【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0241話『佐渡と大鷹とヒ71船団の話』

 

 

 

 

佐渡様がこの鎮守府に来てからというもの、シレイは佐渡様の事を育てている感じなのか絶対に対潜掃討の任務に就かせてくれる。

それでいつもある人と一緒に組む事がある。

その人とは、

 

「それではみなさん。今日も頑張ってまいりましょう……」

 

静かな音色の声で、それでも力強い感じでそう喋る人……そう、大鷹さんだ。

あたしと大鷹さんは少しだけ深い関係でもあるってのは多分シレイも知っているんだろうなぁ……。

この鎮守府にいるみんなに話を聞くとシレイは異世界の人とか言うにわかには信じられない人らしいんだけど、それ以上にほとんどの艦娘の人達も異世界出身とか言うから信じるしかないんだろうな。

その中で大鷹さんは数少ないこの世界の出身の人だから色々と話しやすいのも確かな事で。

 

「おう! 大鷹さん、この佐渡様に任せておいてよ! 必ず今度は守るからさ!」

「ふふ……期待していますよ佐渡さん。それではみなさん、そろそろ敵深海棲艦の潜水種と遭遇します。各自爆雷の用意を……」

「わかりました……」

「了解でーす……」

 

まつとつしもそれで戦闘の準備をする。

あたしもそれに習ってソナーで潜水艦の居場所をすぐに察知する。

 

「それではいきましょう!」

 

大鷹さんがそう言いながら艦載機をまるで鳥のように射出していく。

軽空母で唯一先制対潜が可能な大鷹さんは誰よりも早く攻撃をしていくのでアタシ等も遅れずまいとして爆雷を投下していく。

そしてしばらくして、ボーン!と海面が爆発する感じがしたのでおそらく潜水艦を倒すことが出来たんだろうな。

 

「よっし! ソナーでも潜水艦の感じはなくなったな」

「でも、まだまだ用心が必要です……あうぅ」

「海は危険がいっぱい……」

 

まつとつしがそれでまだ周囲の警戒をしている。

うん、そうだな……。

この海域は特に潜水艦が多いから用心に越したことは無いからな。

 

「ふぅ……それでは佐渡さん、それにみなさん。そろそろ先に進みましょうか」

「了解だぜ!」

 

それで先に進もうとするんだけどふときらりと光るものが目に映って、

 

「大鷹さん、危ない!」

 

あたしはとっさに大鷹さんの前へと出て行く。

次の瞬間にはあたしは魚雷をくらっていた。

 

「いってぇ……!」

「佐渡さん! 大丈夫ですか!?」

「佐渡……平気?」

「松輪、もう許しません!」

 

珍しくまつが怒っていて爆雷を投下していた。

あたしはなんとか中破で済んだけど少しだけ服が破けちまったな。

 

「もう……大丈夫ですか? 私の事はきにしないでも大丈夫ですのに……」

「そんな事、言わないでくれよ大鷹さん。あたしは……もう大鷹さんが守れないのは嫌なんだよ……」

 

思い出すのはヒ71船団での出来事……。

大鷹さんが敵の魚雷を受けて沈んでしまい悔しい気持ちでそれでも進んでいったけど結局あたしも後を追う事になってしまった……。

だからもう大鷹さんが沈む姿は見たくないんだ。

 

「あたしは、あたしは絶対に大鷹さんを守るんだ……そう心に決めてるんだ」

「佐渡さん……」

「佐渡ちゃんの気持ち、分かるな……松輪も、佐渡ちゃんとヒ71船団の時に一緒だったから大鷹さんが沈んだ時はとても悔しかったもん……」

「わかってくれるか、まつ……」

「うん……」

 

まつが同意の笑みを浮かべてくれるので少しだけあたしも気分が落ち着いた。

 

「……まだあたしは大丈夫だから先に進もうぜ!」

「平気なんですね? 無理そうだったら言ってくださいね?」

「わかってますよ。大丈夫、これでも海防艦のはしくれだからどうにかするよ!」

「わかりました。それでは佐渡さんを守りながら進みましょう!」

「「「はーい!」」」

 

そんな感じであたし達はその後も潜水艦を打倒しながら進んでいって任務も終了して帰投したらそっこうで入渠をしていた。

 

「いやー……やっぱお風呂はいいよなぁ。身体の痛みが引いていくぜ」

 

あたしはそう呟く。

他のドッグには誰もいないので今はあたしが独占できるのはいい事だ。

そんな時に入渠ドッグの部屋に誰かが入ってきた。

あたしはそれで顔を向けてみると大鷹さんがいた。

 

「大鷹さん……?」

「佐渡さん……少しよろしいでしょうか?」

 

少しだけ真剣な表情の大鷹さんにそう言われたら断れないので、

 

「そんじゃこんな状態ですみません……」

「いいですよ。私を守って負傷してしまったのですから気にしないでください」

 

大鷹さんはドッグの近くに椅子に座って一回息を吐いた後に、

 

「佐渡さん、私は……あの時にすぐに沈んでしまったから後の事はあまり分かっていないんです。それでも調べる事はできました。速吸さんや佐渡さん、松輪さんと大勢の方が沈んでしまった事も……とても大変だったんですね。私が力になれずにすみませんでした……」

「あ、謝ることは無いよ! あの時だって大鷹さんはほとんど艦載機も積んでなかったじゃん! だからあれは仕方がなかったんだよ」

 

そう、あの時にはすでに積める艦載機もなかったから輸送船と化していた大鷹さんは魚雷には対抗する術もなかったから仕方がなかったんだ……。

だからあたし達が船団護衛についていたのに……みすみす敵の攻撃を許してしまって……、

 

「むしろ謝りたいのはあたしの方だよ。船団護衛していたのに守れなかったからな……」

「ふふ……それではお互い様ですね」

「そうだなぁ……悔しいけど敵が強すぎたんだな、うん……」

 

それで大鷹さんと苦笑いを浮かべあう。

 

「でも、こうして艦娘として佐渡さんとも出会えたのは嬉しいんです……ですから今度は私も佐渡さんの事を守りますね?」

「あたしこそ! 今度こそ佐渡様の力を見せたげるから!」

「それでは期待しておきますね」

 

そんな感じで大鷹さんとしばらくの間だけどお話が出来て良かったと思う。

これからもっと頑張ろう!おー!

 

 

 




佐渡回でした。



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