【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0062話『海上護衛総隊』

 

 

 

先日に引き続いて私は熊野を旗艦にして南西諸島海域の攻略を乗り出している。

任務の内容は『増強海上護衛総隊、抜錨せよ!』というもので航空巡洋艦か軽空母に軽巡を一隻ずつ、駆逐艦を二隻以上で編成せよという事であった。

それでまずは熊野を旗艦に置き、阿武隈、それと育て中の駆逐艦二隻…長波と雪風を置いて後は千歳、千代田を編成してまずは手頃なところで沖ノ島沖を攻略した。

ルート固定が唯一出来る海域なので一発でクリアできたのは良しとしよう。

そしてお次はカムラン半島への出撃。

そこでかなりの手こずりを見せた。

熊野が無線で、

 

『提督、また逸れてしまいましたわ…』

「そうか。わかった、帰投してくれ」

 

そう、南西諸島海域は全域がほぼランダムで構成されている為に逸れる可能性が高い海域なのだ。

それを思い出して戦慄していたのは…嫌な汗が出るというものだ。

そして試行回数を増やす事六回。

その六回でまず最初の戦闘後にすぐに逸れてしまい改めてこのエリアの手強さを体感していた。

やはり最大の敵は羅針盤だったかというものを味わっている。

 

『とりあえず索敵機を出しますがあまり期待しないでくださいましね?』

「ああ、とりあえず数をこなしてやっていくしかないだろう」

『わかりましたわ。それとそろそろ駆逐艦の皆さんの交代ですわ』

「…非常に遺憾だがわかっている。疲労がついていたらいざボスに辿り着いても疲労で命中率が下がって敵が倒せなかったじゃ話にならないからな」

 

それでまた熊野達が帰投した後に疲労がついている駆逐艦を交代していき七回目の戦闘。

それでボスエリアの前まで初めて行くことが出来て、

 

『提督…。ボスに行くことを祈っていてくださいね』

「ああ。それじゃ羅針盤を回してくれ」

『了解ですわ』

 

それで通信先では熊野が祈りを込めて羅針盤を回しているのだろう回転する音が聞こえてくる。

そしてついに、

 

『ボスエリアへと到着しましたわ。このたまっているうっ憤を晴らしてきますわ』

「ああ。思いっきりやってこい」

 

そして敵艦隊はあっという間に殲滅をされていった。

 

『ふぅ…これで少しは気が晴れましたわ』

「そうか。それじゃ次があるんですぐに帰投してくれ」

『そうでしたわね。任務内容は南西諸島全域の攻略ですからまだまだ半分も終わってませんのね』

「ああ。だから辛いと思うが頑張ってくれ」

『分かりましたわ』

 

気持ち言葉に覇気が感じられない熊野の事を心配しながらも、帰ってきたらすぐにバジー島沖へと出撃してもらった。

この海域は比較的いつもやっている海域なので大丈夫かなと思ったけど、こう思ってしまったのがフラグだったらしい。

二、三回また逸れてしまった。

それである事を思いついた。

バジー島沖と東部オリョール海は水上機母艦をいれるとボスに行きやすいという事で千代田を軽空母の方から水上機母艦へと変更して出撃させてみた。

 

『提督! 私に任せて! 千代田に代わってこの千代がみんなを導くわ』

「ああ、頼む」

 

ちなみに熊野達と同じように千代田二人は軽空母の方は『千代田』。水上機母艦の方は『千代』と呼んでいる。

千歳も同じで水上機母艦の方は『ちと』と呼んでいる。

そして阿武隈とともに甲標的を放って殲滅しながらも瞬く間にバジー島沖と東部オリョール海を攻略した。

これであの難関海域以外は攻略完了したことになる。

それで私は手慣らしをするために長門を執務室に呼んだ。

 

「どうした提督? 私を呼んだという事はまさかとは思うが…」

「ああ。長門、ちょっと沖ノ島海域を私も一緒に攻略してくる」

 

それで長門は少し呆れた顔をしながらも、

 

「はぁー…わかった。最近の提督のわがままぶりには振り回されて慣れてきたからな。その間は私が代行をしているとしよう」

「すまんな」

 

それで私は熊野達が帰ってきたら私も出撃する旨を話す。

それで長波も、

 

「お、提督。最近は結構やる気あるじゃん!」

 

と言ってくれた。まぁ君が言い出したことだからね。

最初の登竜門で難関海域と名高い沖ノ島海域の攻略はぜひ体験しておきたい。

 

「提督!? 授業参観ではありませんのよ!?」

「わかってるわかってる。だけどみんなの苦労を一緒に体験したいっていう私のわがままだ。

榛名もついていることだしなんとかなるだろうし…」

《はい、提督。榛名は大丈夫です》

 

榛名が出てきてなんとも頼もしい事を言ってくれる。

最近は榛名もあきらめがついたのか私のわがままに付き合ってくれているので最近は嬉しい限りだ。

だけどそれで少し悪夢を見るとは思っていなかった。

そう…何度も逸れてしまうのだ。

 

「やっぱり…この海域も逸れてしまいますわね」

「そうだなぁ…今何回目だっけ…?」

「提督。もう五回は越えたんじゃないかい?」

 

そう、一回目の戦闘後が鍵になってくるんだけど必ず西か東南方向へと逸れてしまい酷い時にはお仕置き部屋という名の行き止まりへと案内されてしまう。

 

「これが南西諸島の恐怖か…天龍じゃないけどフフ怖だな」

「提督ー? 呑気な事を言っている場合じゃないですよー? またみんなに疲労がつき始めましたよー」

「わかっているよ阿武隈。さて、どうしたものか」

 

この海域は固定が完全にできないためにランダム性が非常に高い。

イベント海域などではある程度固定は出来るんだけど、こちらではイライラが募るのを我慢できない感じだな。

だけどここまで来たらやるしかないよなぁ…。

それからすでに二桁の出撃をしていてそろそろ苛立ちが最高潮へと達しそうという時に、

 

「提督! やりましたわ! ボス確定ルートに入りましたわ」

 

索敵機を出していた熊野からのその報告に、

 

「よし! 全艦、道中の敵に気を付けつつ全速前進だ!」

「「「了解!」」」

 

それで私達は強行軍となり道中の敵を殲滅しつつボスエリアへと到着する。

そして向かい合うル級の群れ…。

初めて到達したときはその圧倒的物量で泣きを何度も見たけど今となってはなんだ、この程度か…くらいの認識しかないんだよな。

成長したと言えばそこまでだけどこの募った苛立ちを晴らさせてもらうぞ。

私は内心で怒りを制御しながらも砲撃をしていく。

そして瞬く間に殲滅してこれで南西諸島海域は全域を攻略したことになって任務が達成された。

 

 

 

その褒章で大本営から贈られてきた『新型砲墳兵装資材』が合計三つも貯まってちょうどうちには一つだけ試製41cm三連装砲(MAX)があったために明石に頼んで更新してもらった。

更新した先の兵装である『41cm三連装砲改』は武器として見れば試製41cm三連装砲よりは高性能だけどMAXではないので使いどころがきついかもしれないな。

まぁ、うちにはそんなに高威力の主砲が多いわけではないから普通に使っていくと思うけどね。

とりあえずこれで手慣らしもできたし攻略できて良かったと思っておこう。

 

 

 




合計回数が30回は越えたかと思います。
まじで羅針盤が鬼畜でした。
行くときはすぐにいけるんですけどねぇ…。



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