異界の召喚憑依術師~チート術師は異世界を観光するついでに無双する~   作:秋空 シキ

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どーもシキです。
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ありがとうございます。


【第八話】冒険者生活、始めから借金地獄となりました

 俺は、キルドの受付からギルドカードを貰い、その内容を見て唖然とした。

 

「借金……16万ルピ」

 

 それは確か、グレイスさんの飲んだ酒代に匹敵しており、もはやそれしかないほど値が同じである。

 つまり、あいつの所持金はゼロに等しいことと、あいつが飲んだ物は俺が支払わなければならないことを表していて、とりあえず俺はあいつとはパーティー解消しようと心に決めた。

 それにしてもあいつはどれだけ飲んだのか、酒だけで16万ルピとは、簡単にいえば160万円である。

 金貨一枚  10000ルピ=十万円

 銀貨一枚   1000ルピ=一万円

 小銀貨一枚  500ルピ=五千円

 銅貨一枚   100ルピ=千円

 小銅貨一枚  10ルピ=百円

 

 この世界のお金の単位である、これを見ればわかるだろうが、返済には金貨16枚必要なようだ。

 

 あいつ今、どこにいやがる。ぶっ飛ばしてやる。

 

 この世界に来て憧れの冒険者やれると思ったら中古車相当の借金負わされるなんてありえるだろうか?

 ないだろう、少なくとも俺は知らない。

 飲んだ酒の種類は、知りたくない。

 

 とりあえず金を稼いで返さねば、ギルドから除名されかねない。

 俺はそう思い、殺気を撒き散らしながら依頼ボードの方へ向かう。不思議と道は開けていた。

 

 

 

 

「えーっと確かFランクの冒険者が受けられる依頼は、と」

 

 迷子の犬探し報酬百ルピ、家のお手伝い報酬五十ルピ、などなど、まともに稼げそうなのがない。

 Fランクである今はその一つ上、Eランクまでの依頼しか受けられない。

 しかしそのランクでさえ、ゴブリン五体討伐、最高報酬千ルピのしかない。

 

「ははは、これは早急にランク上げが必須だな」

 

 もはや乾いた笑いが漏れてしまうほど俺は悲しい現実にうちひしがれていた。

 

 とりあえず、グレイスさんの実力に期待してゴブリン討伐を選んだ。

 

 受付は、その貫禄に並ぶ者の少ない女……ムキムキ女のところに並ぶ。

 

 

「あのねえ~いくら実力に自信あるからってねぇ~いきなりLV3がゴブリンを選んじゃいけないよぉ」

 

 ムキムキ女は間延びした声で、呆れた様に注意をしてきた。

 当たり前だ、実はそれぞれの依頼には推奨LVが書かれており、その内容によればゴブリンの安全討伐はLV10からである。

 

「まあ、今回はシルちゃんがいるから認めて上げるけどぉ次からはしっかり自分に合った依頼をうけてねえ~……はい」

 

 ムキムキ女が受注済と掘られたハンコを押して依頼書を渡してきた。

 

「ありがとうございます。次からは気を付けます」

 

 依頼書を受け取り、謝る時の定型文「次からは気を付けます」を使った俺は、酒場にまだ居すわっているグレイスさんを見つけて連れだしに向かう。

 あいつは、まだ借金を増やすつもりじゃないだろうな、それが理由でパーティーを追われたんじゃと疑問を浮かべて。

 

 

 

「おい貴様、まさかそれはシュワールじゃないだろうな?」

 

「あい?そうでしゅよ?よくわかりましゅたねボクー」

 

 殴っていいだろうか。こいつ一本、二万ルピもする高級酒を飲んでやがった。

 俺は顔を真っ赤にして拳を振り上げる。

 

「こいつがいなければ俺は今頃っ……」

 

「まてまてまてボクちゃん。こいつの酒代は俺が払うから頼むから、それ降ろしてくれ」

 

すると、焦ったように隣にいたイカツイ男の冒険者があくまでその酒を指差し止めてきた。

 

「止めないでくれ、こいつは、こいつは……俺に借金16万ルピ負わせたくせにまだ……!クソッ」

 

 ドン!と思いっきり机に拳をおろすとふぅと息を吐き、酒場のおばちゃんに氷水を二杯頼んだ。とりあえず落ち着け俺。

 

「あんた、苦労してんねぇ」

 

 優しいおばちゃんは机を叩いたことを怒りもせず、同情してくれた。俺は涙目になりながら、まずは自分の熱を冷やすために一杯飲み、残りは……

 

「これで、目ぇさましやがれぇええ!」

 

「ひゃあああ!!」

 

こいつの背中に流し込んだ。

 もう俺はこいつには容赦をしないと決めた瞬間であった。

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 一般的にはよく初心者の森と呼ばれる場所がある。

 そこには、ゴブリンやコボルトといった比較的に弱い魔物の生態系が築かれており、冒険者からしたら、LVもあまり上がらない、珍しい薬草も生えていないで不人気だが、初心者からしたらまさに宝の山とも言える。普通の薬草の群生地とコンビネーションが執れていない魔物の群れで稼ぎ易い場所なのだ。

 

 そして、そんなところに俺たちは来ていた。グレイスさんは、服を着替えあまり装備を着けずに来ている。

 本人曰く、この程度の森で本気でやる必要はないのだとか……頼もしいかぎりだが、少し無用心である。

 かという俺は、装備もない丸腰なのだが。

 

「そういえば、グレイスさんはLVいくつ何ですか?」

「私?うーん……34だね。最近確認してなかったけど3つ上がってた」

 

 仮パーティーを組んでからと言うものグレイスさんは敬語ではなくなった。仮にもパーティーなんだから、気楽に行こう。と言ってた。

 

「っと薬草ですね」

 

 俺は年上には敬語というしっかりとした教育を受けているので、たまに爆発することもあるが、基本敬語だ。

 木の根本らへんに生えていた薬草を摘むとグレイスさんが不思議そうに聞いてきた。

 

「さっきから思ったんだけど、なんで薬草なんか摘んでるの?これゴブリン討伐でしょ?」

「あなたのせいですよ!」

 

 即答してやった。

 誰のせいだと思ってんだ。これでホントに18才かよ。無責任女め。

 

「そうなの、ふーん」

 

……ダメだこいつ……

 

 先程一方的に確認したが、彼女のステータスはこうだ。

 

======================

シルロット=グレイス 【18才】

LV34 【18才】

種族 人族(ヒューマン)

HP680/680

MP1430/1430

 

魔法適性【トリトン】

水 風 回復

 

固有スキル

【白癒】『自動回復』『対象変更』

 

スキル

剣技LV3

槍技LV4

偽装LV1

鑑定LV6

身体強化LV3

 

能力

魔力操作LV5

剣士LV4

槍士LV5

家事LV1

料理LV1

風魔法LV3

水魔法LV2

回復魔法LV5

 

称号

 

回復士 酒豪 剣士 槍士 

======================

 

一応、偽装で隠蔽されているためLVを聞いておいたが、ここまで凄いとは思わなかった。

 因みに偽装は俺の看破の方がLVが高かったため、見抜けた。

 これを見る限り、少なくとも俺とグレイスさんの違いがわかると思う。

 

 

======================

 

天城 優一

LV3 【15才】 

種族 人族(ヒューマン)

 

 

HP60/60

MP350/350

 

魔法適性【テトラ】

水 雷 風 時空間

 

固有スキル

【召喚憑依】『召獣載書』

ヴィヴリオ・マギア

 

 

 

スキル

看破lv 2

偽装lv 3

神託lv error

知識本lv error

 

 

能力

 

 

 

称号

 

 

 

加護

世界神の加護

 

======================

 

 すっけすけである。

 能力とは、その人の技量。スキルとは、特殊能力だ。つまり俺は技量ゼロ、完全に特殊能力に頼る形になってしまっている。

 前回、一度だけ水魔法と幻影付与をあわせて使ったがそれだけでは技量として判断されなかった。まだまだ努力が足りない。しかもあれは感覚でやってたし。

 それに折角珍しい属性、時空間があるのだ。早く使えるようになりたいな。

 そんな時には先輩に聞くのが一番だ。

 

「グレイスさんはどうやって魔法を使ったりするんですか?」

 

「私はね、体にある保有属性の魔力を集めてそれにイメージを被せるでしょ、そしてドーンって感じかな」

 

「なるほど、体の中の魔力か……因みにどうやって集めるんですか?」

 

「うーん……こうギュッとする」

 

「ふんふん、で…具体的には?」

 

「え?だからこうギュッと」

 

「………」

 

 あれだな、もうこの人を頼りにしてはいけないな。

 

 俺は、無言でハイスペックブックを取りだし、自分から白紙のページを捲り始めた。

 

「へぇー、何それ……本?」

 

「はい、馬鹿には何も見えない魔導書です」

 

「……本当だね、って今私馬鹿なの!?」

 

「アアー…ソウミタイデスネ」

 

 本に馬鹿認定されたと、こいつが落ち込んでいる間に“魔法の使い方”と念じる。

 本が自動に捲れ、文字が浮かび上がった。

 

 

 




 苦労する年下主人公、迷惑すぎるヒロイン。
さてさてどうなるのか。
次回、ゴブゴブ……

 訂正、サブタイトルが長すぎるので変えました

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