うわぁーーーーー!!
恥ずかしい! 誰だこんな動画や写真を撮ったのは!?
青葉だな!? 青葉だ! 確定!!
私は昨日までの間に起きた不思議な出来事について榛名から聞かされていく内に顔を青くすること数回……。
まさか子ども化していたなんて……。
それにアルバムに収められた写真の数々(撮った奴、青葉だろう! あきらかに盗撮写真が多めだから)を見せられて何度ものたうち回ってしまう。
「な、なぁ榛名? これは処分しないか……? 後生の頼みだ」
《だーめです。これは大事な思い出なんですから。提督、とても可愛かったですよ》
「うわぁぁぁ!?」
人生何があるか分からないけどまさか子ども化してこんな辱めを受けるなんて。
「うん。やっぱりこれはどこかに閉まっておこう。そうしよう!」
《多分もう無駄ではないでしょうか……? 青葉さんが何枚も複製してみなさんに高値で売っていましたし……》
「やっぱり青葉なんだな!?」
おのれ青葉! あとで痛い目にあうぞ!
そしてもうこの写真の流出を防ぐ手段もない………詰んだ。
《その、提督……。また榛名お姉ちゃんって言ってもらってもいいですか……?》
「勘弁してくれ……」
榛名のそんな要望も何回か断りながら食堂に向かう私達なんだけど、
「あ、普通の提督だ! おはよー!」
「おはよう白露。頼むから普通の、をつけるのだけはやめてくれ」
「えー? いいじゃん! あのちっちゃくて無邪気な提督も可愛かったし……あ、もちろん今の提督も凛としていてかっこいいよー?」
「まるで付け足した様な言い方もなんか傷つくな……」
「あはは! まぁ、今日はだいたいみんなにそう言われるだろうから覚悟しておいた方がいいよー」
「そうだな……。はぁ、気が重い……」
白露とそれで別れたんだけど食堂で鳳翔さんと出会うとどこか熱っぽい視線を向けられたんだけど、鳳翔さんともなにかしたのか……?
「その、提督おはようございます……」
「おはよう。それでその熱い視線は何の意味があるんですか……?」
「い、いえ! ただ……そう、ただですね。また一緒にお布団で眠りたいなって……」
「…………」
照れながらそう言う鳳翔さんに私は絶句した。
そんな羨ま妬ましい事になっていたのか!?
そしてそれを聞いていたのかガタッ!と一斉に席を立ちだす空母組。
なんだ!? 鳳翔さんと寝たのは記憶を失っていた時の私だぞ! だから今の私に言われても困る!
だけどそこで予想外の事を言われた。
「提督……この加賀が添い寝をしてあげますよ?」
「加賀さんずるい! 私も提督さんと一緒に暖かいお布団でうたた寝したいよ!」
「ここは先輩に譲りなさい」
「くぅ! こういう時だけ先輩面するなんてー!」
待って待って! 状況が追い付かない!
その後も飛龍とひーちゃん、蒼龍と蒼の四人が一斉に誘惑してくるし。
赤城は冷静なんだけど翔鶴に関してはどこか後ろめたい事でもあったのか一人悔しそうな顔をしているけどなにがあったんだ……?
それで少しだけ落ち着かない朝食を済ませた後に廊下を歩いていると朝潮が突然現れて、
「司令官! なにかありましたらこの朝潮に言ってください! 聞ける範囲での事ならなんでもしますから!」
「朝潮……お前もなにかあったのか……?」
「はい! 司令官は記憶を失っていても私の進水日の事を覚えていてくださった事に感激しました! ですからなんでも仰ってください!」
「あー……だから渡そうと思っていたプレゼントが無くなっていたのか……」
「はい! 朝潮型のみんなに自慢しました!」
「それはまた珍しい……」
そんな感じでなんとか執務室まで到着してようやく落ち着いたのだけど、先に中にいた長門が私に意味深の視線を送ってきていた。
それで思わず身構えてしまう私。
長門ともなにかあったのか?
「……提督よ。提督が幼くなっていた間、私が代わりに艦隊運営をしていたのだ……」
「そ、そうか。それはすまなかった……」
「まぁそれはいいのだが、なにかそれで言う事があるだろう……?」
「その、ありがとう……?」
「うむ。それが聞きたかった。できればお姉ちゃんとまた呼んでもらいたいものだがな」
長門はそう言いながらも豪快に笑いながら執務室を出て行った。
本当になんだったんだ?
長門と入れ替わりで執務室に入ってきた大淀が私を視界に入れたのだろう、ホッとした表情をして、
「よかったです……もうあの状態の長門さんを相手にするのは疲れましたから」
「なんか色々とあったみたいだな……。大淀はまともそうでよかったよ」
「いえ……まぁ本音を言いますと私もちっちゃい提督と遊びたかったんですけどね」
「……本当に記憶を失っていた間の私はみんなになにをしたんだ……? 気になって仕方がないんだけど……」
「いえ、別段特別な事はしていませんよ? ただ、小さかった頃の提督の素顔を見れただけでも役得だったのではないでしょうか……」
「できれば黒歴史に閉まっておきたい内容だな……」
「ふふふ……みなさんに大小さまざまな影響を与えましたからね。元に戻る前にほぼ全員がいるみなさんの前で『私はみんなのこと、大好きだよ!』と言ってのけた提督は素晴らしかったです」
「なんだそれなんだそれなんだそれ……!?」
どこかうっとりとしている大淀から飛び出してきた内容に私はもうどこかに籠もりたい気持ちで一杯だった。
「と、提督を弄るのはこれくらいにしておきましょうか」
「大淀、あとで覚えておけよ……?」
「はい。覚えておきます。提督は私達に酷い事はしませんから」
「そう言い切られるともうなにもできないじゃないか……」
「えへへ♪」
可愛く舌を出す大淀も可愛いなこんちくしょうめー!
「それでですが話は変わりますが新たな改二改装案が来ていますけど見ますか……?」
「なに……? 誰に来るんだ?」
「はい。なんでも『主力of主力な艦隊型駆逐艦』らしいですね。これはまずいですね……」
「まさかの夕雲型か。いつごろ来るんだ?」
「はい。クリスマスから年末にかけての忙しい時に来るそうです」
「って、もう一週間もないじゃないか!?」
「はい。ですからまだ誰に来るか分からない以上は全員を一応の練度にしておかないと辛いかもですね」
「そうだな……。ここは今まであまり手を付けてこなかったサーモン海域駆逐艦三隻同時レベリングをやるしかないか」
「期日までに頑張りましょうね」
「そうだな」
これから相当頑張んないといけなくなったな。
なんとかしないとな……。
これは相当恥ずかしいですよね。
記憶のない間にしでかした数々を聞かされるんですから。
夕雲型レベリング頑張ります。
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