好きとも嫌いとも言ってない関係   作:lime-255

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好きとも嫌いとも言ってない関係②

「んっ……」

 

いま……何時だ……?

携帯を見て時間を確認

 

「10時か……」

 

まだ寝よう……あれ……

 

「…………風見さん??」

 

「あっ!?」

 

これは夢なのか? バスタオル一枚の風見さんが、

『あっ!?』という感じの表情で目の前にいた。

というか『あっ!?』って聞こえた気がする。

 

スタイルいいな……たわわな果実がこぼれそうだ。

じゃなくて……俺死ぬかな?

 

「……まだ寝てていいわよ」

 

「……そうします」

 

次に目を覚ますと12時になっていた。

 

「なんかいい匂いがする」

 

キッチンの方を振り向くと風見さんが料理をしていた。

 

「おはよう ごはんできるわよ」

 

「わかりました」

 

寝ぼけた頭を覚ますために顔を洗って戻ると

目玉焼きとクラムチャウダーとトーストが用意されていた、

それと……ちょっと怒った顔で風見さんが座っていた。

 

「……」

 

「風見さん?」

 

「冷蔵庫の中を見て驚いたわよ コーラしか入ってないじゃない」

 

「あっはい」

 

「ちょっとは自炊しなさいよ!」

 

「いや……まあ……すいません……」

 

「まあいいわ 冷めないうちにどうぞ」

 

「頂きます」

 

このクラムチャウダーはどうやって作ったのだろうか?

早速飲んでみた。

 

「すごい美味しい」

 

「よかった」

 

……そういえば全部風見さんの自腹じゃん。

 

「あっすいませんね お金返しますよ」

 

「食料代の事? 別にいらないわよ」

 

「えっ……いいんですか?」

 

「宿泊代よ」

 

「なんかありがとうございます」

 

風見さんは昨日からずっとスーツ姿で過ごしていた。

よく見るとワイシャツが違うような……。

 

「ワイシャツ変えました?」

 

「コンビニで買ってきたわ」

 

変えずに過ごすのは抵抗あるよな……

女の人なら尚更だろう。

 

「洗濯機やらお風呂やら勝手に借りてごめんなさいね」

 

「別にいいですよ」

 

洗濯機もお風呂も俺に使われるより、

さぞかしい嬉しいだろうね。

 

…………えっ洗濯機??

なにか洗ったのか??

 

なんかこう……高揚してきた、

風見さんの一日着た何かを洗ったのを想像して……。

 

「どうしたの?」

 

「なっなんでもないっす」

 

朝食なんだか昼飯なんだか分からんものを食べ終わった。

 

「どこか行きたい所でもあるんですか?」

 

「う~ん 取り合えず 隣の駅にでもいきましょうか」

 

「いいですよ」

 

「私は先に外に出てるから」

 

「わかりました」

 

風見さんは先に外に出てしまった。

 

「待たすのは嫌だから さっさと用意するか」

 

自分の部屋に入り準備をする事に。

 

「わぁ……なんだかいい匂いが……」

 

どこだ……? なんだ……? 枕か……?

枕を手に取り匂いを嗅ぐ。

 

「ふわぁ……」

 

頭が溶けそうだ……。

 

手を合わせてあがめたて一言

風見さんありがとうございます。

 

「着替えるか」

 

なるべくオシャレな格好をして外に出た。

 

「お待たせしました」

 

「調べたら もう電車が来るから急ぐわよ」

 

「はい」

 

小走りで駅に向かい到着すると、ちょうど電車が来た。

隣駅なので3分程でついた。

 

「本屋に行きましょ」

 

「わかりました」

 

ここの駅は駅ビルになっており、大概の施設は揃っている。

エスカレーターで上り、本屋に着いた。

 

俺は私服で風見さんはスーツで歩いているが、

他の人から見るとどんな感じなんだろうか?

 

特に欲しいものはないので、漫画の新刊コーナーでも見るかな。

 

「風見さんは欲しいものでもあるんですか?」

 

「いや なんとなくよ」

 

「そうですか」

 

そう言って、風見さんは女性誌に方に、

俺は漫画の新刊の方に。

 

「どれどれ」

 

目新しいものは無しと……

俺の用事はこの瞬間終わった。

 

「適当に見るかな」

 

この本屋はかなり大きく、見て回っているだけで

結構面白かったりする。

 

いろいろ見て回って、ゲームの攻略本を見ていると。

 

「いたいた なんか買うの?」

 

「欲しいものはないです」

 

「じゃあ出るわよ」

 

「次はどこにいくんですか?」

 

「嫌じゃなければ カラオケでも」

 

「お! いいですね!」

 

「好きなの?」

 

「結構」

 

「じゃあ場所は任せるわ」

 

「承知しやした」

 

本屋を出て、よく行くカラオケに連れて行き、

2時間で部屋を取った。

 

「最初どうぞ」

 

「わかりました なにを歌おうかな」

 

デンモクを操作して探すか……

あっこれにしよう。

 

<エピクロスの虹はもう見えない>

 

「いいわね」

 

「こ~の晴れわたる空~♪」

 

いや~カラオケっていいよね

 

「いい声してるわね」

 

「ありがとうございます」

 

俺が歌い終わると、テンポよく風見さんが入れた。

 

「私はこれ」

 

<眠れる花の幽遠の>

 

俺が知ってる曲だ。

 

「眠れる花の香り~♪」

 

「歌うま!?」

 

~~♪

~~~♪

~~~~♪

 

お互いに知っている曲を、

散々歌い10分前の電話が来た。

 

「次で最後にしましょうか」

 

「そうですね」

 

順番的には風見さんだけど、何を歌うんだろ。

 

「一緒に歌わない?」

 

「えっ! あっいいですよ」

 

意外な提案に驚いた。

 

「最後はこれ」

 

俺に聞かないで入れた曲は『紅い宴』……

いやまあ知ってるけど。

 

「私が最初のパートね」

 

「御意」

 

「太陽が~消えてゆく♪ 今から始まる♪」

 

「「私達だけの世界が~♪」」

 

――

―――

――――

 

最後はお互いに熱唱してカラオケを出た。

 


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