俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸

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主人公の高校の名前は春明(しゅんめい)高校。略は(はる)高です。一応説明をしておきます。

それでは第二話です。


第二話 賑やかな公園で

~奏side~

 

昨日は幼馴染みと一日を過ごした。

そして今日は月曜日、当然のように学校がある。朝ご飯は家にいない親に代わり俺がご飯を作っている。

 

「未来ー、朝飯出来たぞー」

 

階段の前に立ち二階へ向け声を発する、すると物音と同時に返事がくる。

 

「はーい!」

 

机に料理に並べて未来が降りてくるのを待つ。その間に親の事を思い出す。

俺ら草薙家は割と変な家庭だ。母は仕事で遠出をしている、これはまだ分かるのだが問題は父親の方だ。何を思っての事だろうか日本各地をふらふらとしているらしい。

 

しばらくすると未来が制服を身にまといリビングに来た。

 

「今日も美味しそうだね~!」

 

いただきます、と言って食べ始める。

 

「毎日聞いてる気がするが……」

 

俺も一緒に食べる。

だが毎日聞いていると言っても、自分の料理を褒められるのは嬉しい事だ。

 

「もしもお兄ちゃんが結婚して、家を出てい――」

 

突然そんな事を言い始める。

未来はそこまで言ってなぜか間が空く。

 

「――く事は無いね。お姉ちゃんだし」

 

当然と言わんばかりに言って箸を進める。

 

「どうして花音が出てくんだよ、そもそも付き合ってもない」

 

妹の未来もだが、俺と花音を知ってるやつは妙な誤解をしてるやつが多い。

例えば母さん。たまに帰ってきて最初にいう言葉は「まだかのちゃんとくっついてないのね」だ。中学の頃に周りで噂になった事だってある。

 

「え~っ!? お姉ちゃんってお兄ちゃんの事好きだよ?」

 

「“友達として”だろ。異性としてなんて見られてねぇよ」

 

花音とは長い付き合いだ、そのくらい分かる。

 

「じゃあ逆にお兄ちゃんは?」

 

「あ?」

 

俺が花音をどう思っているか、か。

 

「(あまり深く考えた事は無かったな……)」

 

少し黙り込み考える。

 

「友達……だな」

 

可愛い、カッコイイとはお互いに思うがそれ以上に踏み込むことはなかった、それはこれからも一緒だと思う。

 

「この話は終わりだ終わり。あまりのんびりしてると学校に遅れるぞ」

 

話を逸らすようにする。

食事の間、未来はどこか納得していない様子だった。

 

ご飯を食べて皿を片付けた俺は未来とともに家を出た。学校は方向が違い、家の目の前で分かれる。

 

「じゃーねーお兄ちゃん。行ってきます」

 

「おう、頑張ってこい」

 

手を振って見送る。その後で俺も学校へと足を進めた。

 

 

 

 

~花音side~

 

 

「今日は公園でライブをしましょう!」

 

「いいね、こころん!」

 

「また急な……」

 

昼休み。一年生の弦巻こころちゃんと北沢はぐみちゃん、奥沢美咲ちゃんがご飯をしながら会話している。

 

「世界を笑顔にするためよ! いろんな場所でライブするの!」

 

「はぁ。で? どこの公園?」

 

「春明高校の近くに公園あったわよね。昨日見た感じ人も多かったわ」

 

「っ、春明……」

 

こころちゃんが出した言葉に反応してしまう。だってその高校は――。

 

「花音さん」

 

「えっ? な、何美咲ちゃん?」

 

急に声をかけられて驚く。

 

「いや、ちょっと変な感じがしたから……。悩んでる事があったら言ってくださいね。花音さんの力になれるならあたし、出来る事はするつもりなんで」

 

「ありがとう美咲ちゃん。でも大丈夫だから、気にしないで」

 

笑顔を作り答える。

春明高校は奏くんが通ってる高校。その高校の名を聞くと一番に奏くんの顔を思い出してしまう。

 

「(もしも奏くんの帰る時間と重なれば……)」

 

「花音? 元気が無いわよ? どうしたの?」

 

「な、なんでも――」

 

首を横に振る、そして話を今日のライブにもっていく。

 

「そ、それで……今日のライブはどうするの?」

 

「そうね~。まずは薫を迎えに行って公園に行って……」

 

こころちゃんが予定を立てる。それにはぐみちゃんが付け加える。

 

「ミッシェルも呼ばないとね!」

 

「そうね! ミッシェルは――」

 

こころちゃんは美咲ちゃんの方を見る。

 

「あーはいはい。ミッシェルはあたしが呼んでおくので、ご心配なく」

 

今になってもこころちゃん、はぐみちゃん、薫さんの三人はミッシェルが美咲ちゃんなんだって気づいていないらしい。

でもそれが三人らしいというか……。

 

「細かい設定はあたしがやっとくから問題は無いね。まぁ謎の人たちとだけど」

 

「あぁそうだわ花音」

 

「何? こころちゃん」

 

解散する前に呼び止められた。

 

「私達ハロー、ハッピーワールド! は周りを笑顔にするの、それなのにあなたが暗い顔してちゃ元も子もないわ。悩みがあるのなら私達に相談してくれてもいいのよ?」

 

「なになに、かのちゃん先輩悩み事?」

 

「別にそんなんじゃ……」

 

それに美咲ちゃんも入ってくる。

 

「珍しくこころの意見に賛成。さっきも言ったけど一人で悩まないでください。その……あたし達は、仲間……みたいなもんですからね」

 

気恥ずかしそうに言ってくれる。

でもこれは、こればっかりはまだ言えない。私自身で、私の音で振り向かせたいから。また一緒に音楽を奏でるために……。

私の――

 

「えへへ……。ありがとうみんな。でも本当に大丈夫だから、心配かけてごめんね」

 

こころちゃんは少し間を置いて。

 

「……花音自身がそう言うのなら深くは言わないわ。でもあたし達は“仲間”それだけは覚えていてね。仲間は裏切らないわ」

 

そうして昼の話し合いは終わった。

みんなが教室に戻り、私一人になった時にもう一度思う。

 

「(私の――思いを伝えるために)」

 

 

 

 

~奏side~

 

 

「じゃあな草薙」

 

「おう、また明日な」

 

クラスメイトと挨拶を交わして教室を出る。俺は未来と違い部活には入っていない、運動が出来ないわけではなくただやる理由が無いからだ。

 

学校を出て帰路につく。

丁度喉が渇いていたので近くの公園で飲み物を買って帰ることにした。

 

「(何か……こんなにこの道って騒がしかったか?)」

 

どこかいつもと違う帰り道に違和感を覚えながら歩く。人が公園の方目指して走っているようだ、特に小学生が多い。

すると僅かにだが音が聴こえてくる。それも公園に近づく度にだ。

 

「向こうで楽しい事してるだって!」

 

「マジで!? 行こう行こう!」

 

俺の横を小学生二人組が走り去っていく。

その二人組の通った道を沿うように歩いていくと、やはり公園に着いた。

 

音はハッキリと聴こえる。それもこの音は今も昔もよく聴いていて、俺は辞めた音。

そして次の瞬間、俺は自分の目を疑った。

 

「な――」

 

公園に入ったらすぐに子供や地域の大人達が集まっているのが見えた。それもとても盛り上がっていて、全員が笑顔で賑やかだった。

 

「やっほー! みんな元気ー?」

 

「「「元気ー!!!」」」

 

真ん中で歌を歌っている女の子。そしてその周りを囲むようにそれぞれの楽器を持ってる他の女の子。

バンドだ。

俺が必ず見ないようにしていたもの。それは昔を思い出すから――、だけど今回は違った。

 

「か、かのん……?」

 

ドラムの少女。よく知っている、昨日も会った、幼馴染みの松原花音。

 

「――♪――♪」

 

叩く。ドラムを叩いている花音。その姿に俺は釘付けになる。

 

「――――っ!?」

 

「――あ」

 

叩いている最中に少し観客を見るために顔を向けた花音。俺と目が合う。

一瞬目を見開いた。そして音が途切れないようにドラムを叩き続ける。

 

「みんな楽しんでいってね!」

 

俺はその場から動けずそのライブを終わるまで見ることにした。

終わったら花音にある事を聞くために。




今回も読んでくださりありがとうです。

そういえば、今日からハロハピのイベントが始まりましたね。ハロハピ勢の僕としては頑張るつもりです。
イベで気になるのは美咲のスキル名……こりゃ創作力が――w(みさかのん推し)

それとお気に入りが10件と意外に多くてビックリすると同時に頑張ろうとも思いました。お気に入りやら感想やらでやる気って出ますよね? そんな感じです。

今回は長くなりました、それでは次の話でまた会いましょう。

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