俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸
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待ってる人がいたかどうかはさておいて、この作品のサブかメインか分からなくなるこころのターン開始です。


第十五話 戸惑い

〜奏side〜


家の扉を開け中に入る。
そのまま二階に行こうとしたらリビングに居た未来に声を掛けられた。

「おかえりーお兄ちゃんー」

「……おう」

「ご飯はー?」

「食べてきたから大丈夫。遅くまで起きとくなよ」

はーい、と返事が返ってくる。

それを聞いた俺は二階にある自分の部屋へと行き中に入る。そしてすぐさまベットに横になった。

「はぁ~〜〜~」

深いため息。

あの花音からの告白の後、俺は言葉が出なかった。それは嬉しさと困惑からだ。あの場で俺が頷いていたら晴れて付き合っていたのかもしれない、でも俺は何も出来なかった。

くそ、自然と声が漏れる。

「何やってんだ……俺は……」

あの場で返事をしてよかったのか、むしろ黙ってた今の結末が正しかったんじゃないかと思う。でも心にあるのは後悔だ。

あの花音が勇気を振り絞って言ってくれたのに俺は何もしていない。

「はぁ――」

返事をするだけ、向こうと思いは同じなんだ。ただそれだけのはずなのにこうも難しく考えてしまう。

「(あまり考えた事なかったけど、恋って難しいな)」

その日はよく眠れずに考えていた。




〜花音side~


「どうだったかしら花音」

「う、うん……」

学校で千聖ちゃんから昨日の事を聞かれる。当然といえば当然だろう。きっと彩ちゃんや美咲ちゃんも気にしていると思う。

そして私は話した。
久しぶりの二人でのお出掛け、水族館での話やイルカショー。そして……

「そう頑張ったわね」

告白した事を伝えると頭を撫でられる。私はそれがくすぐったく感じた。

「も、もう! 千聖ちゃんっ……!」

「ごめんなさいね。でも私は嬉しいの。ちゃんと自分の思いを伝えれたのは大きな一歩よ?」

優しい笑顔で褒めてくれる。それはまるでお母さんの様に。

千聖ちゃんは色々な役や仕事をしているからか大人びて見える。それは仕草や行動によく現れていて、私はそんな千聖ちゃんを尊敬していた。

「それで返事は? もうオッケー?」

「――ぁ」

いつもよりも弱い声が出てしまう。

「花音?」

首を傾げて下を向いた顔を覗いてくる。

昨日の私の一方的な告白の後、私は奏くんの返事を聞かずにそのまま駆け足で帰ってしまった。千聖ちゃんは前に奏くんも意識してくれていると言ったが私は怖かった。千聖ちゃんが嘘をつくとは思えない、けどもしも違ったら――。

「返事は、聞いてないの……。怖くて逃げちゃった」

「……まぁ花音らしいといえば花音らしいわね」

「ううっ……」

その言葉がぐさりと心に刺さった。でも千聖ちゃんは次に優しい言葉を掛けてくれる。

「でも後は待つだけでいいと思うわ。奏の事だからすぐに答えを出すわよ」

「うん……そうだね」

奏くんの答えを待つだけ、待つだけなのにどうして――。

これが女の勘というやつだろうか?
あまり感じた事のない事に変な気分になる。

「(こんなにも嫌な予感がするんだろ……)」




~美咲side~


土日は特に何もなく過ごせて、今週も普通に頑張りたいと思いつつの登校。すでに起こりうる問題といえば今週の日曜の久々のバンド練習だろう。三バカが何も起こさなければいいが……必ず何かしら起こるだろう。

「美咲! 美咲!」

そのうちの一人が毎回のごとく私の席に来る。
これがあるから周りからは「美咲と弦巻さんって本当に仲良いよね」とか言われる始末だ。

「はいはい、今日は何?」

普通に返事をする。だけどこころはいつもとは雰囲気が違った。

「あ……えっと〜……。わ、笑わないで聞いてくれるかしら? あたし自身もこういうのは慣れてなくて……」

「? 相談か何か?」

「え、えぇ」

目を逸らしながら言う。

へぇ、こころも悩むんだな~。
普段楽しさを優先的に考えてあまり悩みとか無いと思ってたから意外に思える。

「悩んでるんでしょ笑わないよ。言ってこころ、私でよければ相談乗るよ」

「ありがとう美咲!」

顔を明るくして手を握ってくるこころに少し恥ずかしく感じる。

「(うっ……やっぱり弱いなぁ、私)」

思わず照れて目を逸らしてこころの話を聞く。

それにしても相談ってバンドの事かな? ミッシェルに新しい事をさせたいの! みたいな。
でも雰囲気からしてバンドじゃない気がする。バンドの話しならもっと明るいはずだし……。

「えーと、その……。はっ、恥ずかしいから耳を貸して!」

「うわ!?」

グイッと体を引き寄せられ耳の近くでこころが周りに聞こえないように言う。息がかかって少しくすぐったい。

(す、好きな人思いを伝えたい……けどど)(うすればいいか分からなくて……)

「!?」

ガタッ!

言い終えて私から離れたこころを見る。相談の内容が内容すぎて驚いているのだ。

私は恋の類いについて特別詳しい訳では無い、自分自身それについてはあまり関心がないからだろう。でも何故か私は友達からそういう相談を受ける事が多い。多いのだが……まさかこころが恋についての相談をしてくるなんて夢にも思ってなかった。

冷静を保ちつつ言葉を探して口にする。

「ま、まぁその人にもよるけどこころは真正面から言うのがいいと私は思うかな」

「真正面から……」

「うん。でもあくまでも私個人の意見だからね? 最終的にはこころが決めないと。他校の生徒なら時間合わせるのも難しいだろうし、あまり引っ込んでると他の人に取られたりするかもね」

こころが惚れるなんてよっぽどカッコイイ人なんだろう。だってあのこころが惚れるんだから、それなら他にその人が好きな人がいてもおかしくはない。

「時間なら、水曜日に……もう予定が」

「……凄いね、いつもと違う意味で。準備万端、みたいな?」

「ちっちち、違うわよ! たまたまその日は一緒に練習する日で!」

それにしても慌てるこころを見るのって新鮮すぎて楽しい。いつも脳天気な分慌てる事が全くと言っていい程ないから動画で撮りたいくらいでもある。

「何の練習なの?」

「ど、ドラム……」

ドラム? ライブハウスにでも行くのだろうか。まぁという事はその人は音楽関係って所か。

「うーん……同級生?」

そこを聞いてなかったのを思い出す。聞くとこころは「先輩」と短く答えた。

「うーん。どんな人か分かりさえすればいいんだけど……」

学校も違うおまけに先輩ときた。男性でそんな人なんて草薙さんしか私は知らないから分からない。

「ど、どんな人って……美咲は知ってるわよ?」

「は?」

知ってる? 私が?
そんなはずは……。こころが好きになりそうな男性を私が知っているなんて有り得ない。

「ごめん。分かんない。誰なの?」

「う~〜っ!!」

顔を赤くしてもじもじするこころ。

「――で……よ」

名前を言ったんだろうけどあまりに小さくて聞き取れなかった。

「? 誰、ヒトデ?」

「ヒトデじゃないわよ! 奏よ! 奏!」

奏? 私が知ってる奏という名前の人となると――。思い当たるのは一人だけいる。草薙さんが……。

「(……あれ?)」

私達の先輩でドラムをやっている、そして私はその人を知っていて、その人の名前は“奏”……?

「え? ひょっとして、草薙さん……?」

こくっと小さく頷く。
顔はどうなってるか見えないけど耳が赤くなってるのが分かるから顔はとても赤いのだろう。

それにしてもこころが草薙さんにねぇ。確かに最近草薙さんに反応してたな、とか思ってたけどこういう事か。

「(でもこれはどうすれば……。花音さんも草薙さんの事が好きなのに……、あれの結果もどうなったか知らないし……)」

昼に集まる約束は一応しててそこで聞けるからいいが結果が結果だったら、こころの恋はすぐに終わってしまう。

「(うあああ!! なんで週の始めにこんな悩まないといけないんだ私は!)」

内心一人で騒いでいる。
でもこころの気持ちを無下にはできない。何だかんだで私を信用して聞いてきてくれたんだ、これはちゃんと支えないと。

「こころ!」

柄にもなく机を両手で叩いて立ち上がる。

「わっ!? ど、どうしたの美咲?」

「応援するよ! 私は!」

「え、ええ、ありがとう?」

若干私の行動に戸惑っている。だけど戸惑ってるのはこっちも同じだ。

「(千聖さんの力を借りよう、うん。こころの力になりたいけど状況が状況だ。助っ人が欲しい)」

一つ目の山は昼休みに聞く花音さんの告白の結果。それ次第でどうなるか……。

それから昼休みにまでの授業はあまり頭に入らずに時間はすぎていった。



お久しぶりの小鴉です。

皆さんは確定10連はどうでしたか? 僕はりみりんでした。
それとミリシタ配信開始という事で反応悪い端末の中頑張ってます。(雪歩のSR欲しいです)

と、雑談はこれくらいで作品の話を。
最初に言った通り今回から裏ヒロインこころのターン開始です。何回も言ってますが表現が下手な部分もあるので優しい目で見守ってください。

それでは今回も読んでもらいありがとです! 感想などは気軽にどうぞです!