【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0070話『瑞雲祭り』

 

 

 

 

今日は大本営から是非手伝ってほしいという電文の内容が届いた。

電文の内容は簡潔に言うと以前に大本営が企画していた『瑞雲祭り』の件だ。

あの企画は結局進められているという事で最近は某テーマパークでお披露目会を開いたという。

それに関係してか全国の鎮守府でも同じように瑞雲祭りを開こうという企画が持ち上がったとか…。

それで会議を開く私達。

当然、以前に少し地獄を見た瑞雲の友の会メンバーも招集されていた。

 

「―――それでは提督。みんなにはこの法被を着てもらいたいと思っているのだが、どうだろうか…?」

 

会議が始まった途端にすぐに日向が瑞雲祭り用の法被を出してみんなの前で提示した。

それはサイズもそれぞれに作られているという話でこれを誰が作ったんだ…?という話をしてみたら明石が夜なべで作成したという。

だから今は明石は度のきつい疲労で寝込んでいるとか…。

それ、何気に艦隊運営に響かない?という私の疑問は置き去りにしてどんどんと話が進んでいく。

 

「それで師匠。瑞雲に関しては数は大丈夫なんですか…?」

「ああ、最上。抜かりはない。だろう? 提督」

「まぁ、その辺は大丈夫だ。この日のために瑞雲の開発を運営持ちの資材で開発していたからな」

「うむ! ナイスじゃ提督よ!」

 

それで利根がバシバシと私の背中を叩いてくる。

利根も瑞雲航空隊のメンバーとして抜擢されているだけに抜かりはない方がいいと思っているのだろう。

 

「…もう、利根姉さん? あんまりはしゃぎますと当日になって風邪をひいても知りませんよ」

「そこら辺は大丈夫じゃ! この利根、体調管理に関しては抜かりはないぞ」

「ですが最近よく暑いと言って間宮で甘味を食べていますよね? お腹は壊していませんか…?」

「うっ………」

 

それで利根が少し唸る。

これは………やっぱりお腹を壊していないか?

 

「だ、大丈夫じゃ! だから筑摩も心配はしなくていいぞ」

「そうですか…? でしたらもう何も言いませんが」

 

筑摩はそう言いながらもやっぱり利根が心配なのか利根のお腹を凝視していた。

まぁ、それはともかく、

 

「それじゃ伊勢、日向。君達が代表として瑞雲隊を指揮してくれ」

「わかった。この日向。瑞雲の為ならこの任務も見事完遂してやろう」

「あははっ。私は日向ほど熱くはないけど楽しくできればそれでいいんじゃないかな?」

 

日向が自身の顔をしていて伊勢の方は日向に合わせている感じで寛いでいる。

 

「そして最上、三隈、鈴谷、熊野、利根、筑摩の六人は航空巡洋艦の顔として一緒に盛り上げてくれ」

「わかったよ提督」

「はい、わかりました」

「任せるじゃん!」

「きっちりとやってみせますわ」

「うむ。任せておいてくれ」

「お任せください」

 

六人の返事をもらい、

 

「そして水上機母艦のみんなは販売コーナーを頑張ってくれ」

『はーい』

 

水上機母艦のみんなも元気よく返事をしていた。

そこに艦娘音頭を踊る予定の白露型のみんなを代表して白露が挙手をして、

 

「提督ー! あたし達はどうすればいいの?」

「そうだな。みんなには町の皆さんに艦娘音頭の踊りを指導してあげてくれ」

「わかったよ」

「任せてちょうだい」

「頑張るっぽい!」

 

白露型のみんなも役割分担は把握できたみたいだ。

これでどうにかなるだろう。

 

「作戦は明日の午前中は瑞雲隊の発艦を行い、午後から夜にかけて艦娘音頭や屋台などを行うから各自準備を怠らないように」

『了解』

 

それで各自準備を始めるために部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

…そして翌日。

この日は村雨たちの作ってくれたてるてる坊主が効果を発揮したのか雲はあれど青い空が広がっていた。

予報でも今日一日は雨は降らないという結果に満足を感じていた。

町の町内会に顔を出して、

 

「どうですか? 準備はできていますか?」

「あ、提督さん。はい、大丈夫ですよ」

「任せてくれ。キャンプファイヤーの準備も出来ているからいつでも艦娘音頭とやらを踊れるように今は艦娘さん達の子達に踊りを教えてもらっているところだ」

「そうですか。それならよかったです」

 

と、そこに少し慌てて久保提督が町内会に顔を出してきた。

 

「お、遅れました! 榛名提督、まだ準備は大丈夫でしょうか?」

「はい、久保提督もそんなに慌てなくて大丈夫ですよ」

「そうなんですけど…うちはまだそんなに艦娘の数が集まってきていませんし練度も低いんでこの祭りには見学での参加しかできないから少し歯がゆいんですよね」

 

久保提督の鎮守府の方も最近はやっと何人か戦艦級も増えてきているという話を聞いているがまだまだ練度不足は否めない状況だから今回は見学だけとなった。

だから町内警備を任せてもらっている。

私の方の艦娘達は屋台やら踊り、瑞雲隊の発艦などで警備に回せないから久保提督の提案はちょうど痒い所に手が届く感じだったのだ。

 

「大丈夫ですよ。久保提督の艦娘達には警備を任せてもらっているんですからお相子ですよ」

「そう言ってもらえると心休まりますが…」

 

そんな話をしている時だった。

放送でそろそろ瑞雲隊の発艦式が行われるというので私達も町内会会場の外に出て空を見上げる。

同時に日向達瑞雲隊を装備した艦娘達が、

 

「それではいくぞ! 全員発艦準備!!」

 

いつになく気合の入った日向の言葉とともに瑞雲を発艦できる艦娘達がカタパルトを展開して次々と瑞雲を発艦させていった。

その瑞雲隊は熟練の妖精さんが操作している事もあり乱れることなく並んで飛行をしていて色々な形の飛行機雲を作っていく。

それに町の人達は「いいぞー!」という声を上げて盛り上げている。

うん、よかった。町の人達のウケはいいみたいだな。

それで午前中は何度も瑞雲を発艦させては町の人達の人気を集めていた。

そこに私の前に七海ちゃんが走ってきた。

私の腰に抱きついて、

 

「提督のお姉ちゃん! 瑞雲っていい動きをするんだね!」

「そうだよ七海ちゃん。昔の人達が戦争のために作ったものだから一概に褒められたものじゃないけど今は深海棲艦を倒すための力として一躍担っているんだ」

「そっかー。瑞雲ってすごいんだね」

 

七海ちゃんは素直な感想を抱いていた。

もしこれを日向とかが聞いていたらとてもいい笑顔を浮かべる事だろう。

 

『―――続きましては艦娘音頭を始めたいと思いますので参加は自由ですが出たい人は集まってください』

 

というアナウンスが流れてきたので、

 

「提督のお姉ちゃん! 一緒に踊りに行こう!」

「そうだね。いこうか」

 

それで七海ちゃんに手をを引かれながらも時雨達がいる場所へと向かい、

 

「あれ? 提督も一緒に踊るのかい…?」

「ああ、七海ちゃんに誘われてしまったのでな」

「そっか。それじゃ楽しんでいってよ」

「ああ」

 

それで町に人達と一緒になって艦娘音頭を踊って夜まで楽しんでいった。

そして夜になるとサプライズとして着物姿の加賀がマイクを持ち、

 

「…それでは加賀岬、歌わせていただきます」

 

そういって加賀岬を熱唱する加賀さんの姿に見惚れる人が続出していた。

それを天龍がやっていた屋台でもらったフランクフルトを食べながらも、

 

《提督、楽しいですね》

「ああ。できれば榛名とも一緒に踊りたかったがな」

《私もです。でも楽しい雰囲気を一緒に味わえるだけでも嬉しいです》

「それならよかった」

 

そんな話を榛名としながらもその晩は瑞雲祭りは盛況で終わったのであった。

 

 

 




瑞雲ハイランドに合わせて今回の話を書いてみました。
いきたかったですねぇ…。Twitterで流れてくる内容が楽しそうでしたから。



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