【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0255話『陽炎型の緊急会議』

 

 

 

一つの部屋に陽炎型全員が集合していて物々しい雰囲気の中、一番目立つ場所で腕を組みながら座っていた陽炎が一言言い放つ。

 

「諸君……集まってもらってありがとう」

「陽炎姉さん、いきなりどうしたんですか……?」

 

陽炎以外の全員の総意とも言うべき今回の集まりに対しての疑問を親潮が聞く。

 

「そうね。まどろっこしい前話はいいわ。今回集まってもらったのは他でもない……ついに恐れていた事態が訪れたわ」

「なんでしょう……?」

「雪風、今は真剣な話だから横やりは勘弁ね。そう、ついに夕雲型から一人改二が出るという情報が開示されたわ」

「「「!!」」」

 

陽炎の一言で全員が大小それぞれ驚きの顔をする。

 

「ついに夕雲型に先を越されてしまったのよ!」

 

陽炎は悔しそうに机をダンッとわざとらしく叩く。

 

「あほくさ……私は先に帰ってもいいかしら……? 妙高姉さんに会いに行かないといけなんだけど……」

「おだまり初風。今回は最後まで付き合ってもらうわよ」

「うえっ……」

 

陽炎の逃がさない宣言に初風は嫌そうな顔を隠そうともしない。

他の面々もそれぞれ陽炎の本気度合いがかなりあるのか付き合うしかないかという気持ちになっていた。

ただ秋雲だけは本気で嫌そうな顔をしながら、

 

「あのー、秋雲さんだけ本気で上がらせてもらってもいいかなー? 徹夜で仕上げている本がそろそろ危ないんだよねー」

 

そういう秋雲はもう死にそうな面をしていてこの会議中もなおクリスタを弄っている手を止めていなかった。

それを見てさすがに陽炎も良心が痛んだのか、

 

「それじゃいるだけでもいいわ……。作業を進めていてもいいわよ」

「うぃーっす……」

 

それで秋雲は自己の中へと陥没していった。

それを見届けながら、

 

「でも、どうしてこう……私の妹たちは纏まり感がないのかしら……?」

「それは陽炎の影響だからではないですか……?」

「不知火、それってどういう意味よー?」

「いえ、寛大なお姉さまを持つと自由が出来ていいですよねっていうことで」

「そ、そうかしら……?」

 

不知火の話術にそっこうではまる陽炎を見て全員は思った。

 

(((ちょろい……)))

 

と。

 

「まぁ改二云々はまぁいいとしておくわ。前に司令はんと話していたけど陽炎型と夕雲型にそろそろ改二がきてもいいんじゃないかな、って言っていたんよ。だからまぁ祝福してもええんやないの……?」

「えー? 黒潮は夕雲型の方を持つのー? いけないなーいけないなー。時津風は少し不満かな~? だって、後少しで練度70までなるかもしれないというところで急に夕雲型の改二案が来たから演習から外されちゃったしぃー……それに今では夕雲型のメンバーはサーモン海域にばっか出撃しているから夕雲と巻雲、風雲の三人に練度抜かれちゃったし……」

「そういえば先日に夕雲がもう練度70になっていたわね……」

 

時津風の不満を天津風が見事に煽っていた。嫌な風吹いてるぅーッ!

 

「まぁそうだな……。だが、後になればなるほどかなりの強化の期待が持てるのだからいいのではないか?」

「そうですね。磯風さんの言う通りだと思います。嵐も現状は不満はあんまりないでしょう?」

「お? まぁ萩ぃの言う通り俺はそんなに焦ってもないかな……? まだまだ伸びしろはあるんだしな」

「谷風さんもそんなにかなー? 改二がなんぼのもんだって奴かな? まぁ実装されるならありがたく賜わるけどね」

 

磯風、萩風、嵐、谷風はまだまだ余裕を持っている方なのだろう。

 

「舞風は何とも言えないかなー? 戦場で踊れる機会もあれば楽しいけどそんなに積極的じゃないしー」

「野分も舞風とは理由は違いますがどちらともつかないですかね?」

「舞風と野分は中立派か……残りは浦風と浜風と雪風だけどなにか意見ある……?」

 

陽炎にそう言って発言を終わらす二人。

それで残りの三人にも意見を聞くことにしたのであった。

 

「そうじゃねー……うちは提督さんが頼ってくれるんなら思う存分協力はするつもりじゃけん」

「私も同意見です。改二がなくともこの浜風、最後まで戦い抜く覚悟はありますから」

「二人とも考えが固いわねー。まぁいいけどね。で、黙りこくっている雪風はどうなの?」

「雪風は……そうですね。できればあんまり改二にはなりたくないですかね」

 

雪風の意外な意見に陽炎も興味が引かれたのか理由を尋ねることにした。

 

「またどうして?」

「もし……もし改二になったら雪風は雪風ではなくなってしまうかもしれないですから……」

「「「あー……それはありえるかも」」」

 

全員の意見が重なった瞬間だった。

もし生前の艦の最後まで引継ぎがあるのであったら響、ろーちゃん、ごーちゃんと言った名前自体が変化する艦娘のように雪風も中国の船に名前が変わってしまうからだ。

 

「かの国での活躍も雪風は誇りに思っています。ですが日本艦のままでいたいです……」

 

そこにはかつてない決意をしている雪風の姿があり、さすがの陽炎もそろそろ議題に熱が入らなくなってきたのか、

 

「そうねー……少し頭を冷やしたけど、素直に歓迎してやろっか。来年になればもしかしたら陽炎型ラッシュが来るかもしれないしね」

「来ればいいですね」

「不知火! そこで不吉な事を言わないの! 本当に来なかったら嫌じゃない!!」

「きゃー……」

「あ、待ちなさい!」

 

不知火は無表情で悲鳴を上げながら部屋を飛び出していった。

そんな不知火を陽炎は別の意味で血が昇ったのか追いかけて行ってしまった。

それで会議室はグダグダになったので、

 

「それじゃかいさーん!」

「「「はーい!」」」

 

それで各自戻っていく一同。

ただ一人、自己に陥没していた秋雲だけが部屋に残されていて、

 

「出来たー! あれ!? みんないない!?」

 

と慌てていたとかなんとか。

 

 

 




夕雲型練度点呼!

夕雲(70)
巻雲(60)
風雲(55)
長波(70)
高波(37)
藤波(38)
沖波(37)
朝霜(97)
早霜(34)
清霜(70)

現在5-4で急ピッチ練度上げをしているところです。
早く、誰が来るのか発表してくれ!
安らぎが欲しい!



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