俺と君を繋ぐ音   作:小鴉丸

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ちょっとした絡みの回です。


第十話 緑との再開、星との出会い

~奏side~

 

 

「……ここも久々だな」

 

一人そう言って扉を開けた。

 

「……ふん、珍しいやつが来たもんだね」

 

「久々に来たのにそれかよ」

 

昨日のこころとの出来事の次の日、俺は学校帰りにライブハウスに来ていた。“ライブハウスSPACE”。昔俺達がライブをしてた場所。そして――。

 

「まだあの写真あるんだな」

 

「人気だったからね。外すにも外せないだけさ」

 

俺達が最後にライブをした場所。

俺は壁に掛けてある写真を見て言った。

 

「……まぁ、思い出だからいいけどさ」

 

その言葉に何故か少し驚いた様な表情をした詩船さん。だがすぐにいつもの表情に戻り話しかける。

 

「それで何だい、何をしにここに来たんだい」

 

「別に理由なんて無い、自然と足が向いたんだ。どうせすぐに帰る」

 

こころに影響されたんだろう。

昨日の時間は俺としてもとても楽しかったと思う。

 

「じゃあここに来たついでにあんたにいい事を教えてやるよ」

 

「いい事? 何だよ俺に関係ない事は興味ないぞ」

 

次の瞬間詩船さんから発せられた言葉は俺としても予想していなかったものだった。

 

「もう時期この店を閉じる事にしたよ」

 

「――へぇ」

 

あんたには関係ないけどね、と付け加えられる。

確かに関係無いけど胸に引っかかった。

 

詩船さんと話していると扉が開き人が入ってきた。

 

「あれ今日は珍しい人が居るね」

 

俺はその声に反応する。声の方を見ると制服の女の子が六人立っている。

 

「ゆり先輩知り合いですか?」

 

「……紗綾知ってるか?」

 

「私は知ってるよ。たまに見るからね」

 

「やっほー、覚えてる?」

 

「お久しぶりです」

 

それぞれが俺を見てから言う。何人かは知っているが二人だけは知らないのがいる。

花女の制服を着ている六人を見ながら俺も言った。

 

「ゆり先輩久しぶりです。それと沙綾、たえ、りみも久しぶりだな」

 

とりあえず知ってるやつらには声を掛ける。

 

「うん、久しぶり奏くん。元気にしてた?」

 

「お久しぶりです草薙さん」

 

「おひさー」

 

「奏さんこんにちは」

 

昔に関わりがあった人とこんな場所で再開するとは思ってなかった。いや、一名はここに来ている事は知っていたが。

 

「ひょっとして音楽再開する気になった?」

 

「まさか。なりませんよ」

 

この人、牛込ゆりさん。俺の一個上で先輩にあたる。バンド“Glitter*Green”のギター、ボーカルをしている。

 

「バンドしてたんですか!?」

 

話していると突然女の子が入ってくる。

 

「……昔な」

 

「私、最近バンドを始めたんです!」

 

「……そうか」

 

短い返事をする。

その子を見ると目を輝かせていた。つい、俺も昔は――と考える。

 

「なぁ、何でバンドなんて始めたんだ? もっと他にもあるだろ」

 

なんで聞いたのか分からない質問。

 

「前に星の鼓動を感じたんです。それでそれを探してて……そしたらバンドと出会って――、これだ! ってなって、えっと……」

 

「要は同じ感じがしたから、か」

 

「簡単に言うとそういう事です!」

 

星の鼓動、それがどんなのかは分からないけど同じ感覚がしたから。なんとも面白い理由だ。“みんなを笑顔に”なんてのも面白いといえば面白いが。

 

「あ、そういえば名前……」

 

この二人からはまだ聞いていないことを思い出す。

 

「私、戸山香澄です!」

 

「市ヶ谷有咲です」

 

猫耳の子が香澄、ツインテールが有咲か。

 

「俺は草薙奏だ。よろしくな戸山、市ヶ谷」

 

「よろしくお願いします! 奏先輩!」

 

「よろしくお願いします」

 

戸山と違い市ヶ谷は物静かな人のようだ。

 

そしてお互いに挨拶も済んで俺は入れ替わるように店を出る。

 

「じゃ帰る」

 

詩船さんに軽く挨拶をして外に出ようとする。

 

「私は待ってるよ。またここで君の音を聴けるのを」

 

ゆり先輩の横を通るとそんな事を言われる。

 

俺とゆり先輩は中学の頃にここで知り合った。

ゆり先輩達の“Glitter*Green”は人気だったのは知っていたが俺達の“Eternal Happiness”も割と人気だったらしい。

ある日、ゆり先輩が俺達のライブを見てその後に声を掛けてきた、それが出会いだ。

 

俺は外に出た後SPACEを見る。

 

「……待つだけ、無駄だと思いますけどね」

 

既に聞こえない声を言って、俺は家へ向かった。

 

 

 

 

「おや、奏じゃないか」

 

「薫?」

 

SPACEから帰っていると珍しいやつとあった。

よく考えるとあまり薫とは話した事がなかったな。

 

「どうしたんだそんな妙なやつと一緒だなんて」

 

その薫の横にいる人物を見て言う。その人物はため息する。

 

「相変わらず失礼ね。これでも芸能人なのだけれど?」

 

微笑みながら言われる。

 

「二人は知り合いだったのかい?」

 

「まぁな」

 

薫が少し驚いたように言う。

その人物とは白鷺千聖。割と、いや普通に有名人でもある。

何で俺と千聖が知り合いかというと花音繋がりなだけだ。

 

「千聖とはお茶をしていてね、今はその帰りさ」

 

「なんというか、俺的には逆にお前らが知り合いなのが驚きだが……」

 

正直な気持ちだ。学校は確か違った気がするが。

 

「親同士に親交があるのよ」

 

それでも以外だが。まぁあまり深くまでいくのはよくないな。

 

「ふむ……そうだ千聖、さっきの事を奏に言ってみてはどうだい」

 

「さっき?……あぁ、あれね」

 

何やら二人が話している。

内容については勿論知らない、けど薫がどことなく楽しそうなのは分かった。

千聖が俺に話し掛けてくる。

 

「あなた日曜日に時間あるかしら?」

 

「日曜? ……あるけど。なんだ厄介事はごめんだぞ」

 

「厄介事なんかじゃないわ。花音と水族館に行ってほしいのよ」

 

「はぁ?」

 

詳しく聞くとどうやら千聖は急に仕事が入って一緒に行く事が無理になったらしい。

 

「話を聞いたけど花音はとても楽しみにしているらしいからね、奏頼めるかい」

 

「あいつが水族館好きなのは俺がよく知ってるし、方向音痴だから一人じゃ無理だろ。それなら行くしかないじゃねぇか」

 

その日に無駄なことに時間を割くよりも楽しめる方がいいし。

花音となら退屈はしなさそうだしな。

 

「それなら良かったわ。花音には私から伝えておくわね」

 

「すまないね呼び止めてしまって」

 

話が終わり薫が謝ってくる。

やっぱり役者だからだろうかこういうちょっとした事でも様になって見える。

 

「別に気にしてねぇよ。ま、それじゃあな薫、千聖」

 

「ああ、また会おう奏」

 

「ええ、また今度」

 

日曜か、花音と水族館だなんていつ以来だろうな。

 

その日を少し楽しみに俺は帰るのだった。




最近バンドリの創作も増えてきたな〜、と感じます。

色んな方と関われて僕としては嬉しいですね。これからも頑張りますのでよろしくお願いします! ともしこれを読んでる作者さんがいたらお互いに頑張りましょうね!

今回も読んでもらいありがとです!

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