【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

39 / 306
更新します。


0039話『北方水姫の打倒』

 

 

あれから一度鎮守府へと帰ってきて、私達は緊急会議を行った。

メンバーは北方水姫を倒すために向かった艦娘に大淀と言った感じだ。

 

「それでは会議を始めます」

 

大淀がそう言って場にいる艦娘全員に顔を向けた。

そしてスクリーンに映し出される北方水姫。

それを見て霞とヴェールヌイが思わず悔しそうに顔を歪めたのを私は見逃さなかった。

やっぱりラストを決められなかったのが悔しいんだろうな。

私は私で必死に攻撃と回避を榛名と妖精さんの指示でもってしているから気を回せる余裕なんてなかったし。

 

「まず今回の議題はいかに北方水姫を討伐するかです」

「その件だが…我々は甲作戦は今回が初めての試みだ」

 

そう言って武蔵が手を上げて発言した。

そう。今まで甲作戦でラストをやったことがない私達鎮守府は今まさに壁に立ち向かっているという状況だ。

そもそも私が今まで腑抜けだったのが悪いんだけど、最終海域では丙作戦に甘んじていたから北方水姫に加えて戦艦棲姫が二体も随伴艦にいるという経験は今回が初めてなのだ。

 

「そうですね。そこら辺はこれからの提督の手腕にもかかってきますがまずは今回の件を乗り切ることに集中しましょう。

北方水姫の体力はほぼ削りきっているという状況です。ですから後一回でも倒すことができれば私達の勝利は確定します。

それでですが、今回の敗因は何だと思いますか…?」

 

うわっ…。大淀もずばっと切り込んでくるな。

そんな事を聞けばすぐに反応が返ってくるのは当たり前な事で、

 

「私、ヴェールヌイと…」

「あたし、霞がカットインを発動できなかった事よね…?」

 

二人とも分かっているようで特に顔には出さないがそれでも拳が握りこまれているのだから悔しいのは分かる。

それに大淀も一回間を挟んだ後に、

 

「はい。お二人の攻撃が決まっていればおそらく北方水姫は倒すことが出来たのでしょうね」

 

と本当の事を言う。

そこには事実しか存在せずに誰も口を挟めないのは明白だ。

だけどそれで士気が下がってしまってはまずい。

私はそう思って手を上げた。

 

「はい、なんでしょうか提督…?」

「うん。まぁ本当なのは確かなんだけど二人も悔しがっているからまるで叱るような状態にはしないでくれ」

 

私の発言で一旦場は静かになった。

だけどすぐに霞のクスリと笑う声が聞こえてきた。

 

「司令官…庇ってくれてありがとう。でもあたしもヴェールヌイも気にしてはいないわ。だって本当の事なんだから」

「そうさ。だからあまり司令官も気を病まないでくれ」

「そうか…?」

 

それで私は内心で強い子たちだな…と思って「邪魔したな。続けてくれ」と言って促した。

 

「はい。それでカットイン対策として霞さんとヴェールヌイさんには熟練見張り員を装備してもらいたいと思います」

「やっぱりね…」

「うん。それなら心強い」

 

霞とヴェールヌイは言われることが予想ついていたらしく反論はないらしい。

確かに私もカットインを発動するには専用の装備をさせようと考える。

そこで那智が手を上げて、

 

「では、私は電探の代わりに探照灯を装備しよう。千歳に千代田もいるのだから索敵は足りていると思うからな」

「いいのですか…?」

「ああ。第二艦隊で唯一四つスロットを持っているのは私だけだからな。

もしくは私を外してビスマルクにして夜戦の火力をアップさせるのも一つの手だが…」

「いや、今回は那智のままでいかせてもらうよ。那智も勝ちたいだろう?」

 

私の発言に那智はニヤリと笑い、

 

「ああ、そうだな。だろう? みんな?」

 

那智はそう言ってまだ発言していない他のみんなの顔を見渡した。

それでまず木曾が声を上げる。

 

「そうだな。提督、お前に最高の勝利を与えてやる」

「この北上様に任せておいてよ」

「阿武隈も一生懸命頑張りますね!」

 

木曾に北上と阿武隈も続く。こういう時はやっぱり仲がいいよな。

さらに、

 

「はい。このまま引き下がるわけには参りません。折角の舞台なのですから派手に勝ちましょう!」

「ああ。ここで引き下がったら弩級戦艦の名が廃るからな」

 

大和と武蔵が気合を込めてそう言葉を発した。

 

「イエス! このアイオワに期待していてね、アドミラル」

「千歳お姉、頑張ろう!」

「はい。この千歳、提督に勝利をプレゼントします」

 

残りの三人も意気揚々だ。

 

「霞、ヴェールヌイ…私達も頑張るとしようか」

「ああ。必ず勝とう」

「分かってるってば! 勝てばいいのよ!」

 

それで編成は変えず、されど装備は多少変更して私達は再度北方水姫へと挑むことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何度か北方水姫を後少しという所でとどめを刺せない事が続いたが、

 

「今度こそ…! 今度こそ倒すんだ!!」

「「「了解!」」」

 

私の掛け声で今度こそはという気持ちで北方水姫へと挑んでいく私達。

道中でアイオワが中破してしまっていたが「まだいけるわ!」と言っているので戦いに挑んでいった。

そして始まる戦い。

基地航空隊の攻撃が次々と敵艦隊へと命中していく。

するとなんと戦艦棲姫一体に攻撃が集中し始めて基地航空隊の攻撃が終わった時には戦艦棲姫一体が沈んでいた。

さらに支援艦隊で攻撃して敵前衛艦隊もさすがの駆逐古姫は残っているものの三体沈めていた。

 

「この好機! 逃すわけにはいかない! やるぞ!!」

「「「はい!」」」

 

そして始まる艦隊戦。

北方水姫と残ったもう一体の戦艦棲姫の攻撃で千歳と千代田の二人が中、大破をしてしまったが、だけどよくここまで頑張って制空を支えてくれたと感謝しながらも攻撃をしていった。

そして昼の攻撃が終わる頃には残っている敵は前衛艦隊は駆逐古姫、そして戦艦棲姫に北方水姫だけという形になった。

駆逐古姫を倒しきれなかったのが悔しいが、だけどこれで安心して夜戦に突入できる。

 

「頼んだぞ!」

 

私の声に第二艦隊の面々が親指を立てながらも笑みを浮かべて夜戦へと突入していった。

そして次々とみんなの攻撃が戦艦棲姫というダイソンを無視して北方水姫へと入っていく。

途中で北方水姫がヴェールヌイを大破させてしまったが、

 

「まだあたしが残ってるんだから! 沈みなさい!!」

 

そしてここぞという時に発動した霞の魚雷カットインが北方水姫へと突き刺さってついに北方水姫は爆発をしてとどめを刺せたのだろう。

 

「………嘘ダ。………コノワタシガ…。モウ冷タイトコロハイヤ……アタタカイ世界ヘ、戻リ、タイ………」

 

…いつも聞くけど深海棲艦の言葉は倒したのに素直に喜べないものがあるな…。

でもまだ続きがあるようで、

 

「………ア、アタタカイ………ワタシ、ワタシタチ……帰ッテモ、イイノ……? アリガトウ……」

 

最後に北方水姫は私達なのかそれとも他の誰かに対してなのかわからないけど感謝の言葉を残して光となって消えてしまった…。

そして他の深海棲艦もその場から消え去って次第に海が青く、そうまるで溶けていくように赤い海が青の海へと戻っていく。

 

「勝った、のか…?」

《はい! 提督、私達の勝利です!!》

 

未だに実感できない私の呟きに榛名が出てきて私に抱きついてきた。

精神体だというのに榛名の方からは一方的に私に抱き着けるのは羨ましいと思う。

とにかく、私は霞に近寄っていき、

 

「司令官…あたし、やったわ!」

「ああ。霞、君が今回のMVPだ」

 

そう言って私は霞を両手で持ち上げて勝利を祝ったのだった。

 

「あっ…調子にのり過ぎよ! 下ろしなさいったら! このクズ!」

 

最後に照れ顔の霞にそう言われてしまらない終わり方をしたが…。

 




最後に霞の魚雷CIが北方水姫に突き刺さってA勝利ながらも勝つことが出来ました。
やっぱ駆逐古姫がやっかいだねぇ…。しぶとく残るからS勝利ができないです。

とにかく初の甲種勲章をゲットできました。よかったよかった。


それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。