【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0289話『雪ではしゃぐ吹雪とロシア組』

 

 

 

 

いま、私は吹雪とともに外を窓越しに一緒に眺めていた。

 

「わぁ! 司令官、雪です! 雪が降っていますよ!」

「そうだな。ニュースによれば今日の昼頃には止んでしまうと言うが……どうなることやら」

「それでしたら外に出ませんか!? きっと楽しいと思うんです!」

 

そう言ってはしゃぐ吹雪。

うん、やっぱり吹雪は風の子だな。

名前も吹雪だからこういうのには耐性があるみたいだし。

 

「よし。それじゃ雪がやんだら一緒に外で遊ぶか」

「はい!」

 

吹雪の喜ぶ顔を見て私も思わず笑顔を浮かべる。

こういう純粋無垢な感じの吹雪はなにかと癒しになるんだよな。

 

《でしたら提督。厚着にでも着替えましょうか。風邪を引かれたら大変ですから》

「そうだな榛名。マフラーとか用意しないとな。吹雪もなにか暖かい格好をしてきてくれ」

「わかりました! それと誰か一緒に連れてきますね!」

「迷惑はかけないようにな」

「了解です!」

 

いちいちオーバーリアクションで吹雪は楽しそうに寮へと向かっていった。

 

「ふむ……吹雪は相変わらず元気だな」

《そうですね。でもあーいうのも吹雪さんらしくていいと思います》

「そうだな。それじゃ私も何か準備でもしておくか。きっと色々とやるだろうし」

 

そうして少し時間が経って私は中庭へと足を運んでいた。

 

「あ! 司令官! こっちですよ!」

「わかった、すぐにいく」

 

そこには吹雪はもちろん響とガングートの姿があった。

吹雪とは意外な組み合わせに少し考える。

でもこういう仲もあるんだなと納得しておく。

 

「司令官。今日は同志ガングートと一緒に楽しく遊ぼうじゃないか」

「ちっこいのの言う通りだ。こういう時は外で遊ぶのもいいものだぞ提督」

 

こんな寒い中だというのに袖を捲って笑っているガングートはさすが雪国出身。この程度の寒さではどうという事はないんだな。

 

「ガングートは平気そうだな」

「まぁな。祖国ロシアではこの程度ならまだ寒くはないぞ? むしろ川に水着になって入りたいくらいだ」

「同志……さすがにそれは私も引くんだが……」

「なんだと? まぁもとは日本の艦だから純粋な私とは感覚が違うんだな。そう言う事で納得しておこうか」

 

わっはっは!と笑うガングートだがどこか憂いの表情をしていた。

仲間にいきなり裏切られた様な感じと言っておこうか。

 

「さ、司令官も一緒に雪だるまでも作りましょう!」

「吹雪、私も負けはしないさ」

「雪だるまか。いいだろう。ロシア式のを見せてやろう。いくぞちっこいの!」

 

図らずもそれで私と吹雪、響とガングートでの雪だるま対決となった。

それからしばらくして、

 

「司令官。頭の部分が出来上がってきました」

「そうか。こっちはまだまだ胴体部分はもっと丸めないとダメかな……?」

「頑張りましょうか!」

「ああ」

 

二人で気合を入れているんだけど、ふとロシア組の方へと視線を向けてみるとそこには三段式の雪だるまの姿があった。

ほう……あれが欧州の方で見るという雪だるまか。

日本の二段式とは違うんだなやっぱり。

 

「どうした提督よ。我らはもう後少しで完成するぞ? なぁちっこいの?」

Получите выигрыш.(勝ちは貰うよ)

 

二人してもうすでに勝ち誇っている感じで少し悔しさを感じる。

響もガングートのペースに合わせているのか私にも分からないロシア語で話しているし。

 

「くっそ。吹雪、頑張るぞ!」

「はい! 頑張ります!」

 

それから健闘はしたんだけどやっぱりロシア組には勝てずに先に完成させられていた。

それでどこか勝ち誇った笑みをガングートは浮かべながら、

 

「これが我らの力だ」

「ハラショー。いい感じだよ同志」

 

それで二人して腕を組んではっはっは!と笑っている姿を横目に、

 

「残念だったな吹雪」

「はい。でも、それでも雪だるまは完成しましたから大丈夫です!」

 

それで四人でそれぞれ作った雪だるまを並べながら思う。

 

「久しぶりに童心に帰った感じだよ。最近は雪なんて降ることは無かったからこういった遊びもしなくなってきていたし……」

「そうですね……」

 

どこか吹雪と一緒に感慨深く思っているとガングートが口を開いて、

 

「それなら少し遠出になるが我ら祖国のロシアに一度遊びに来ないか? まぁ、戦時下だからそんなにホイホイ行けるものでもないのだがな……。貴様となら楽しい遠征ができそうだ」

 

そう言ってパイプを吹かしながら笑うガングート。

招待したい気持ちがあるんだろうなと思う。

それに引っかかったのか吹雪が笑顔を浮かべながら、

 

「私、一回ガングートさんの故郷、行ってみたいかもです!」

「お、そうかそうか。それなら一回帰郷する時に連れてってやってやるのも吝かではないぞ!」

 

ぐりぐりと吹雪の頭を撫でくり回しているガングートはかなり嬉しそうだ。

響も興が乗ったのか、

 

「それじゃ司令官もいつか案内するね。歓迎するよ。暁たちも連れて行きたいな……」

「そうだな。それじゃいつか行きたいみんなを連れて旅行に行きたいものだな」

「はっはっは! 来い来い! もうソビエド連邦はないが歓迎するぞ!」

「銃殺刑だけは簡便な?」

「そんなことはしないさ。なに、もう絆を結んでいる仲じゃないか」

 

バシバシと背中を叩いてくるガングートはえらい楽しそうだったと記載しておこうか。

それでふと少しだけ先ほどより寒くなった気配を感じて空を見上げてみると、

 

「また雪が降ってきたな……天気予報はあてにならないな」

「いいじゃないか。これくらいならそよ風なものだ」

「私的にはこれでも十分なんだけどな」

 

そんな感じで吹雪になる前に私達は中へと入っていって炬燵で暖をとっていたのであった。

 

 

 




今年は北海道とか東北に比べれば少ないですけど関東は結構積もりましたね。
今日の仕事も中止になりそうです。



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