【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0063話『ガングートと大鷹と甘味』

 

 

 

 

 

 

先日に熊野の件での任務が終わって私は後回しにしていた大鷹とガングートの改二の施行を行っていた。

明石の「いいですよー!」という活気あふれる声とともに私は改装ボタンを押して改装室から光が漏れだしてくる。

先に改装室へと入っているのは大鷹の方だ。

彼女は改装設計図と試製甲板カタパルトを改装に使用するために結構大掛かりな手間がかかっているのだ。

それでその光景を見ていた今は名を十月革命…『Октябрьская революция(オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ)』である彼女が見ながら、

 

「素晴らしいな…。タイヨーももうすぐに真の姿で改装室を出てくるのか」

「ああ、そうなるな。改二になって大鷹はやっと本来ありえただろう姿に慣れるんだから。

…生前は活かすことが出来なかった飛行甲板を装備して強くなるぞ」

「…なるほど。タイヨーの生前にも色々あったのだな」

「ああ。まぁそこら辺はそちらで直接大鷹に聞いてくれ。同期だから仲はいい方だろう?」

「うむ。タイヨーはまだこの鎮守府にやってきた頃に少し不安があった私を何度も気遣ってくれたからな。

あのちびっこいのと一緒に仲はいい方だ」

 

ちびっこいの…ああヴェールヌイの事か。

あんまり面識はなかったらしいが一応ロシア繋がりで仲はいい方だと言う。

なんでもヴェールヌイはガングートの事を多少は意識しているようでこの間に執務室に来て彼女との付き合い方などを教えてほしい…と言ってきたものだ。

ヴェールヌイもロシアに賠償艦として連れていかれる前は暁型駆逐艦響として日本艦として活躍していたから多少思う所があるのだろう。

まぁ、そんな話をしていると改装室の中が光が次第になくなっていき、扉が開かれるとそこにはソナーを現しているのだろうヘッドホンのようなソナー機をかけている大鷹の姿があった。

飛行甲板も迷彩が施されており如何にも空母らしい姿になったな。

 

「提督…。私大鷹をここまで育ててくださりありがとうございます。

これからも精一杯頑張らせてもらいますね」

 

どこか強かに見える笑みを浮かべて大鷹は私にそう宣言してきた。

なので、

 

「ああ。これからも主に対潜戦闘や連合艦隊第二艦隊の方に組み込まれるかもしれないからそこら辺はおいおい覚悟しておいてくれ」

「わかりました。もし使われる際は存分に力を発揮させていただきますね」

「よろしく頼む。それじゃ…オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ。次は君の番だ」

「わかった。タイヨー…この私の改装が終わったらささやかだがマミーヤで甘味でも食べるとしよう。待っていてくれ」

「はい。わかりました」

 

どこかフラグのようなセリフを言いながらもそれでオクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤは改装室へと入っていく。

まさか失敗することは無いよな…?

妖精さん達の腕は信じていないわけではないが…。

 

「それにしても、改装設計図がいらない第二次改装というのも久しぶりだな」

 

そんな事を私はつい口に出して呟く。

最近の要改装設計図の傾向が特にあるから余計にそう感じるのだろう。

 

「そうなのですか…?」

「ああ。最近は必ずと言っていいほどに改装設計図が必要な大型改装が多かったからな。

だから改装費用もそんなに必要としない彼女は比較的ありがたい存在だと思っている。

あ…。もちろん大鷹など強くなるのなら改装設計図も惜しまないから気にしないでくれ」

 

大鷹がそれで少し機嫌が悪くなるかもしれないので補足説明もいれて話をする。

 

「いえ、気にしていませんので大丈夫ですよ提督。

私も生前はそんなに強くなかったのは自覚しているところですから強くなれるのはとても嬉しい事です」

「そうか? それならよかった」

 

そして、しばらく時間が経過して明石の方で準備ができたのだろう。

 

「提督。準備が出来ましたので後はボタンを押すだけですよー」

 

という明石の声が聞こえてきたので私は大鷹と笑みを浮かべあいながらも改装ボタンを押す。

そして改装室の中から光りが漏れてきて中では改二になるための改装が妖精さん達の手で執行されているのだろう。

しばらくして中から光りが薄れてきて改装の際に発する機械音も消えて、扉が開かれた。

中から改装されたオクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤが出てくる。

…いや、もうその名ではない。

 

Октябрьская революция(オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ)改め…Гангут(ガングート) два(ドゥヴァ)だ。

提督…この改装されたガングートの力をこれからも深海棲艦を倒すために活用してくれ。

私は必ず貴様の呼びかけに応えよう」

「ああ、これからもよろしく頼むよ、ガングート」

「うむ。提督の考えや思考パターンなどはこの短期間のこの鎮守府での暮らしで十分に理解させてもらった。

貴様はまともな部類に入る提督だ。だから安心して背中を預けられる。

演習で聞く他の提督とは根本的に違うようだからな」

「はは、そう言ってもらえると嬉しいよ…。

他の鎮守府の提督が君の中でどんな扱いになっているのとかはあまり聞きたくないけどな…」

 

そう言うとガングートはニヤリと含みのある笑みを浮かべるだけであった。

その笑みはどこか怖いからやめてほしいな。

そんな事を思っていると、

 

「それでは提督。私とタイヨーはマミーヤへと行かせてもらう。

改二記念の宴会などの日程などは後で知らせてくれ」

「わかった。そのうち開かせてもらうよ」

 

それで大鷹を連れてガングートは甘味処間宮へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はタイヨーを連れてマミーヤへとやってきていた。

それで中に入らせてもらい席について、

 

「それじゃタイヨー。何か頼もうではないか」

「そ、そうですね…でもガングートさん。あなたはよく間宮に来るんですか…?」

 

タイヨーがそんな事を聞いてきた。

だから私は答えてやった。

 

「この国はロシアに比べて熱いからな。よくマミーヤにはアイスを御馳走になっているんだ」

「そうだったんですか…」

 

我が祖国ロシアは寒い国故に春に夏は暑く秋に冬には寒いというこの二ホンという国には肌が合わないものがあるからな。

だからアイスはとても美味しく感じるんだな、これが。

そこに、

 

「ガングートさん。はい、いつもの甘味ですよ」

「おお、イラコーか。ありがとう」

 

イラコーがアイスを持ってきてやってきたので素直に頂くとしよう。

 

「ガングートさん? あまり食べ過ぎないでくださいね? 最近よく来ますから心配になっちゃいますからね?」

「ははは。わかっているさイラコー。心配ない」

 

イラコーに少し小言を貰いながらもそれで私がそのアイスを頬張っているとタイヨーがどこかクスリと笑みを浮かべて、

 

「ガングートさん、どこか子供っぽいですね」

「そうか…? 背の小さい事もあって私としてはコンプレックスに感じていて子供と言われるのは心外なんだが…親しい中じゃなかったら銃殺刑者だぞ?」

「あはは…少し笑えないジョークですね」

「ははは! そうだな、悪かった」

 

そんな他愛ない話をタイヨーとしながらもアイスを食べていったのである。

うん、やはりアイスは美味しいな!

 

 




今回はちょうど熊野と改二が重なったのでガングートと大鷹の話を書かせてもらいました。
アイス好きで間宮でよくキラキラになっているという話があったので今回はそれを題材にしました。
これで今のところは改二は必要な艦はいないですかね。
これから由良に大型空母(おそらくサラトガ)に主力戦艦が改二が来るそうなのでそれに控えて勲章や資材を貯めておきます。



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