【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0074話『由良改二の前祝いの光景』

 

 

 

本日は夕立が一人で執務室へと訪れていた。

いつもなら仲良しの吹雪と睦月も一緒にいそうなものだけど今回は個別で私に用があるみたいだ。

 

「提督さん。正直に答えて…?」

「どうしたんだ夕立…?」

「うん。今週の金曜日に大本営からなにか発表があるっていう話を聞いたんだけど、その日に誰かの改二が実装されるっていう噂を聞いたの」

「相変わらず…」

 

青葉は相変わらず情報を流すのが素早いな。まだつい昨日に出た情報なのにな。

まぁ、由良に関しては前々から知らされていたしやっと来たか!という感想だしな。

でも目の前の夕立はまだ由良が改二になるのを知らないらしく、

 

「その改二になるのって誰なの…? 教えてほしいッぽい!」

「別にいいけど…夕立はその誰かが改二になったらどうするんだ?」

「うん。もし私の思惑通りの人だったら盛大に祝ってあげたいっぽい!」

「そうか…」

 

夕立は由良の事が大好きな部類だったからな。

史実でも由良の最後を看取った艦でもあるしな。

思い入れはあると言っても過言ではない。

 

「わかった。多分夕立の考えている通り今度の改二は由良だ」

「やっぱり! とっても嬉しいッぽい!」

 

夕立はそれでらんらんと瞳を輝かせて由良の改二になる事を祝っている。

口に出すほどに夕立は由良の事を祝うくらいなんだから由良の事が相当好きなんだな。

少し嫉妬をしてしまうくらいには…、

まぁ、それで、

 

「それじゃ夕立。由良の改二が来たら盛大に祝ってあげようか」

「そうっぽい! 夕立、頑張って由良のためにケーキを作るっぽい!」

「それじゃ由良の改二が実装される日に間宮さんの場所を予約を入れておくよ」

「提督さん、ありがとう!」

 

それで夕立は私に遠慮なく飛びついてくる。

うん、やっぱり夕立って犬っぽいよな…。

忠犬が時雨なら夕立は狂犬か…?

そんなどうでもいい事を考えている間に、

 

「それじゃ少し忙しくなるかもしれないっぽい! 間宮さんにケーキの作り方を教えてもらわないと! 提督さん、夕立ちょっとお先に出てくるね!」

「ああ、行ってきなさい」

「頑張るっぽい!」

 

そう言って元気に夕立は執務室から飛び出していった。

夕立が出ていったのを合図に榛名が表に出てきて、

 

《ふふ…夕立ちゃんはとっても元気ですね》

「そうだな。大変元気があってよろしいな」

《由良さんもだいぶ待たされましたからね》

「うん。長門の改二が発表される前から告知されていたからな。だから嬉しさも倍以上はあるだろうさ」

 

それで私はせっかくだから由良を執務室へと呼ぶ事にした。

由良の部屋へと電話をかける。

軽巡寮は人数が少ないために部屋が余っている為に一人一部屋を使っているのだ。

すると誰かが受話器を取ったのだろう。

 

『あ、提督? どうしたんですか…?』

 

受話器を取ったのは声からして阿武隈だけど、あれ…? 由良の部屋に電話をかけたつもりだったんだけどな。

それでどうして阿武隈が取ったのか聞いてみることにした。

 

「阿武隈か? 確か私は由良の部屋へと電話をかけてみたんだけど掛け間違ったか?」

『あー大丈夫ですよ。ちゃんと由良ちゃんの部屋であっています。はい』

「そうか。ならいいんだけど…」

『今長良型で由良ちゃんの改二決定を祝していたところなの』

「なるほど…背後で聞こえてくるどんちゃん騒ぎは長良達の声か」

『はいー。』

 

阿武隈の楽しそうな声と背後での長良達の声が聞こえてくる。

うん、大変元気があってよろしい。

 

「それじゃ少し由良に代わってもらってもいいか…?」

『わかりましたー。由良ちゃん、提督がお呼びですよー』

『はーい』

 

それで由良の元気な声が響いてきて阿武隈に代わって由良が受話器を持ったのか、

 

『提督さん、由良になにかご用ですか?』

「うん。もうそちらでは前祝をしているようだけど私からも言わせてもらおうと思ってね。由良、改二決定おめでとう」

『あっ…ありがとうございます。由良、嬉しいです…』

 

受話器越しで少し泣きが入っている由良の声が聞こえてくる。

おそらく長良達のおかげですでに涙腺が緩くなっているのだろうな。

 

「それでだけど少しいいか…?」

『はい。なんでしょうか』

「由良は夕立に好かれていたよな」

『はい。夕立は私のことを慕ってくれているのは知っていますけど…どうしたの?』

「うん。夕立が由良の改二を祝いたいって事で今頃間宮さんのところでケーキ作りを教わっているだろうと思うんだ」

『本当ですか! わぁ…嬉しいな。ね、ね? それって夕立から聞いた事なの?』

「ああ。直接私に改二の事を聞きに来て由良の改二が決定したって話をしたらとても喜んでいたぞ。ケーキを贈るんだってはりきっていたしな」

『そっかぁ…嬉しいな。ぐすっ…』

 

それで受話器越しにまた感極まっているのか由良のぐずる音が聞こえてきた。

 

「まぁそんなわけだから改二になった日には素直に夕立の贈り物を受け取ってくれ」

『わかっています。夕立からの贈り物なんてとても嬉しいから…』

 

それで少し元気が出たのか由良の声にどこかハリが出ていた。

 

「まぁそれはそれとしてなにか私も改二祝いを考えておくから期待しておいてくれ」

『提督さんからももらえるなんて…もう嬉しすぎて由良、改二になる日まであまり嬉しすぎて眠れそうにありません…』

「そうか。でもそこら辺はしっかりと体調を整えておいてくれ。いざ改二になるだろう日に熱なんて引いたら少し情けないからな」

『わかっています。由良、体調管理に関してはしっかりしているほうなんですよ。お任せください』

「ん、了解した。それじゃそろそろ電話を切るけど前祝いでダウンしないようにな…?」

『はい、それでは提督さん、ごきげんよう』

 

それで由良との電話を切った。

うし。それじゃ私も由良の改二を祝して少し町へとプレゼント探しにでもいくとするかね。

 

「明日には誰かを視察に同行してもらうか。誰がいいと思う…? 榛名」

《そうですね…。無難に由良さん関連で二駆の面々はどうでしょうか…?》

「うーん…そうか。でも村雨と春雨はこの間に一緒に視察にいったばかりだからな。それじゃ残っているのは五月雨くらいか…」

 

よし。それじゃ明日は五月雨とついでに仲良しの夕張を連れて町への視察に行くとするか。

明日の予定が決まったので任務も頑張らないとな。

それで私は本日の任務を取り掛かろうと奮起したのであった。

 

 

 




夕立と由良のカップリングはいいですよね。
これで長良型も後残すは長良に名取だけになりましたね。
由良は果たして甲標的を装備できるのか…? はたまたまた差別化で別の固有能力がつくのか色々と楽しみです。


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