俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸

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パスパレイベ始まりましたね。
これでパスパレ作品を自分も書いたらどうしようなんて考えてますw


第十二話 放課後の会話

〜奏side〜

 

 

「……総士そこ間違ってるぞ」

 

「え? マジでか」

 

総士の間違いを指摘する。

 

今は学校が終わりその放課後。俺は総士の居残りに付き合っていた。

 

「ちゃんと教科書読め」

 

「あたっ」

 

教科書で頭を叩く。

 

その内容は現代文のプリントを書くというものだ。

今日の授業で寝ていた総士が俺らの担任(現代文の先生)に居残りで終わらせろと言われたのが始まりだ。

 

それでなぜ俺も残っているというと、その担任と総士の会話、帰りのHRに遡る。

 

 

 

 

 

 

「白羽ー、お前今日居残りな」

 

「何でっすか?」

 

「今日俺の授業で寝てただろ。その分のプリントをちゃんと書いて俺に提出しろ。期限は今日までだ」

 

「そ、そんな!?」

 

クラスからはくすくすと笑い声が聞こえてくる。

 

そうこれが現代文じゃなければこうならないだろう。総士はどういう事か現代文だけは点数が低い。それ以外はクラスでトップをキープしている。

クラスでは総士×現代文という組み合わせは既にご愁傷さまという扱いになっていた。

 

そして丁度俺もそう思ってた所でもある。

 

「マイフレン! 力を貸してくれ! 報酬はジュース一本!」

 

後ろの席の俺を見て叫ぶ。

 

俺はため息混じりに言い返す。

 

「足りないな」

 

「二本!」

 

「安い」

 

「むむ……、山吹ベーカリーのパン三つとジュース一本!」

 

「ん……」

 

二人のやり取りが止まる。

 

紗綾の家のパンは美味いからここ周辺だと大人気だ。それを蹴るのは勿体ない。

 

「先生、俺が見るんで大丈夫です」

 

「か、奏~! へへっ、俺は信じてたぜ!」

 

「そうか? 草薙が居るなら安心か。それじゃあ今日はこれで終わりだ、日直」

 

先生は日直を呼ぶ。それは帰りの合図だ。

 

「起立、礼」

 

その言葉とともにHRが終わりそれぞれが教室を出る。

 

総士は俺の方に走ってきて抱きつこうてしてきた。

 

「ありがとうマイフレン〜! これで俺は救われた〜!」

 

「うるさい引っ付くな」

 

早く準備しろ、そう言って総士を押し返す。

 

「了解しました! 奏様!」

 

「はぁ、ノリだけはいいよなぁ」

 

 

 

 

 

 

なんて事だった気がする。

 

そして時間は元に戻る。

 

「うあ〜! 現文めんどくせぇ!」

 

「もう少しだろ、頑張れよ」

 

プリントを見ると半分以上は終わっている。

 

どうして現代文だけ無理なんだろうと思う。

運動神経は抜群そして成績優秀(現代文を除く)、クラスのムードメーカーでもあり男女共に人気のある総士。本人でもどうして現代文だけが出来ないのかは疑問に思ってるらしい。

 

唸り声をあげる総士は気分転換のつもりか、ペンを置き俺に話し掛けてくる。

 

「お前さー日曜とか空いてる?」

 

「あいにく無理だな、予定がある。土曜ならいいぞ」

 

「土曜は俺がダメなんだよ。つぐの家の手伝いがあるからな」

 

見事にすれ違う。

 

でもどうせ、暇だからお前の家に来ていいか? なんて事なんだろうからな。正直どうでもいい。

 

「そんじゃ奏は日曜何するんだ?」

 

「あー?」

 

勉強しろよと言おうとしたら先に言われたのでそちらに答える。

別に隠すような事でもないから言う事にする。

 

「花音と水族館に行く」

 

「はぁ!?」

 

それに何故か驚く。

そうかそうかー、と言って頷く総士。

 

「何だよデートかよー、羨ましいなー」

 

「デートじゃねぇよ」

 

そう、これはデートじゃない。ただの幼馴染み二人が出かけるだけ。

 

……俺と花音は付き合っていないから。

 

「……なぁ奏」

 

「何だよ」

 

急にいつもの明るい声ではなく真剣な声だ。こういう時の総士は相談に乗ったり、心配している時だ。

 

「お前はあいつの事、どう思ってんだ?」

 

「どうって、そりゃあす――」

 

「異性としてな」

 

「――――」

 

言葉を失う。

 

「あの時のお前を支えてくれたのは花音だ。それは幼馴染みだからというものあっただろう、でも本当にそれだけだったのか?」

 

“それだけ”? それだけじゃないのか?

 

「他に何かあったとでも言いたいのか」

 

「はぁ…。本当に鈍感だなお前」

 

少し間をとって続ける。

 

「花音はお前の事を異性として意識してるぞ」

 

「は?」

 

嘘だろ……。

 

「いやいや、それはないだろ……」

 

軽く笑いながら言う。

 

内心では結構焦ってる。だってそんなふうに考えた事は無かったから。

 

「逆にあれでないと言えるお前が凄いわ。天然という所もあるからだろうが花音なりにアピールしてるぞ。こう言われると思い当たる節があるんじゃないか?」

 

思い当たる節……。

 

そう言われるとドキッとする事が結構あった気がする。

 

「まぁ……ある、な」

 

「だろ?」

 

最近花音はますます可愛くなってきた気がする。これは前から思ってた事でもある。

 

「と、これらの事を含めてもう一度聞くぞ。お前は花音の事をどう思ってる?」

 

俺の確信をつく質問を投げる。

 

ここまで来ては自分の意思に嘘なんてつけないし、幼馴染みなんて言葉も使わない。

 

自分の心から思ってる事を初めて口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好き、だ。花音(あいつ)の事。一人の女として」

 

それを聞いた総士はニカッと笑う。

 

「それなら水族館、頑張らないとな!」

 

席を立ってバンバンと俺の背中を叩く。

 

親友が応援してくれている。それに俺は嬉しく感じた。

 

「ありがとな総士」

 

「へへっ、いいってことよ! よーしそれじゃあ――」

 

「それじゃあ、勉強を再開するか」

 

プリントをしまおうとしていた総士の手を掴み止める。

 

「ええ!? もういいだろ? 話もいいところでまとまったしさ!」

 

「それとこれとは別だろ。さ、やるぞ」

 

「そ、そんなぁ〜~!」

 

教室に総士の声が響いた。

 

俺は気付いたこの気持ちを大事にする、それと同時に日曜日の水族館を心待ちにする。

 

「(花音、俺は……)」

 

あの頃、支えてくれた花音に恩返しがしたいと思ってた。そう、もしも……もしも本当にあいつが俺を思ってくれているのなら最高の形で恩返しが出来るかもしれない。

 

「奏〜! ここ教えてくれ〜!」

 

「はぁ……」

 

さっきの雰囲気はどこに行ったのか。でもそれがこいつのいい所、なのか?

 

そんな事を思いつつも感謝をしながら教える。

 

「それはここを――」

 

「ふんふん……なるほどな!」

 

日曜日か。ははっ、こんな事になるなんてな……。

 

俺はその日をとても楽しみにしていたのだった。




さて次は遂に水族館へゴーですよ!

僕は片手で数えれるくらいしか水族館に行ったことがないので表現は下手になりますが頑張ります! なんせ書くのが楽しみですからね!

それでは今回も読んでもらいありがとです!

※追記 誤字報告を受けた総士の「マイフレン」というのは、総士が「マイフレンド」という言い方を一文字抜かした言い方で誤字という訳ではありません。分かりにくい表現ですいませんでした。

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