【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

277 / 306
更新します。


0277話『広がる軽巡改二の話』

 

 

 

 

現在、演習で村雨の練度上げをしながらも私はある事を考えていた。

それは今朝に大本営から送られてきた電文に書かれていた軽巡洋艦の改二の件に関してだ。

そこにはこう書かれていた。

 

『やや旧式ながら輸送作戦や支援で戦線を支えたある軽巡洋艦のさらなる改装の実装を準備しています』……と。

 

この内容から察するに最新鋭軽巡と言われている阿賀野型は改二の候補から外れたという事になる。

 

「ふぅ……演習は汗が出るわねぇ……」

 

私の目の前で艶めかしく汗を垂らして怪しい雰囲気の村雨の事はあんまり気にせずに、この件に関して聞いてみることにした。

 

「なぁ村雨。ちょっといいかい?」

「ん? どうしたの提督?」

「ああ。新しく大本営から送られてきた電文で軽巡改二の情報が記載されていたんだけど誰が候補に挙がるだろうと思ってな」

「ふーん……? どんな内容だったの?」

「そうだな。まぁ駆逐艦の改二の情報も一緒にあったから伝えておくよ。

『ソロモンなどで四水戦の一翼として奮戦したある白露型駆逐艦』というのが書かれていた」

「それってもう私か春雨とかに限られてくるわね」

「ああ。だから村雨はこのまま練度上げを続行してもらうとして……軽巡の改二の予想が分からなくなったんだよな」

「どう言う事……?」

 

それで軽巡の情報も村雨に教えると村雨は少し考えるそぶりをしながらも、

 

「そうねぇ……。もしかしたら球磨型で残りの球磨さんかもしれないし、長良さんか名取さんって事もあるかもしれないけど、やや旧式ってなると天龍さん達の方が可能性としては濃厚かもしれないわね」

「村雨もそう思うか……? 誰に来るんだろうな……」

 

私がそう悩んでいるんだけどそこで村雨が呆れた表情をしながらも、

 

「提督も心配性ね~。別に誰に来たっていいじゃない? 阿賀野型の四人と夕張さん以外の軽巡は全員練度が90を越えているんだからどんと構えていればいいのよ」

「確かにそうだな……。こういう時のために全員練度を上げてきたんだからな」

 

まぁ、正確に言えば名取はまだ練度89なんだけどそれにしても後は3000ちょいの経験値で90に達するから今は遠征に行かせているからすぐに到達するだろうし、球磨に長良に天龍、龍田の四人は90を越えている。

夕張も練度86で阿賀野型もそれぞれ練度は80以上を言っているから特に心配はないんだよな。

 

「悩んでいても仕方がないか」

「そうよ。だから今は村雨の練度を上げていく事だけを考えていてね?」

「わかった」

 

そんな感じで村雨との会話は終了した。

それから私は執務室に戻ると榛名と大淀と会話をしながらも誰が軽巡になるかという話をまたしていた。

 

「……そうですね。可能性としましては輸送任務を多くしていた天龍さんが一番有力だと思いますね」

「大淀もそう思うか?」

「はい。電文の内容から察しますともう私の可能性はなくなったのは明らかですけどね……」

 

それで大淀は少し寂しそうにしている。

うーん……やっぱり大淀も気にしているよな。

 

《大淀さんもいつか来ますよ。ですからあんまり気に病んではいけませんよ》

「そう、ですね。はい、少しだけ感傷的になっていましたね。すみません」

「謝る事じゃないだろう? 誰だって改二になりたいと思うのは当然のことなんだから」

「はい。お気遣いありがとうございます、提督」

 

そんな感じで任務や資料とにらめっこしていたらどこからか改二の情報を嗅ぎ付けてきたのか天龍が執務室に入ってきた。

 

「なぁなぁ! 提督よ、軽巡の改二の候補にオレが上がっているっていうのは本当なのか!?」

「嗅ぎ付けてくるのが早いな天龍。まぁもしかしたら来るかもしれないな」

「そっかー! それは嬉しいかもしれないな! オレの力がついに天元突破か……いいもんだな」

 

もう自分が改二になると信じて疑っていない天龍に私は生暖かい視線を送りながらも無粋だろうとは思うけど言っておく。

 

「まだ決まったわけじゃないからそんなに期待度を上げておくと後でダメになりそうだからそこそこにしておくんだぞ?」

「分かってるって! しっかし、ああ楽しみだなぁ……」

 

どうやら私の助言は届いていないようだな。まぁそこが天龍らしくていいとも思うけどな。

怖気を知らない鉄砲玉って表現もおかしいけどなんにでも全力で突撃していく天龍は見ていて気持ちがいいからな。改めて納得する。

 

「まぁ楽しそうでなによりだよ」

「おうよ! そん時はオレがめい一杯活躍するから期待しておけよ!」

 

そんな感じで天龍は風のように部屋を出て行った。

それを見送りながら、

 

「相変わらず落ち着きがない奴だな」

「ふふ、そうですね。でも天龍さんらしくていいではないですか」

《榛名もそう思います。あれでこそ天龍さんですからね》

 

そう三人で話し合っていた。

うん。天龍が楽しそうで私も少しだけ楽しく感じられるよな。

これで本当に天龍が改二になったら頼もしさが増すからな。

 

「まぁ……誰がなるにせよ改二は楽しみだな」

「そうですね。球磨さん、長良さん、名取さん、天龍さん、龍田さんの全員に可能性がありますからとてもいい事だと思います」

《村雨さんの改二も控えていますからもしかしたら二人同時に改二の実装をするんでしょうか……?》

「それはそれで大変そうだな……」

 

そしたら久しぶりに疲れそうだと私は思ったのであった。

 

 

 




誰に来るんでしょうね……?
とにかく楽しみです。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。