【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0272話『報告書と相次ぐ改二の情報』

 

 

 

提督は今明石から提出された資料を読みながら少し悩ましい表情をして考え込んでいた。

その資料にはこう書かれていたのだ。

 

『榛ちゃん分離計画』と……。

ちなみに音読みでシンちゃんというのがこの鎮守府に在籍しているみんなの総意見だという。

昨日の今日でもう決まったのには驚きだけど、青葉が大きく宣伝していたのがこうもうまくいくものなのかと提督は驚いていた。

 

「しかし、この榛ちゃんというのはなんとなく納得はしたけど、まさか小さくなっている時の記憶の継続が続いていたとは驚きだな」

《そうですね提督》

「これも明石さんの薬の副産物という結果に終わりましたね」

「副作用がまさかの副産物と化した訳か」

 

だけど提督の表情があんまりすぐれない。

それで榛名は不安に思ったのか聞いてみることにした。

 

《提督は……榛ちゃんが現れるのはお嫌ですか……?》

「あ、いや。そんなことはないぞ。小さい榛名と思えば可愛いものだしな」

 

慌てて提督はそう言って榛名が悲しい顔をしないように言葉を紡いだ。

だけど「ただ」と呟いて、

 

「果たしてその子は成長が出来るのだろうか……? 榛名は艦娘の精神を持っているから大丈夫だし、私もいつまでもみんなで暮らせることに関しては嬉しいからこのままでもいいと思うけど……その子はずっと子供のままだろう……?」

「そうですね。戦いには出せませんし、かといって町の方々に養子として任せるのもどこか引けてしまいますからね」

 

それで大淀と提督とで考え込んでいた。

 

《それならもし分離が完全に成功した時にはみなさんで育てればいいではないですか。こういう時に鹿島さんや香取さんなら喜んで引き受けてくれるでしょうし、駆逐艦や海防艦のみなさんも一緒になって遊んでくれると思いますから。鳳翔さんはもう絶対に喜びますよ?》

 

榛名の言い様に「確かに……」と納得をする提督と大淀。

 

「まぁ、今更一人や二人増えても変わらないか。別に新しく家を建てる事もないんだし誰かの部屋で一緒に住まわせて情緒教育をしていくのもありっていえばありだな」

「提督にとっては妹のように感じられるかもしれませんね」

「妹か……姉はいたから目上の対応はできるんだけど下に兄妹はいなかったからなぁ……しいて言えば姉夫婦に姪がいたからよく遊んでいた記憶はあるからなんとかなるだろうけど」

 

それでまた悩みだす提督。

元の世界での話はこの際なしにして実際に会ってみてから考えればいいかという気持ちで落ち着いてきていたりする。

 

「まぁ、この問題はまだ明石の研究成果が出てから考えればいいか」

《わかりました》

「そうですね。それではそろそろ話を変えていきましょうか。昨日の間に大本営から新たな情報が送られてきたのですが目を通しますか……?」

「わかった。見せてくれ」

「はい、それでは」

 

大淀がそれで手持ちの資料から一枚の紙を提督に渡す。

それを受け取った提督はすぐに目を通して、驚いた。

 

「一月中に軽巡洋艦と駆逐艦の二隻に改二だと? さらには二月には『捷一号作戦に出撃、シブヤン海を抜けレイテ湾突入を目指したある「戦艦」の改二改装』だと!?」

 

その情報にはさすがの提督も驚愕の二文字をするに値するほどの衝撃だったことは分かるだろう。

 

「多分ですがレイテ沖海戦に向けての改二だと思われますので軽巡洋艦に関しましては改二になっていないのは私と能代さんと矢矧さんくらいだと思われますから、有力なのは能代さん辺りだと思いますね」

「どうしてだ? 大淀ももしかしたらあるかもしれないじゃないか」

 

大淀の発言に提督は疑問を感じたのでそう聞いた。

だけどその大淀が苦笑いを浮かべながら、

 

「そうなのですけど……まさか私が来たらとも思いますけど、大本営がまだまだ私の改装はしないかもしれないというのが本音なんですよね。

そして矢矧さんに関しましては坊ノ岬沖がモチーフの海戦でない限りは保留されると思いますから」

「なるほど……それなら駆逐艦はともかくシブヤン海絡みでの戦艦はもう誰かに絞られてくるよな? 少し資源的に怖い気持ちもあるけど……」

「そうですね……間違いがなければ武蔵さんが改二になるのでしょうね。今現在も大型建造では武蔵さんの建造率は上がっていますしね。

ただでさえ強力な大和型ですのに改二になったらどんな力を発揮するか楽しみでもありますけど、同時に消費燃料弾薬がどれだけ増加するかと考えると恐ろしくも感じますね」

「そうだな。そしてこんなタイミングを逃したら改二にはなれないだろうからな」

 

それで提督と大淀は二人して渇いた笑みを零しているのであった。

そんな二人を見てられなかったのか榛名はこう言った。

 

《提督も大淀さんもそんなに後ろ向きではいけませんよ! せっかく改二になれるかもしれないのにそれを聞いたら武蔵さんが悲しみますよ!》

「そう、だな。ありがとう、榛名。危うく武蔵に悲しい思いをさせるところだった」

「そうですね。資材が減るのならまた回復させればそれでいい事ですよね」

 

どうにかそれで二人も暗い考えはやめることができた。

 

「それじゃ戦艦の件はこれでいいとして、残りの駆逐艦だけど……これは噂の村雨なのだろうかね?」

「こればかりは分かりませんね。まだ誰のヒントも得られていませんから」

「おそらくだけど数日中に情報が来ると思うからそれから練度を上げてもいいとは思っているんだ。誰になっても今のところは安定しているからな。先日に高波も練度70になったことで残りは七人になったし……」

「そうですね。村雨さんも現在は練度71で遠征艦隊に入っていますからいつでも引き抜けますしね」

 

それで提督と大淀と榛名の三人はとりあえず様子を見てから動き出そうという気持ちになっていたのであった。

 

 

 




駆逐艦に関しましてはもしかしたら武蔵と合わせて清霜という線も否定できないところですねー。
まさか藤波(練度42)な訳はないと思いますけど……。
勲章が減っていくなぁ……。




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