【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0003話『居候』

今は先日の夜に助けた第六駆逐隊の面々を護衛しながらも彼女たちの鎮守府へと帰っている途中である。

結局はこのままではじり貧になってしまうので一時的に身を預けられる場所に移動することにしたのだ。

聞けば彼女達の鎮守府はまだ運営は開始してまだそんなに日数が立っていないという。

…しかし、そうなると照明弾という貴重な装備はどうやって手に入れたのだろうと思ってしまうな。

まぁ、ならばちょうどいいという事で厄介になろうと思っている。

 

「あ、あの…榛名さん」

「ん? なに、電ちゃん?」

「あんまり昨日は気が動転していて言えなかったのですが、私達を助けてくれてありがとうなのです」

「そう。大丈夫だよ。私もちょっととある理由で困っていたところだったから」

「どういう事だい?」

 

そこで響ちゃんが少し思案気に私に理由を聞いてきた。

うーん…どうしようか。本当の事を話しても信じてもらえないだろうし、もし信じてもらってもそれからが大変だし。

とりあえず嘘をついておこう。気が引けるけど。

 

「うん…。ちょっと記憶の欠損があって自分の鎮守府がどこかわからないんだ」

『え…』

 

それで大破して雷に肩を支えられながらの暁ちゃんも含めて私に同情の視線を向けてきた。

や、その視線は嘘をついている身としてはつらいからやめて。

 

「えっと、あの…大変ですね」

「あ、気にしないで。そこまで悲観はしていないから。いつか帰れればいいかなとは思っているし」

「それでも、辛いだろう? 見れば君の提督とは深い絆を結んでいるようだし」

 

響ちゃんが目ざとく私の薬指に気づいたらしい。

ごめん。私がその提督なんです。とは言えない…。つらいなぁ。

 

「わわっ! すごいのです!」

「いいなぁ…」

 

四人は揃って私の薬指をまじまじと眺めてはほっこりとした顔になっている。

いや、恥ずかしいね。

そんなこんなで海を滑っていきながらもようやく陸地が見えてきて、見れば目立つ建造物が見えてきた。

あれが…。

 

「あれが私達の鎮守府…。『第164号宿毛湾泊地』なのです」

 

宿毛湾泊地…。私の所属していたサーバーと同じ位置か。

縁があるようだね。

ということはここは高知県か。

と、そこでようやくあっちの提督から通信が入ったのであろう電ちゃんが少し泣きながら報告している。

話によるとこの子達は私達で言う1-4…南西諸島防衛線辺りをうろうろとして迷っていたらしい。

まぁ、見た感じあの深海棲艦もどれもノーマル個体ぽかったし場所としては妥当か。

それでも私がこなかったら全員いなくなっていただろうと思うと助けてよかったとは思うが。

 

「榛名さん。司令官さんは榛名さんの事を歓迎するって言っています」

「そう。ならよかったよ」

「はいなのです。それとうちには榛名さんと似たような感じの人が何人かいますから話してみるといいと思うのです。とっても強い人たちなのです!」

「私と同じ…? それって…」

 

つまり、どういうことだってばよ?いや、ネタを挟んでいる場合じゃない。

最初に思っていたまだ稼働してそこそこの鎮守府にある照明弾…。

そして照明弾を持ってくる艦娘と言えば…。

まぁ、考えてみるより行動あるのみだね。

そして私は鎮守府の母港に入れさせてもらう。

まずは提督に報告という事で全員艤装を消していた。

それで私も習って艤装を消してみた。よし、普通に消えてよかった。

そこで今まで黙っていた妖精さんが話しかけてきた。

 

【提督さん。もしかしたらここには仲間がいるかもしれませんよ】

 

私にしか聞こえない声で妖精さんは話しかけてきてくれた。

やっぱり。だとすると思い当たるのは…。

とにかく電ちゃん達に着いていく。

そして執務室に到着すると電ちゃんがノックをすると扉が開かれてそこから白い提督服を着た女性の人が姿を現す。

 

「電ちゃん! みんな! 無事だよね!?」

 

現れた提督?は電ちゃんに抱き着いて他の三人にも頭を撫でたりしている。

特に暁ちゃんの大破姿を見て、ひえーーー!と比叡のように声を上げている。

それでしばらく時間が過ぎて、

 

「あ、あの…司令官さん。榛名さんが困っているのです」

 

そこでようやく気づいてくれたのだろう電ちゃんが私の事を話に出してくれた。

 

「あ、そうだったね。ごめんね」

「いや、大丈夫だけど…」

「よかった。それじゃまずは自己紹介かな。私はここの鎮守府の提督の『久保(くぼ)祥子(しょうこ)』です。うちの子達を助けてくれてありがとう」

「いえ、こちらもたまたま見つけたので助けられてよかったです。あ、私は榛名です。よろしく」

 

それで久保提督と握手を交わす。

 

「…それにしても最近は鎮守府の場所が分からない艦娘の子達が多いのかな? あなたも含めてだけど」

「それってどういう?」

「うん。うちには六人くらい所属不明の艦娘がいるんだけど中々打ち解けてくれなくて…」

 

それってやっぱり、そう言う事なのかねぇ…?

 

「すみません。できればその艦娘の人達と会わせてもらっても構いませんか?」

「いいよー。今は宿舎にいると思う。全員部屋から出たがらないから多分今も一緒にいると思う」

「わかりました」

「私が案内するのです」

「お願いね。電ちゃん」

「それじゃ暁は入渠してこようか。雷は私のとこに、響は暁をドックへ連れて行って」

『はーい』

 

それで各自行動を起こす。

 

「それじゃ、榛名さん。着いてきてください」

「了解」

 

電ちゃんに案内されながらも宿舎へと案内されていった。

見れば宿舎にはまだ空きが結構あって思った通りまだ稼動したての鎮守府だと思わせる感じだ。

そしてとある部屋へと案内される。

電ちゃんがノックをした。

すると部屋の中から低い声で「………誰?」と言った言葉が聞こえてきた。

声の声量的にとても気落ちしているのが分かる声だ。

 

「電なのです。川内さん、ちょっと用があるのですがいいですか?」

『………出撃なの? それは前にも断ったはずだけど…』

「いえ。今回は会いたいと言った人がいますので連れてきました」

『会いたい人…? 誰…?』

『川内さん、気を付けた方がいいよ。きっと軍の奴らかもしれないから』

『うーちゃんが嘘を見抜くぴょん』

『ボクがもし何かあったらボッコボコにするよ』

『気を付けていきましょう』

『がってんだ』

 

少し中の様子が分かって、そして誰なのかも分かって嬉しい反面少し眩暈がした。

 

「榛名さん、この通り皆さんはこちらを警戒して心を開いてくれないのです。ですからまた今度で…」

「いや、大丈夫みたいだよ? 後は私に任せてくれないかな? 後で結果は報告するから」

「わかりました。それでは司令官さんのところに戻っていますね」

 

それで電ちゃんは私を置いて戻っていった。

さてと、話し合いとしますかね。

 

 

 




現在の本当の編成です。


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