異界の召喚憑依術師~チート術師は異世界を観光するついでに無双する~   作:秋空 シキ

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第四話です。


【第四話】妖狐 白狼 火鳥

 走る、走る、川に向かって走る。邪な考えは一切とっぱらいただただ集中力を高めていく。

 

「はっはっはっ」

 

 耳にから入る熊の足音に一定の間隔を開け、走っていく。

 川まで目測約30メートル……20メートル……10。

 

 あと少しである。感覚が極限まで研ぎ澄まされているこの状態で失敗はできない。成功の可能性を高めろ、焦ってはだめだと自分に言い聞かせた。

 極限集中とはすごいもので周りの音が俺と熊以外消え、逆にその部分を鋭く感知できるようになった。

 

 もはや熊の心臓の音まで聞こえた時、俺はそれぞれの配置を確認し……川に向かって跳んだ。

 目の前にある、川を二分する岩に手をつき着地。反対岸に向かって勢いを殺さず再び跳ぶ。

 熊を見る必要はない。動きはもうすでに手に取るようにわかる。――――即ち未来予測ができる。

 

「《惑わす霧(ミラージュ・ミスト)》!!」

 

 川が俺を中心に吹き出した濃霧に包まれた。

 

「ガアアアアァァ……ボボボ」

 

 一瞬遅れて熊が水に拐われていく音が聞こえる。

 どうやら成功のようだ

 俺は手をパン!と鳴らし、音で空間把握したあと、華麗に着地する。

 

「フッ、我ながら上出来。さて、逃げるか」

 

 ――――がしかし身体は言うことを聞かずバタリと倒れた。

 

「ああ、そうそう、川の下流には滝があるんだったな。そこで死んでくれると有りがたいんだけど」

 

死亡フラグを残して。

 

 

 

  

 

 その後、意識が覚醒した俺はマジで洒落にならない筋肉痛を現在進行形で味わっている。

 なんとかして仰向けになる。その一つ一つの動作のたんびに腕が、腰が、身体全体が、悲鳴をあげた。そして――――

 

「――――つ……もう夜か」

 

 東京では決して見れないであろう満点の星空を目にした。

 

 

 消耗しすぎたのか、もう一度寝てしまいたいと言っている重い瞼をすり減った精神力で無理矢理持ち上げる。

 

 なにあともあれ生存できて良かったと思う。もう一度あの苦痛()を味わえと言われた気分であった。しかも今回は車じゃなく補食だ。もっと嫌。

 しかしまだ安心していい訳じゃない。やらなければならないことが沢山ある。主に安否確認とか?特にあの熊に対しての。

 

「オープン……」

 

 

 

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天城 優一

LV3 【15才】 

種族 人族(ヒューマン)

 

HP30/60

MP100/350

 

魔法適性【テトラ】

水 雷 風 時空間

 

固有スキル

【召喚憑依】『召獣載書』(ヴィヴリオ・マギア)

 

 

スキル

看破lv 2

偽装lv 3

神託lv error

知識本lv error

 

 

能力

 

 

 

称号

 

 

 

加護

世界神の加護

 

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「はは、あいつ死んだのか」

 

 ホッと息を吐く。

 俺は殺してないから間接的に殺しても経験値は入るのか。ひとつ学んだ。

 

 さて、ステータスの確認だ

 まずは、スキルの使い方だな。

 多分、先程のあれは召喚憑依ってやつだと思う。それ以外該当しそうなのが無いのがその証拠だ。しかもその性能はピカイチで応用までできるチート。

……しかし感覚的にやってたため、もう一度使用できなければ意味がない。

 

 とりあえず俺は固有スキルをタッチした。

 

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【召喚憑依】

あらゆる召喚獣を自身に憑依させその力を得る固有スキル。しかし普通の召喚獣と違い、スキルであるため意思はない。(契約は除く)また、召喚の仕方は自分の意思で召喚し憑依できる。スキルの止め方も同じ。

一体召喚憑依させるにつきMP30

 

ポイント50

 

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 胸を撫でおろす。どうやら制限などないようだ。

 

 

 

 続いて俺は『召獣載書』(ヴィヴリオ・マギア)をタッチする。

 

 

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『召獣載書』(ヴィヴリオ・マギア)

 

 

 憑依できる召喚獣

 

 

 

・妖狐(4/300)

固有【九尾覚醒】属性【幻影】

 

・白狼(0/300)

固有【神速】属性【凍結】

 

・火鳥(0/300)

固有【異常回復】属性【火炎】

 

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 これらを見るとどうやら俺は妖狐に憑依させたらしい。カッコ内の数値も妖狐以外0だから合ってるだろう。

 ……にしても召喚憑依ってチートだと思う。召喚憑依の説明を見る限りまだ召喚できる獣もいるだろうし、そいつらの固有スキル、属性も使えるのだ。しかも見たところどれも強力そうな。

 あと気になるのは召喚憑依させた時のステータス。こればかりは試さないとわからないので試す。

 先程と同様、妖狐でいく。幸いMPには問題ない。

 召喚というのは意思でできるため言葉にする必要はないだろうが、俺は初心者だ。分かりやすくするために言葉にする。

 

「召喚……妖狐」

 

 一瞬なにが起こったのか分からなかったが、身体の奥底から先程と同様、凄まじい力の濁流が流れてきて理解した。これすごいわ。

 

「もう変わったのか……」

 

 うおなんだこれ?頭の上に耳が生えてる?。お尻には尻尾が一本。……ふさふさだ……

 ――――っと感心してる暇はないなステータス確認しないと。

 

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天城 優一

LV3 【15才】 

種族 半人族(ハーフヒューマン) 半狐人族(ハーフビースト)

 

HP60/120

MP140/700

 

魔法適性【テトラ】

水 雷 風 時空間 (幻影)

 

固有スキル

【召喚憑依】『召獣載書』(ヴィヴリオ・マギア)

【九尾覚醒】『一尾解放』

 

スキル

看破lv 2 (4)

偽装lv 3 (6)

神託lv error (error)

知識本lv error (error)

(幻影付与lv1)

(音響世界lv5)

 

 

能力

 

 

 

 

称号

 

 

 

加護

世界神の加護

 

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「なんだこれ?すごいってもんじゃねえぞ?」

 

 ステータス上に【九尾覚醒】の欄が出てきたため、タッチする。さてさて何がどうなってるのか

 

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【九尾覚醒】

 身体能力だけでなく、魔力、スキルまでもがそれぞれ単純に高くなる固有スキル。 

 またこのスキルを発動させた状態で魔法を放てば元に戻ったときに魔力の節約となる。

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 これはまた、チートなスキルだ。あとは白狼と火鳥か、どんなものが待ってるやら。楽しみである。




 感想、アドバイス、誤字脱字報告待ってます。

 次回、えーと、街へ行きます。多分……

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