俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸

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つぐに先輩とか言われてみたい……。

新しいタグは今後の保険みたいな感じです。

それでは七話です。


第七話 何気ない日

~奏side~

 

 

ある店の開店時間とともに家を出る。目的地は商店街にある、とある珈琲店。

商店街を歩いて行き、その場に着く。

 

「いらっしゃいませー!」

 

扉を開け店に入ると店員が挨拶をしてくる。

 

「おーっす」

 

「あっ、おはようございます先輩」

 

羽沢つぐみ。ここの店の娘で、俺の後輩でもある。

 

「今日はどうしたんですか?」

 

「宿題……とのんびりとな」

 

持ってきたバックを見せる。

家よりも落ち着くがこっちも落ち着く。昔からここに通ってるせいか、この雰囲気に慣れているというのもあるのかもしれない。

 

「飲み物はいつものでいいですか?」

 

「ああ、頼む」

 

今日は人が少ないらしく丁度いい感じだ。いつも座っている奥の席に座りノートやら教科書やらを取り出す。

 

「勉強頑張ってくださいね、先輩」

 

つぐみはコーヒーを机に置き仕事に戻る。

 

「(さっさと終わらせてゆっくりとするか)」

 

 

 

 

~花音side~

 

「ここ? 花音さん」

 

「うん、そうだよ」

 

日曜日のお昼、美咲ちゃんとお出掛けをする事になった。それで私がよく行くカフェに行く事になったのだが……。

 

「道……迷わなかったね。もしも迷ったらあたしは場所を知らなかったからさ……」

 

とても安堵している。

そう、美咲ちゃんは道のことを心配していたらしい。

 

「行きつけの場所だから大丈夫って……でもごめんね? 心配させて」

 

そう言いながら私は扉を開ける。

開けたらコーヒーのいい匂いがする。

 

「いらっしゃいませー!」

 

「つぐみちゃんこんにちは」

 

店員のつぐみちゃんが挨拶をしてくれる。

 

「花音先輩こんにちは。それとハロハピの――」

 

後ろにいる美咲ちゃんを見ている。気づいた美咲ちゃんは紹介をした。

 

「ミッシェルの中の人こと奥沢美咲です。確かAfterglowの人ですよね?」

 

「はい! Afterglowでキーボードをしています、羽沢つぐみって言います。よろしくお願いします!」

 

「こちらこそよろしく。それで……花音さん、どこに座るの?」

 

言われて周りを見渡す。どうやら一番奥の席が空いてるようだ。

 

「じゃあ……一番奥に行こっか」

 

私が奥に行こうとする前につぐみちゃんが声をかけてきた。

 

「そういえば今日は草薙先輩も来てますよ」

 

「そうなの? 見た感じどこにも居ないけど……?」

 

「あれ? 勉強するって言ってましたけど。帰っちゃったのかな?」

 

「いや、居ますよ草薙さん」

 

先に奥に行っていた美咲ちゃんが指でちょんちょんと席を指す。

 

「?」

 

分からないで奥に向かう。

 

「わぁ! 草薙先輩……なんか可愛い……!」

 

そこには寝ている奏くんが居た。

両腕を重ねて枕代わりにしている。その腕の下にはノートや教科書が広げられているのを見ると、勉強をしていたのが分かる。

丁度ぽかぽかしている場所に座っているから眠気が差したのだろう。

 

「草薙さんが居るなら……花音さんどうします? ……って花音さん?」

 

「……えっ? えと、ごめんね……つい」

 

パシャリと写真を撮っていたところ美咲ちゃんの声に気づく。

私の隣ではつぐみちゃんも写真を撮っていた。

 

「えへへ、今度蘭ちゃん達に見せよ〜」

 

「……ここに座ろっか?」

 

私は奏くんの前に座る。

 

「じゃああたしはここで」

 

美咲ちゃんは私の横に座った。

メニューを見て美咲ちゃんは注文をする。

 

「これとこれ、お願いします――」

 

「(奏くん、可愛い寝顔……)」

 

気持ちよさそうに寝ている幼馴染みを見て思わず顔が緩む。

 

「ふふっ……♪」

 

つんつん、と顔をつつく。それに奏くんは少し体を動かして抵抗をする。

 

「花音さん楽しそうですね」

 

「そうかな?」

 

「そうですよ。……花音さんって草薙さんが絡むと性格変わりますよね?」

 

どこか踏み込むように言われる。

 

「幼馴染み、だから……かな?」

 

「幼馴染み……ねぇ」

 

持ってこられたコーヒーを飲みながら考えるように言う。

 

「ま、花音さんが楽しそうならあたしはそれでいいですけどね。あ、メニューどうぞ」

 

メニューを受け取り店員さんに注文をする。頼んだのは取り敢えず紅茶だ。

 

「(……そう、私達は幼馴染み。でも私は――)」

 

この心に秘める気持ち、いつか奏くんに届けたい。でもそれに恐怖を感じる。奏くんは私の事をどう思ってるのか分からないから……、幼馴染みのそれよりも上に進むというのが、踏み出す勇気が今の私には無いから。

 

美咲ちゃんの意味を含む言い方に自分達のあり方を考える。

 

「す、すいません。そんなに考えさせるつもりは無かったんですけど……」

 

「う〜ん……奏くんの気持ちが分かれば、こんなに考えないのかなぁ……」

 

ふと漏らした言葉。

奏くんが私をどんなふうに思ってるのかを知りたい、けどそれを聞くことが私には出来ない。

 

「まぁあまり考えないでくださいね。私達ハロハピは笑顔じゃないといけませんから、こころが何か言ってきますよ」

 

「……そうだね。うん、ありがとう美咲ちゃん」

 

「ん、当然ですよ」

 

この話が終わる合図になった。

 

「じゃいつもみたく話しましょうか。三バカもいないんだし」

 

「あはは……、えっとね――」

 

美咲ちゃんが笑いながら言う。

それに私はいつものように安心しながら、話を切り出した。

 

 

 

 

〜美咲side〜

 

 

「――花音ってやっぱり髪、綺麗だよな」

 

「か、奏くん……恥ずかしいよ……」

 

え? 何? あたしがお手洗いに行ってる間に一体何が!?

 

ちょっと席を離していたあたし、帰ってくると二人が先程とは違う雰囲気(両方寝てたけど)を出していた。

 

「ずっと触ってても飽きない……久々に触るからかもな」

 

右手で花音さんの髪を触る草薙さん。傍から見るとただイチャイチャしてるカップルだ。

 

「うぅ……美咲ちゃん帰ってくる前にはやめてね?」

 

「別にいいじゃないか、帰ってきても。昔はよくしてただろ?」

 

「そっ、そうだけど~! でも……私、恥ずかしいんだよ……?」

 

花音さんあたしもう居ます。隠れて見てます、すいません。

心の中で謝りながらこっそりと二人を見続ける。

 

「(よし、落ち着け奥沢美咲。冷静になれ、この短時間で何があったか、思い出すんだ……)」

 

そうしてあたしは数分前の行動を思い出す。

 

 

 

「…………」

 

無言であたしは席から離れる。その理由はお手洗いと――。

 

「ぅん……」

 

花音さんが途中でうとうとし始めて寝たから。

 

席を離れ移動する前に花音さんを見る、失礼だがとても年上には思えない。いつもふわふわとして、優しくて、みんなに振り回されても笑顔でどこか楽しそう。

そんな花音さんを見てきた、だが。

 

「(でも草薙さんには……)」

 

草薙さんには違った。

いつもとは違う花音さんを見た、だから昨日はとても新鮮だった。

 

「(幼馴染みか、もう付き合ってもいいと思うくらいだけど)」

 

歩きながら思う。

あたしには幼馴染み、それも男子のなんていない。だから花音さんが今どんな気持ちなのかは分からない。例えいても分かりはしないだろう。

でも、楽しそうなのは分かる。

 

お手洗いが済んで席に戻ろうとする、そこで羽沢さんに呼び止められた。

 

「奥沢さん~!」

 

「羽沢さん? どうしたの? あと美咲でいいよ」

 

「ほんと? じゃあ私もつぐみでいいよ。えっとね、あのは二人どんな感じ?」

 

あの二人とは花音さんと草薙さんだろう。

 

「どんな感じって、何も無いよ。二人共寝てるからね」

 

「え〜! そうなの?」

 

つぐみはガッカリそうに言う。

 

「あーでも、草薙さんが起きたら面白い事になるかも……」

 

「面白い事?」

 

「そうだよ。でもちょっと困る……かな?」

 

微妙な笑顔を作る。何かを思い出してるようだ。

 

「? ま、あたしは取り敢えず戻ります、そうなってるかは自分の目で確認した方が早いので」

 

 

 

うん、思い出したけどさ……。

 

「(ひょっとして、あれが?)」

 

つぐみの言っていた困ることなのだろうか。でも花音さんは嫌がってない……というか嬉しそうにも見えるが。

 

そのまま二人を見続けていると、草薙さんに動きがあった。

 

「…………」

 

急に髪を触れていた手を下ろし無言になる。

後ろからだと何があったのかよく分からない。それと花音さんは胸をなで下ろしている。

 

「(も、戻るなら今かな……)」

 

あたしはなるべく自然な感じで席に戻って花音さんに声をかける。

 

「か、花音さん起きてたんだ」

 

「あっ……う、うん……」

 

お互い気まずい。

別に直接何かをした訳では無いが……。

 

「…………」

 

「…………」

 

つい無言になる。

花音さんはさっきの恥ずかしさでだろう、あたしはというと動揺を頑張って隠してるつもりだ。

 

そして、その無言の空間を破ったのは意外な人物だった。

 

「ん……んん、あぁ〜~っ!」

 

 

 

 

〜奏side~

 

 

大きく背を伸ばして起きる。

 

「あれ? 何で二人が居るんだ?」

 

起きるとどういう事か花音と美咲が目の前に座っていた。

 

「あっ……えっとですね……」

 

「えっとね、お昼にカフェに行こうって私が言ってね……それで奏くんが居たから……」

 

まぁ、花音らしいといえば花音らしいか。

というかもう昼なのか、結構寝てたんだな。

 

ベルを鳴らして店員を呼ぶ。

 

「コーヒー一杯」

 

注文をしてから話を続ける。

 

「花音は分かるが、美咲は無理に付き合わなくても……。こんなよく分からん男と同席なんて嫌だろ」

 

「いえ、草薙さんはハロハピのメンバーなんですから、よく知るという意味では逆にありがたいですよ。花音さんに感謝です」

 

嫌がる素振りなんて見せずに言ってくれる。そんな彼女にどこか嬉しさを感じた。

 

「そう言ってもらえると助かるな。せっかく会ったんだ、適当に話すか。時間はあるだろ?」

 

「花音さんがいいならあたしはいいですよ」

 

「ほんと? ……じゃあ奏くん、今日は一緒に過ごそうね」

 

柔らかく微笑んでくれる。

本人は自然に言ってるつもりだろうけどやっぱりドキッとするな……。

 

「ああ。でもマジで適当に話すだけだけどな」

 

「……まぁ、あたしはそういう時間も好きですけどね」

 

美咲がクスッと笑う。

その時に注文したコーヒーが届いて話を始めた。

 

「(こういうのも、たまにはいいか)」




今回の話の奏の妙な行動については次の話にて分かります。

明日で終わりですけど今回のイベのりみりん可愛いですよね〜。次のイベはアフグロだったらな~……(つぐ中心のイベ希望!w)

今回も読んでもらいありがとです!

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