所々変な部分があるかもですが温かく見守って下されば幸いです……。
それではどうぞ――
~奏side~
外の天気がとてもいい日曜日の今日。
俺、
「さて、あいつが来る前にある程度は完成させないとな」
エプロンを着てキッチンに立つ、そして準備を始める。
ボウルを取り出してホットケーキミックス、砂糖を入れて混ぜ始める。そしてバターを少し入れさらに混ぜる。
「あ!お兄ちゃん何作ってるの?」
妹の未来が二階から降りてきた。キッチンに身を乗り出すようにして聞いてくる。
「簡単なクッキーだ。今日はあいつが来るって連絡があったからな」
「クッキー!」
目を輝かせながら言った。
「来るのはお姉ちゃんでしょ? あ~あ、私も居たかったな〜」
話をしながら作業を進める。
「なんだどこか行くのか?」
「うん〜。すぐ終わるかもしれないけど学校にね」
部活の格好をしているから部活動だろう。
未来は羽丘女子学園中等部二年生でテニス部に所属している。
「お前の分も作っておくぞ、二人も三人もあまり変わらないし」
「流石お兄ちゃん!大好き!!」
笑顔で言われる。
俺ら兄妹は滅多に喧嘩なんてしない、だからだろうかこの年になってもこんな関係でいる。
「そういうのは好きな男に言え」
「私はお兄ちゃん好きだよ〜?」
「あーそうですか。ありがとうございます未来さん」
しょっちゅうやるやり取りなのでいつものように軽く流す。
「というか行かなくていいのか、部活だろ」
「ああっ! そうだったよ~!」
ドタバタと玄関に行きキッチンにいる俺に声を投げ掛けて家を出て行く。
「お兄ちゃん行ってきまーす!」
「おーう」
扉が閉まり静かになる。
「(そういえば……)」
と、考え事をし始めながら生地をこねる。
「(花音が家に来るのは久しぶりな感じがするな。今でも来るには来るけど昔ほどではなくなったな。今は学校も違うし予定が合わないから仕方ないっちゃ仕方ないが)」
花音とはこれから家に来る女の子だ。所謂幼馴染みという事になる。
家がまぁまぁ近いという事で小、中学校と仲良くしていた。俺は春明高校、花音は花咲川女子学園と高校では別々になったが今でも仲の良さは相変わらずだ。
因みに未来が花音をお姉ちゃんと言うのは、昔から俺と一緒にいる事が多く家にも来ていて遊んでくれていたのでいつの間にか姉という印象が付いたらしい。(未来談)
それと、未来は花音をお姉ちゃんとして慕っている、それに応えるように花音も未来を妹のように扱う。そんな二人を見てると本当に姉妹のように見える。
「――っと、こんな感じか」
生地が完成したので棒を使って生地をのばす。そして適当に型抜きをし生地を抜いて、オーブンで焼く。
その間に皿を準備する。すると――
ピンポーン。
玄関の方から音が鳴った。
来たか。と思いながら俺は玄関に行き扉を開ける。
「あっ……奏くん。久しぶり、だね」
少し笑いながら彼女――松原花音は俺に挨拶をした。
「おう久しぶりだな。入れよ、食べ物作ってるからさ」
「ほんと?えへへ……ありがと……」
リビングに行き花音は椅子に腰掛ける、そして俺はオーブンを確認する。
「いい匂いだね、クッキー……かな?」
お菓子好きの花音はこういうのは鋭い。
「あぁ当たりだ。でももう少し待てよ、さっきしたばっかりだから」
まだということを確認した俺は二人分のお茶を注ぐ。そして焼き上がるまでの間、お茶をしながら二人で話す。
「美味しい……」
「そうか? 普通のお茶だぞ。どこも変わらないと思うが……」
「奏くんと飲むから……いつもと違って、美味しいの……」
「それは嬉しい言葉だな」
一口お茶を飲み答える。
たまに素なのかは知らないが花音は俺に対してこんな事を言う時がある。平然としているが内心はドキッとしたりする。と、いうのは過去の話で中学二年の頃にはこれに慣れていた。
「そういえば――」
「ん?」
花音が口を開く。
「が、学校はどう?」
「春高か? 割と楽しいぞ。二年になってからは少し大変だけどな」
春高とは春明高校の略だ。
「そうなんだ……。その、彼女さん……とかは?」
彼女?
珍しい、花音がそんな事を聞いてくるなんて。
「いるわけないだろ。からかってるのか?」
そう言うと花音はブンブンと顔を横に振る。
「か、からかってなんかないよ! 奏くんってカッコイイから、彼女さんいるのかな……って」
ほら来た。自然に人が照れるような事を言う。
……久々に会ったんだから俺はからかうとするか。
「そう言う花音はどうなんだよ。彼氏」
「ふぇっ!?」
話を振ると可愛らしい声を出して驚く。
「そ、それこそいるわけないよ! からかってるの?」
「ああ、からかってる。それで本当のとこどうなんだよ? 女子校とはいえ少しは男子と会うだろ、登下校とか」
さっきと逆の立場。俺は先にからかいを宣言して花音を攻める。
「会ってもすれ違うだけだよ? 私が話したりなんて、出来るわけ――」
「いや向こうから話しかけるかもしれない。お前可愛いからな」
ガタッ! と椅子が動く。
「かっ、かか可愛い……だなんて、恥ずかしい事言わないでよっ!」
顔を真っ赤にさせて怒ったように言う花音だかこういう事には慣れてないからどこか必死さが伝わる。
「恥ずかしい事って……でも事実だぞ。少なくとも幼馴染みの俺はお前の事を可愛いと思う。未来だってそう言ってるだろ」
「~~~~ッ!」
ますます顔が赤くなる。
「(これくらいでやめておくか)」
満足した俺は軽く花音の頭を叩いてオーブンを見に行く。中を覗くといい感じに焼けていたので取り出して皿に載せて持っていく。
「う~~~~っ!」
なぜか少し涙目になっていた。
「悪かった悪かったって。ほら、クッキー焼けたからこれでも食べて機嫌直せよ」
花音の前に二、三個クッキーの載った皿を置く。
「うぅ……」
それに手を伸ばして一枚取りサクッと食べる。
「…………」
俺はそれを見ている。何がある、という訳ではないが何となくそうしてしまった。
「どうだ?」
クッキーなんて久しぶりに作ったし簡単にしたから味が気になったから聞いてみる。
「…………美味しい」
「そうか、そりゃ良かった」
一枚目を食べて二枚目にいく。そんな花音を見て少しホッとした。
そうして俺らは二人の休日を過ごし始めた。
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