【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0048話『ゴーヤの見た夢』

 

 

 

…今朝、変な夢を見た。

どこかの世界でゴーヤが海底の底で発見されるっていう夢…。

嬉しいのに、どこか悲しいと感じてしまった。

少し恐怖も感じて布団にくるまってさっきまでの夢が忘れられるようにしていると、ふと誰かが私に覆いかぶさってきた。

 

「…重い。誰でち?」

「おはよー。でっち」

「ローちゃん…」

 

ゴーヤに覆いかぶさってきたのはどうやら呂500…ろーちゃんだったらしい。

ニコニコと笑いながらローちゃんは私に抱きついているままだった。

まぁ、そんなのも日常茶判事だからいいもんだなぁ。

 

「…ところででっちはなんで涙を流しているの? なにか悲しい事があったですって…?」

「え? そうかな…」

 

それで目元を触ってみるとどうやらゴーヤは泣いていたらしい。

 

「夢をみたんだ…」

「夢ですか?」

「うん。変な夢だった…でももう思い出せないから大したことじゃないものだったんだと思う」

「そっか」

 

そんな事を話していると他のみんなも起きだしてきたのかそこかしこから声が聞こえてくる。

基本私達伊号組…私、イク、イムヤ、はっちゃんは六人ずついるために四人ずつが六部屋で分けられている。

特に提督と絆を結んでいる組は同じ部屋で生活をしている。

 

「おはようなのね」

「ふわー…おはようございます」

「おはよう…」

 

三人が目を覚ましてきたのか寝間着のままこちらに顔を向けてきた。

 

「おはようでち」

「おはようですって」

 

ゴーヤとローちゃんもそれで朝の挨拶の言葉を返す。

それからみんなでジャージ着に着替える。

基本出撃の時は水着になるけど普段はすぐに着替えられるようにジャージを着ている。

どこかの鎮守府では普段から水着で鎮守府内を出歩いているっていう話だけどうちではこの方針だ。

提督がそれを決めたんだけどどうやらやっぱり普段から水着のままはさすがにまずかったらしい。

 

「でっち。これからどうする…?」

「そうでちね。今日の任務分のオリョクルを終わらしたら多分暇ができるから執務室にでも遊びにでもいく…?」

「いいと思うですって!」

 

ローちゃんとそんな話をしながらも食堂にいき料理を頼んで席についたところで、

 

「あ! 提督だ。提督、一緒にご飯を食べようですって!」

「ああ、ローちゃん。わかったよ」

 

それで提督がゴーヤ達の前の席に座る。

提督は少し変わり者でち。

榛名さんに憑依してしまってからどうにもより一層ゴーヤ達艦娘の事を大事に思うようになったらしくてゴーヤ達の体調をよく見てくれている。

 

「ゴーヤ、どうした? 食事の手が止まっているぞ?」

「でっち? やっぱりどこか調子が悪いの…?」

「そんなこと、ないでち…」

「なんだ? なにか悪い夢でも見たのか…?」

 

提督の目に心配の色が映る。

やっぱり提督はどこか察しがいいでち。

すぐに体調を気遣ってくれるからいい人だな。

 

「なにか不安があるなら話してくれないか…? 相談には乗るぞ。な、榛名?」

《はい。ゴーヤさん、なにかあったらすぐに相談してくださいね》

 

提督の呼びかけに榛名さんが表に出て来て一緒に心配してくれた。

嬉しいでちね。

それで話していいか迷ったけど今朝のおぼろげな夢の内容を話してみた。

 

「今朝ね…変な夢を見たでち。どこかの海底でゴーヤを含めた潜水艦が見つかって、しかもゴーヤは地面に突き刺さっていたでち」

「また的確な夢だな。でも、それだとすでに五島列島沖で私の世界では2015年に発見されていたと思うんだけど、海底に突き刺さっているか…」

 

それで提督は少し興味深そうに顎に手を持って行って、

 

「そうだな。ゴーヤ、試しに自分が沈んだ場所を見に行ってみたらどうだ?

この世界では深海棲艦が暴れているんで深海の調査はできていないからなにか発見ができるかもしれないぞ?

まぁ、自分の前世の姿がもしかしたら見つかるかもしれないから嫌なら嫌って言ってもいいけど」

 

提督の提案は渡りに船であったでち。

このもやもやした気分はどうにも晴らさないとなにか嫌でちから。

 

「いくでち! なにかあるかもしれないなら行ってみたいでちから」

「そうか。それじゃゴーヤの今日のシフトは外しておくとしよう。ついでにろーちゃんも着いていってやりなさい」

「いいですって…?」

「ああ。ろーちゃんはカンストしてから最近出撃という出撃もしていないだろう? 気晴らしも必要だからな」

「提督! ダンケ! じゃなくて、ありがとうございます! でっち、楽しみだね」

「そうでちね」

 

ろーちゃんもゴーヤ以上に楽しみにしているのでなにか発見できるか楽しみになってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから提督の許可も貰って五島列島沖までろーちゃんと一緒にお出かけする事になった。

なにかあったらすぐに連絡するようにと提督に言い含められたけど。

それで水着に着替えて海底へと潜っていきゴーヤが沈んだあたりを捜索している時だった。

 

「でっち! なにかすごいものを見つけたですって!」

「なにかあったでちか…って…これはまたすごいでちね」

 

そこにはほとんど原型をとどめている潜水艦がまさしく海底に突き刺さっていたのだ。

 

「本当にあった…」

 

それでどこかに型番が記入されているはずだから確認していると、

 

「でっち! 見つけたですって!」

「あったでちか?」

 

ろーちゃんに呼ばれてそちらに近寄ってみるとそこには錆びれて見にくくなっているけどまさしく『イ58』という名が刻まれていた。

 

「ゴーヤでちね…」

「うん…」

 

それで少し場はしんみりする。

ここにはゴーヤ以外にも姉妹たちがあちこちに沈んでいるのだ。

だからまだ艦娘として顕現していない彼女達の事を思うと胸が締め付けられる。

 

「…ろーちゃん。帰ろうか。いつまでもいていい場所じゃないでち」

「うん。でっち」

 

それでゴーヤ達が帰ろうとするがなにやら海の上で深海棲艦が進行しているのを捉えた。

だから、

 

「ろーちゃん、気晴らしに一発かますでちか?」

「うん、やろう。でっち!」

 

それでゴーヤとろーちゃんで敵水上型深海棲艦を気付かれる前に叩いたのであった。

そして帰投後に執務室へと向かい提督にその事を報告する。

 

「そうか…。本当に突き刺さっていたんだな。正夢だな」

「そうだったみたいでち」

「…ゴーヤは米軍の実験で自分が沈められる記憶も残っているんだろう?」

「…うん」

「辛かったらいつでも言いに来ていいからな。いつでも慰めてあげるよ」

「提督、ありがとうでち」

 

それで心のもやもやもがやっと晴れたような気がして今日初めての笑顔を浮かべられたと思う一日だったでち。

 

 

 




今回はニュースでやっていた海底に突き刺さっている潜水艦の話を取り入れてみました。
まだ58とは判明していませんけど、だったらいいなーと浪漫を感じました。




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