【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0051話『瑞雲教徒の集まり』

 

 

 

………突然だがうちの艦隊にはとある宗教が存在する。

それは艦これをやっている者なら理解できるだろう装備の事だ。

 

 

そう、瑞雲…。

 

 

うちには瑞雲を装備できる艦娘が多数いるのだ。

航空戦艦から、航空巡洋艦、水上機母艦、補給艦、果てには潜水空母すら装備できる。

特殊なケースでいけばイタリア艦も装備可能だろう。

そんな一大サークルを築いている彼女達が今夜新たに『瑞雲の友の会 ××回目』という集会を開くという。

青葉からの情報だと今回の狙いは新たに艦隊に加入した神威の引き込みだろうという話である。

別に口出しをする事もないんだろうけど、少し不味い事になった。

今朝大本営からとある情報が電文で送られてきてどこからか情報が漏れたのかその情報が彼女達に伝わってしまい見事に感化されてしまったらしい。

その情報というのはとあるテーマパークで瑞雲祭りを近々に盛大に開くというもの。

 

どこから資金を捻出しているのか知らないが原寸大瑞雲を製作する事から始まった。

瑞雲の限定グッズの販売。

一部の白露型が踊る艦娘音頭を原寸大瑞雲の周りで踊るというある意味カルト的なステージ。

瑞雲が装備できる艦娘達による瑞雲航空ショー。

瑞雲をモチーフに作られたパークマシンで操縦も出来るという謎仕様。

瑞雲の歴史を振り返ろう。

瑞雲博覧会。

瑞雲を駆使して君も深海棲艦を倒そう! 君も瑞雲と握手!(ッ!?)

瑞雲、瑞雲、瑞雲……………etc。

 

大本営の方針が本気で謎過ぎてある意味怖い…。

この戦争が始まって落ち込んでいる市民を活気づけようという企画から始まったそうだが、なぜ瑞雲一押しなのかわからない。

…まぁ、そんなわけでうちの艦娘達も見事にやる気を出してしまった訳で、やり過ぎないように見張る必要があるという訳だ。

 

「…という訳で、川内」

「ここに…」

 

私の後ろにはまるで忍者かという仕草とセリフを言っている川内がいた。

君はいつの間にニン○ャス○イヤーになったんだい…?

 

「まぁ、いいか…。それじゃ川内。『瑞雲の友の会』なるものはどこで開かれるか調べてもらっていいか…?」

「いいよー。それじゃ今度夜戦させてくれるっていう約束で調べてもいいよ?」

「わかったわかった。今度サブ島にでも連れてってあげるから頼む」

「了解だよ。それじゃ!」

 

シュンッ!という掻き消える音とともに川内は一瞬で姿を消した。

それを見て、

 

「…やっぱり川内は本物の忍者なのか…?」

 

本気で疑ってしまうくらいの動きだったぞ、今の?

とにかく後は情報待ちだな。

 

 

 

 

 

 

 

…それからとある一室で『瑞雲の友の会』が開かれるという情報を川内がキャッチしたというので川内とともにここまでしなくてもいいのだけれど屋根裏に潜入しているという。

私もなぜか忍者チックな衣装にわざわざ着替えさせられてしまった。

 

《あの…川内さん? ここまで本格的に潜入捜査をしなくても》

「いいじゃん! なんかやっているうちに楽しくなっちゃってさ」

 

小声での榛名の言葉に川内はそう言って面白そうに笑う。

普段からどれだけ夜戦したい根性を貯めこんでいるのか。

それを少しでも発散できるのならいいだろうという結論に至る。

そして目的の部屋の上に到着した。

下から数人の声が聞こえてくる。

 

『神威。君の『瑞雲の友の会』の入会を歓迎するよ』

『イアイライケレ、日向さん』

『いや、この場では師匠と呼ばれているので今度からそうしてくれ』

『わかりました、師匠』

 

それでその場に集まったメンバー全員が拍手を贈る。

 

(なんだろう…この集会?)

(さぁ…? 私には少し理解できないかもしれない)

《榛名もです》

 

川内と榛名の三人で聞いていると不思議な集会だなという感じだ。

まぁ日向が会長的役割なのはなんとなくわかった事だけど。

 

『…さて。それでは諸君。今回青葉から聞いた情報によると…』

 

青葉ェ…二重スパイとはやってくれるな。

私がそんな事を思っている間にも話は進行していく。

 

『はい、師匠! 僕達も提督が視察に行く町で小規模だけど開いたらどうかな?』

『いい考えですわモガミン』

『…そうだな。後で提督に打診してみるとしよう。次、なにかあるか…?』

 

最上の案が即座に決定されているのを聞いてフットワークが軽いなぁと思ったり…。

 

『…あの、少し場違いで言わせてもらうけどいいかしら?』

『なんだね、ローマ?』

『私達イタリア艦はどうすればいいかしら…? 瑞雲を装備できるとはいえ操作はあなた達に比べれば劣るし…』

『なんだ、そんな事か。気にするな。瑞雲を愛する者に優劣をつけるつもりはない。皆平等に同士だ』

『そーですか~。でしたらポーラも安心です~。ところでお酒が飲みたいです…』

『今は我慢しなさいポーラ』

『…はーい、ザラ姉様』

 

そんなやり取りが次々とされていく。

時には、口論になってどちらの瑞雲が優れているとかが始まって、だけどすぐに瑞雲に優劣をつけるな!という日向の叱咤の言葉に落ち着きを見せたり。

 

『大きくてスリムな翼が光って点いたり消えたりしているの。アハハ、大きいの……瑞雲かな? イヤ、違う、違うの。瑞雲はもっとバーって動くもんね』

 

というイクのどこかの精神崩壊者のセリフが聞こえてきて思わず吹き出しそうになったりしたり。

そんな面白おかしいやり取りが何度も行われて、なのに落ち着きを見せるどころかどんどんとヒートアップすらしていく部屋の中はどこか熱気がすごい。

 

(提督…聞いていてなんか頭がおかしくなりそうだよ)

(奇遇だな。私もだ)

《榛名もです…》

 

私達はどこか狂気の集会に紛れ込んでしまったのだろうと悟る。

そこに日向の『さて…』という言葉の後に、

 

『そろそろネズミには登場してもらおうか』

((《ッ!?》))

 

私と川内は共にやばいっ!?と即座に悟って撤退しようとしたが突然天井が開いて私と川内は部屋の中へと落下してしまい、瑞雲が装備できる艦娘達に囲まれてしまった。

それで川内とお互いに身を寄せ合って震えながら、

 

「…ど、どうなる?」

「そうだな。提督と川内に榛名よ、少し瑞雲について語るとしようか。なぁに、時間はいっぱいある」

 

その晩は瑞雲についてあれこれを叩き込まれてしまい気が狂いそうだった。

川内なんか最後には白目になって気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そして翌日になって大淀が執務室にやってきて、

 

「…提督? どうされました? どこかやつれていますよ?」

「気にするな。それより瑞雲はいいよな…」

「て、提督…?」

 

私は自然とそう呟いていたのだった…。

どこからともなく、

 

『まぁ、そうなるな』という日向の声が聞こえてきたような気がした…。

 

 

 




昨日のTwitterの運営の情報で我慢できずにこんなネタ話を書いてしまいました。
反省はしているけど後悔はしていません。


それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

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