【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0075話『由良へのプレゼント選び』

 

 

 

 

…本日は昨日に言った通り今日の夜に発表される由良の改二のためにプレゼントを見繕うという名目で町に視察に来ていた。

同伴は五月雨に夕張だ。

 

「わー! 先日の瑞雲祭りでも来ましたけど鎮守府の外の町には色々なお店があるんですねー」

「そうね、五月雨ちゃん。私もなにか創作意欲が湧きそうなものが見つかればいいけどなー」

 

五月雨と夕張は二人で会話をしながらもあちこちの店を見て回りたいのか時折お店に目を向けていた。

まぁ別に構わないのだけれど今日の目的を忘れてしまっては本末転倒だな。

それなので、

 

「二人とも。今日は由良の改二祝いの品を買いに来たんだから今日は我慢してくれ」

「はい、わかっていますよー」

「由良のためだもんね。試し撃ちもしたいなぁ…」

 

五月雨は元気に答えてくれたけど夕張はどこか不穏な空気をまとっている。

だいたい何を試し撃ちするつもりだ…?

私の感じた不安は少し拭いきれなかった。

まぁそんな感じで町の視察を終わらせた後にとあるショッピングセンターで由良の欲しそうなものを探していた。

 

「提督ー。こんなのはどうですか?」

 

夕張は熊さんパーカーを持ってきた。

でもそれってどちらかというと球磨の方ではないかな…?

 

「提督! これはどうでしょうか!?」

 

五月雨が少し速足で手にマグカップを持ってやってきていた。

小走りの五月雨…。

五月雨はドジッコ属性だ。

ゆえになぁんか悪い予感がしたのですぐに駆けだせるように身構える私がいた。

 

「わっ!?」

 

思った通りだった。

五月雨は足を滑らせたのか商品ごと転倒しそうになる。

 

「夕張! 商品を頼んだ!」

「了解です!」

 

私と夕張はとっさに五月雨とマグカップをそれぞれ倒れないように支えていた。

それでどうにか事なきを得た。

 

「あ、ありがとうございます。提督…」

「ああ。五月雨に怪我がなくてよかったよ。夕張、そっちは大丈夫か?」

「なんとか大丈夫ですよー。商品もどこも壊れていません」

 

それで私達は少し深いため息をついて胸をなでおろす。

 

「あ、あの…提督。いつまでも支えられいると恥ずかしいです…」

 

五月雨のその言葉に気づけば私は五月雨をお姫様だっこのままで支えていた。

それで少し気まずくなったのですぐに五月雨を降ろそうとするのだが、

 

「あっ…」

「ん? どうした五月雨…?」

「あっ! いえ、なんでもないです! なんでも…」

 

五月雨はそれでそそくさと少し名残惜しそうな表情をしながらも私から離れた。

うーん…嫌われたわけでもないんだけど少しその反応は傷つくなぁ…。

まぁ五月雨の事だから恥ずかしかっただけだと思いたい。

そんな事を考えながらも私達は物色を続けていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

うー…恥ずかしいです。

提督にお姫様だっこされてしまいました。

しかもそのあとに私はもっとその感じを味わいたかったのか変な声を出してしまいました。

今私は盛大に顔を赤くしていると思うな。

もし提督が男性のままだったらきっと当分胸のドキドキが止まらなかったんだろうなと思う…。

そんな時でした。

夕張さんが小声で話しかけてきて、

 

「五月雨ちゃん…? 提督とのお姫様だっこは嬉しかった?」

「ふぇっ!? ゆ、夕張さん、な、なんのことでしょうか!?」

「隠さなくてもいいよ? うちの鎮守府の子達はあんなシチュエーションになったら誰だって嬉しく思っちゃうから。多分だけどね」

「うー…やっぱり恥ずかしいです」

「ふー…(照れている五月雨ちゃんも可愛いなぁ…)…」

 

夕張さんがさらに小声でなにかを言ったようでしたがあいにく聞こえませんでした。

何を言われたのか気になってしまいます。

でもそこで提督が少し離れた場所から、

 

「五月雨、夕張。次行くぞ!」

 

と声をかけてきたので、

 

「はーい!」

「今行きます!」

 

私と夕張さんで返事を返してすぐに提督の後を追いました。

この胸のドキドキは今はあまり提督には悟られたくないですから隠しておこう。

まだまだ練度が低い私には過ぎた想いだから…。

 

「五月雨ちゃん? 気落ちしているところ悪いけどもしなにか我慢しているんだったら私に言ってね? すぐに相手になってあげるから」

「はい! ありがとうございます、夕張さん!」

 

やっぱり夕張さんは頼りになるなぁ…。

いつも私の事を第一に考えてくれて私の気持ちの変化にも機敏にすぐに気づいてくれる。

そんな夕張さんだから私も気兼ねなく話ができるんです。

…時折なにか変な視線を夕張さんは私に向けてきているような気もしますけどきっと夕張さんの事だから私の事を考えてくれているんですよね。きっとそう!

 

 

…………五月雨は知らない。夕張は常に五月雨の事を愛しいものとして見ていることを。

夕張の片思いなんだけどきっと五月雨は気づく事はないだろう。

夕張は五月雨以上に気持ちを隠している奥手だからだ。

 

 

 

 

 

 

 

…なにやら私が見ていない間になにやら五月雨と夕張の百合事案が発生していたようだ。

どこか二人の間の空気が甘く感じられるのはきっと気のせいではないだろう…。

二次創作世界でも夕張と五月雨は結構両想いな事がよくある事だったからこの世界でもどこかしらでそんな関係なんだろうな。

それで少し寂しく思いながらも私は私で由良のプレゼントを選んでいた。

そこでふとあるものに私の視線が止まった。

それは長めの白いリボンだった。

私はそれを手に取って少し考えてみる。

由良は髪が長いのでいつも専用のリボンで結んでいるのだ。

少し味気ないけどこんなプレゼントもありかなと私はリボンを購入する事にした。

それでレジへと向かおうとして、

 

「あれ? 提督、なにか決まったんですか?」

「ああ。由良にリボンをプレゼントしてやろうと思ってな。いつものリボンだけじゃなんだからたまにはおしゃれ用にもリボンは必要だと思ってな」

「なるほど…確かに由良は喜びそうですね。いいと思います」

「ありがとう。それでそっちはなにか選べたか…?」

「はい。五月雨ちゃんと一緒にさっきのマグカップをプレゼントしようかと…」

「そうか。よし、それじゃ一緒に購入するか」

「はい」

 

それでレジへと並ぶ際に、

 

「由良さん、喜んでくれるといいですね提督」

「そうだな、五月雨」

「由良の事だからなんでも喜びますよ。親友の私が保証しますよ」

「夕張の保証付きか。なら安心だな」

 

それで私達は由良に対してのプレゼントを購入して意気揚々と鎮守府へと帰っていったのであった。

由良の改二が楽しみだな。

 

 

 




今夜の由良改二が楽しみです。
明日明後日で改に話と任務話を書こうかと思います。

とりあえずゆうさみはジャスティス。




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