番だな」

 

 俺はグレイスさんに目を戻した。

 

 いくらLV34ともいえど百体以上を相手に善戦するのは難しい。

 それに丸腰といって良い程の身なりだ。体力が尽きるのは時間の問題だろう。

 自動回復というスキルも気になったが、それも追い付いてない様子。そして身体強化というスキルを持ってる癖に焦って発動すらさせることが出来ていない。

 

 俺はゴブリンの残数が半分程になったところで救いに行くつもりだ。

 グレイスさんは、必死になりながらも奮闘している。

 剣は合ってないが流れるような身のこなしで次々とゴブリンを倒していった。だが、ようやく半分というところで膝をついてしまった。

 

「そろそろいいかな、あいつも反省したろ……火鳥」

 

 瞬間、体中にあふれていた魔力がふっとなくなり、今度は全身が赤い炎に包まれ体に吸い込まれるように消え、背中に炎翼が形成される。

 すかさずステータスをチェックした。

 

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天城 優一

LV3 【15才】 

種族 半人族(ハーフヒューマン)半鳥人族(ハーフビースト)

 

 

HP60/60

MP320/350

 

魔法適性【テトラ】

水 雷 風 時空間 (火炎)

 

固有スキル

【召喚憑依】『召獣載書』(ヴィヴリオ・マギア)

 

【異常回復】『常時回復』

 

スキル

看破lv 2

偽装lv 3

神託lv error

知識本lv error

(纏炎lv4)

(火炎の息吹lv7)

 

能力

飛行lv5

 

 

称号

 

 

 

加護

世界神の加護

 

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纏炎lv5

 

 炎を自分に纏うスキル。形を変えたり、出力を変えたりは術者次第。レベルにより扱い易さが変わる。

 

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火炎の息吹lv7

 

 火竜の使うブレスと同等の威力を誇るスキル。極めればそこら一帯を火の海にすることも可能。レベルによって威力と使用する魔力が変わる。

 

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 俺はさっそく纏炎を使用し全身が火に包まれる。目をつむる。遠距離からの射撃は銃の方が良いのだが構造がわからないため、頭の中で弓矢をイメージしていく。

 身体中の熱気が二ヶ所に別れ、ひとつは弧を描きながら弓の形に、もうひとつは腰の辺りに大量の熱量を感じた。

目を開ける。

 

 腰から矢を取り出すと弓につがえる。

 大きく息を吸いゆっくりと吐き、集中していく。

 

 

 グレイスさんの丁度真後ろにいるゴブリンが棍棒を振り上げた。

 

「今っ!」

 

 ヒュっと一本の火矢が空気を貫きゴブリンの脳天に突き刺ささる。それが棍棒へと触れ燃え上がった。

 

「まだまだぁっ!」

 

 意表を突かれて動きを止めているゴブリンを狙いどんどん矢を撃っていく。矢は面白い程当たっていった。

 ゴブリンのよく燃える腰布に狙いを変える。

 

……俺が時間稼ぎをしている内にグレイスさんはかなり回復して動けるようになっていた。

 立ち上がり、もがいているゴブリンを一瞥して走り出す。次々と動けなくなったゴブリンを切り殺し、ようやくゴブリンの数が一桁になった時、それは現れた。

 

 




  



 

次回 ゴブリン襲撃2

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