【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0274話『町の成人式と初風の心配』

 

 

 

 

私は今日、町の成人式に呼ばれていた。

なんでも鎮守府代表とかでぜひ出てくれとの打診を受けたものである。

それで久保少佐とともに席に着きながら次々と進んでいく成人式の光景を見ながら、

 

「……それにしても、懐かしいですね。私はまだ一、二年前のことですがもう親友とはこういう場でもないとあまり会う機会もないですから」

「私もです。もうかなり前のように感じられますね……」

 

久保少佐にそう話しかけられたのでなんとか言葉を返しておいた。

私的には本当の年齢はあんまり言いたくないから黙っているけど相当前の話になってくるからな。

そんな中、一人の若者が壇上に代表として上がってきてこう宣言する。

 

「俺は! いっぱい勉強して軍学校を卒業して榛名提督や久保提督のような立派な提督になってみせるぞー!!」

「「「わーーー!!」」」

 

と、盛大に若さを見せてくれる。

 

「うーん……恥ずかしいですね」

「確かに……」

 

その後に成人式はつつがなく終わっていって、私達も町の人との飲み会に付き合ってやっぱり久保少佐は限度がまだ分からないのか酔いつぶれていたりしたけどこのままでは同人誌みたいな展開になりかねないので急いで控えていた久保少佐の艦娘の子達を呼んで持ち帰ってもらった。

 

「あはは……それでは私もおそろそろおいとましますね」

「わかりました。それでは今後もよろしくお願いします」

「はい」

 

宴会場の外に出ると最近秘書官にしていた初風が待っていてくれたので、

 

「終わったの……?」

「ああ。それじゃ帰るとしようか」

「わかったわ」

 

初風と帰り道を歩きながら、

 

「それにしても、あなたも大変ね……こんな私達とは関係ない事にも出なくちゃいけないんだから」

「まぁそう言うなって。これも町の人との親睦を図るのには必要なっ事だからな」

「ふーん……そういうものなのね。成人式か……私達で言う就役日みたいなものかしらね」

「うーん……そんなものかな」

「なによ、パッとしないわね」

「あはは」

 

そんな感じで楽しく会話をしながらも鎮守府に帰ってきたんだけどなにやら少し騒がしくなっていることに気づく。

 

「なにかしら……?」

「さぁ……」

 

見ると、中庭でなぜか複数のみんなが晴れ着を着て壇上に立って今年の目標とか叫んでいる。

 

「今年も提督さんとみんなと頑張るっぽーい!!」

 

夕立なんか魚雷を持ちながら騒いでいるから危なっかしいな。

もしかしなくても成人式に感化された集まりだな。

 

「アホくさ……成人式の真似事かしら……?」

「多分な」

 

それで手頃なところにいる大淀に話しかける。

 

「大淀」

「あ、提督。お帰りなさい」

「うん。それでこの騒ぎはどうしたんだ?」

「はい。皆さんがテレビを視聴していてちょうどよく成人式のニュースが流れましてせっかくだから私達もしようかって話になってしまいまして」

「やっぱりか……」

「単純ね」

「まぁそれで提督が帰ってくるまでは暇な子も多かったので暇をつぶすという名目で晴れ着まで用意してこうして騒いでいるという事です」

「なるほどな……」

 

それでもう一度みんなを見るんだけど各自で楽しく騒いでいるのでこうして見ているだけでも目の保養になるので止める事もないかなと思って、

 

「それじゃほどほどにしておいてくれと伝えてくれ。寒い中で風邪でも引いたら大変だからな」

「わかりました」

「それじゃ私は執務室に戻っているけど初風はどうしてる?」

「私も行かせてもらうわ。あまり騒がしいところは好きじゃないから」

「そっか」

 

初風らしいと思いながらも執務室へと戻って今日の任務を再開した。

 

「……それにしても結構あなたは頑張っているわね」

「どうしたいきなり……?」

「いえ、先日に私も練度70まで上げてくれたじゃない? だから後残すは六人ってところだから一応の終わりは見えてきたんじゃないかなってね」

「いや、まだまだだよ。駆逐艦のみんな全員が練度70になったら次は特殊艦のみんなも上げていかないといかないとだしな。目指すは全員70以上をめどにしてそれが終わったら次は75をって感じで順々に上げていこうと思っているし」

「それだと終わりが見えないわね……」

「はは。確かにな」

 

そして話が終わったのか少し静かになる執務室。

初風はもとから静かな性格をしているから息苦しいという事もないからちょうどいい。

 

「でも、無理はしちゃダメよ? これでもみんなはみんなあなたの事をいつも見ているんだから少しの変化も見逃さないんだからね」

「うん。それは分かっているよ。いつもなにかあったら気遣いの言葉を言ってくれるからな。おかげで体調を崩すこともないしな」

「そう……私が言うまでもなかったわね。それに、誰よりも榛名さんの方があなたの事を分かっているから口出しは無粋だったわね」

《初風さん、そんなことは無いですよ》

 

そこに榛名が外に出てきた。

多分初風の事を心配してのことだろう。

 

《確かに私は提督の事をいつも把握していますけど、それだけですので言葉はかけられても触れられませんから皆さんのそういう気遣いがとても助かっているんですよ? だから遠慮せずにいつでも提督の事を心配してくださいね》

「そう。それなら覚えておくわ」

《はい》

 

話は済んだのかそれで二人は笑いあっていた。いいものだよなこういうのも。

それから三人で話に花を咲かせながらも任務をやっていった。

 

 

 




今日は少し遅めの更新です。
ちょっと疲れていたのでご容赦ください。



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