アウトかな?
カラオケから出ると、外は薄暗くなっていた。
次はどこにいくんだろ?
「服を見に行ってもいい?」
「ああ はい」
何店か回ったが風見さんが気にいった服は無く、
買わずに終わった。
うろついていると、お腹が減ってきた。
いい時間になっていた。
「お腹減ったわね」
「減りました」
「そこのパスタ屋でいいかしら?」
「わかりました」
パスタ屋で食事を済ませると、
21時になっていた。
「最後にゲーセンに行きましょ」
「いいですけど」
まさかゲーセンに行くとは思わなかったな。
ゲームは好きだが、
風見さんを置いて熱中する訳にはいかない。
そうなると、二人でするものと言えば……。
「あなたUFOキャッチャーは得意?」
まあ、そうだよなぁ……。
「全くできないです 買った方が安くなるぐらいですよ」
「あら残念 久々にやってみようかしら」
そう言うと風見さんは、お金を入れて操作をした。
そのUFOキャッチャーは『バケバケ』というお化けの、
ぬいぐるみだけが入っていた。
俺は興味も無くジーット見ていた。
「……う~ん……だめね~」
風見さんは何回かやって、いいところまでいくが
結局取れずにあきらめていた。
「あなたも やってみてよ」
「えぇ!?」
ゲーセンはそれなりに行くけど、
UFOキャッチャーなんて何年ぶりだろう……。
2~3回もやれば、風見さんも納得してくれるだろう。
納得してくれるよね? 殴られないよね?
アームを操作して、人形を掴む
結局掴めずに……落ちる……落ち……ない……あれ?
「おっおお!?」
「あら 取れたわね」
なんと一発で取れてしまった。
「うまいじゃないの 最初からやってよ」
「たまたまですよ」
俺は必要ないので、風見さんに『バケバケ』を上げた。
「ありがとう♪」
「いやまあ……」
なんか照れるな……。
ゲーセンを出ると、人は少なくなっていた。
明日は平日で働く人は家にグッバイだ……そう俺も。
仕事やだなぁっとお互いに愚痴りながら駅に着いた。
「いろいろありがとね」
「いやいや 俺も楽しかったですよ」
「……」
「……」
「あっあれなんだろう?」
「???」
風見さんが指を差した方を見ると何にも無かったが……。
「なんですk」
「んっ♪」
ほっぺにキスされた。
「かっ風見さん!!!?」
「じゃあ また明日!」
風見さんは電車に乗って、帰ってしまった。
俺は茫然と立ち尽くしていた。
――
―――
――――
結局頭が熱いまま、家に着いた。
完全に混乱状態だ……。
とりあえず風呂に入って、落ち着くか……。
風呂からあがると、多少は落ち着いてきた。
さっきまで人が居たのに、いざ一人になると、
違和感があるな……。
キッチンを見ると、鍋が置いてあり、
中にはクラムチャウダーが残っていた。
「食べちゃうか……それにしても美味しいな」
残りのパンと一緒に平らげた。
満腹になり、眠くなってきたので寝る事にした。
「寝るのが楽しみだ」
理由はいい匂いがするからだ、消えないうちに寝ましょう。
部屋に入ると薄くなってしまったが、香りが残っていた。
枕に鼻をこすりつける、熟睡できそうだ。
『~~♪』
携帯が鳴った。
確認すると風見さんからLINEが来ていた。
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『こんばんは』
「こんばんは」
『今日はありがとう』
「いえいえこちらこそ楽しかったです」
『私も楽しかったわよ』
『ぬいぐるみありがとう』
「喜んでくれてよかったです」
『また一緒に遊ぼうね』
「はいお願いします」
『また明日ね おやすみなさい』
「おやすみなさい」
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風見さんとのやり取りが終わった。
携帯に汚れが付いていたので、テッシュで拭きとってと。
「……なんだあれ?」
テッシュを捨てようと、ごみ箱を見ると、
なんだか見たことがあるものが……。
コンビニで目に入るが自分には不要な物……
まさか……あれは……。
ごみ箱をあさると……あった……
ストッキングが入っていた袋と……
それと……風見さんが履いていたものが。
手にとって感触と……匂いを嗅ぐ
風見さんの汗……甘いような……酸っぱいような。
「やばい……」
体が熱くなる……一気に臨戦態勢に……。
速攻で自分を慰める。
風見さん風見さん……。
何度も名前を呼ぶ……。
まずいよこれは……。
「うっ……ふぅ……」
一週間は困らない自信はあるね。
でも、明日から風見さんの事がまともに見れねーな。