【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0260話『山城と榛名で過ごすクリスマス』

 

 

 

 

今日は山城を連れて久保少佐とともにとある居酒屋で食事をしていた。

のだけど、

 

「聞いてくださいよー……榛名提督~」

「はいはい、どうしましたか? 久保少佐?」

「私も頑張っているんですよー……ですけどまだまだ未熟なこの身では今年の秋の作戦も途中敗退ですよ~。悔しいですよー……」

「そうですか。でもまたこれから頑張ればいいじゃないですか」

「そうなんですけどー……」

 

と、久保少佐はもう完全に酔いが回っている為に愚痴を隠さないでへべれけ状態であるので少し扱いに困っていた。

 

「ヘーイ、テートク。少し飲み過ぎネー」

「そんなことはないぞ~コンゴー……」

 

久保少佐の金剛がそれで介抱しているという始末である。

 

「榛名テートク、ゴメンナサイネ。折角の食事会だったノニ……」

「気にしていないよ。ところで久保少佐の鎮守府はどの程度の成長具合なんですか?」

「そうネー。テートクも真面目なお方ですから毎日任務はきっちりと終わらせて頑張ってイルネ。そういう真面目なところも大好きナンダケドネー」

「そうだー。私は真面目な提督だー……すぅ……」

「あら……? ついにダウンしてしまいましたね……」

「そうだな、山城」

 

それで金剛はため息を吐きながら、

 

「それじゃそろそろお開きネ……。そっちの榛名も不自由だけどテートクの事を離さないように頑張るネー!」

《はい、金剛お姉さま》

「夜道は気を付けてな?」

 

金剛は「大丈夫ヨー」と言いながら、そんな感じで居酒屋を後にしていった。

それで山城と榛名と居酒屋に残ってしまったので、

 

「それじゃ三人で飲み直すとするか」

「そうですね」

《はい!》

 

榛名も普通に外に出てきているけどここの居酒屋は結構な常連なので親父さんも慣れたようで驚きはしていない。

まぁ、他のお客さんなどは少しだけ目を見張っているけどそれでもこの町に住んでいる人なら私達の事情もある程度は知っているのでそれだけで何も言ってこないので安心である。

 

「……ですが、今年も色々な事がありましたね」

「そうだな、山城。山城的には一番嬉しかったのはやっぱりレイテを越えられた事だったかな……?」

「……そうですね。はい、提督の指揮のもと、西村艦隊のみんなでレイテを越えられたのは少し、いえ……かなり嬉しいです」

「そっか。前にも言ったけどもう不幸艦なんて言わせないからな……?」

「ふふ、分かってますよ」

 

そう言って山城は笑みを浮かべる。

その笑みは決して愁いを帯びたものではなかったのは私から見ても分かったくらいだから純粋に楽しんでいるようで良かったとも思う。

 

「はい。それじゃ少しだけ飲みますか。親父さん、少し度のきついのをお願いします」

「あいよ。提督さんに艦娘さんはこの町をいつも守ってくれているからな。奮発しておくぜ」

 

気の利いた親父さんに感謝しつつも、

 

「それじゃ飲もうか」

「はい、提督……クリスマスですからね」

 

カンッ!とコップを鳴らせる私達。

それを見て榛名が《いいなぁ~……》と呟いているけど、

 

「ふふ。榛名、あとで提督にまた例の薬を飲ませて一緒に飲みましょうね」

《あ、はい!》

「こら。あれは副作用がまだ解決してないんだからむやみに飲めるモノじゃないだろうに……」

「幼児化ですよね。前回は私はあんまり関われませんでしたからまたなってくれるのでしたら扶桑姉さまとともに可愛がりますよ……?」

「はぁ、勘弁してくれ……」

 

そんな感じで三人で笑いながらもいい時間になったのでそろそろ鎮守府に帰ろうかという話になった。

お勘定を済ませて外に出てみると、

 

「あ……雪ですね」

「そうだな。念のために傘を持ってきてよかったな」

「あのー……私は持ってきていないんですけど……?」

「え……? それじゃしょうがないか……」

 

私はそれで二人で入れるように傘を広げる。

 

「提督……わざとやっていませんか……?」

「そんなことは無いぞ? 一つしかないんだから我慢してくれ」

「まぁ、いいですけど……」

《提督と相合傘……羨ましいです》

「ちょ……なんかデバガメを食らっている気分ね」

「まぁいいじゃないか。三人でゆっくりと帰ろうな」

「わかりました……」

《はい!》

 

山城と二人で雪の地面を歩きながら思う。

 

「山城……私はこの世界に来れて良かったと思う……」

「いきなりどうしましたか……?」

「うん。今年の四月にこの世界にみんなとともに来てからというもの激動の毎日だったけど、こうしてみんなと触れ合って改めてみんなの事を大事にしていきたいと思ったし、それにこうして普通に会話できることが素晴らしい事なんだなって実感も出来た……」

「そうですね。はい、私もそう思います。データだけの存在だった私達も体を得て自由に意思表示をすることもできるようになって、それでも提督は変わらず私達の事を大事に扱ってくれることは鎮守府中の艦娘達は感謝していると思います」

「そうか……」

「そして、こうしてこの世界でも私も自身の気持ちも再確認できたことが何より嬉しかったんですよ……? まぁ、榛名と二股というのは少し気に入りませんが……」

《あ、あはは……でもこうして山城さんとも今でも良好な関係を築けているのも提督の人柄ゆえだと思うんですよ榛名は》

「そうね。これでもし提督の性格が悪かったら私は提督の事を普通に振っていましたし、榛名も嫌悪感全開だったでしょうしね……」

「なかなか怖い事を言ってくれるなぁ……」

「本当のことですよ……? 私はともかく榛名は一緒の身体になんてとてもではないですけどいられなかったでしょうしね。まぁ、それも現にこうして一緒に共存しているのが絆があるという証ですからうまくいっているのでしょうね」

「だとしたら嬉しいな。私はみんなの期待に応えられているんだな」

「はい。ですからこれからも自身を見失わずに私達の事を大事にしてくださいね」

《榛名も同じ気持ちです。提督……信じていますから》

 

二人からのその期待という重しが私をより一層引き締めてくれるという気持ちになって、

 

「わかっているさ。これからもよろしくな榛名に山城」

「はい、よろしくお願いします」

《提督にはどこまでも付いていきますからね》

 

二人の、いや鎮守府のみんなの期待に応えられるように来年も頑張っていこうと私は雪の降る夜に誓った。

 

 

 

 

 




後、残すところ一週間となりましたね。
仕事も後少しで終わるので元旦まで頑張りたいですね。
駆逐艦もあと残すところ10人を切りましたから。




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