【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。
これは先日に起こった話です。


0238話『艤装が使えなくなった利根』

 

 

 

 

吾輩はいつもの朝の日課で艤装の手入れをしようと思ったのじゃ。

 

「ふんふんふん♪ 今日もカタパルトを綺麗にしてやるのじゃ!」

 

そう思っていつも通りに艤装が顕現するイメージをしたのじゃが……。

 

「ぬっ……?」

 

なぜか艤装はうんともすんとも出現しなかった……。

おかしい……。

いつもなら自然と顕現できるはずなのに……。

それで何度も何度も顕現するように祈ったのじゃが……どうしても艤装は出てきてくれなかった。

そして吾輩はしょうがなく妖精さんを呼ぶ事にしたのじゃが妖精さんも出てきてくれない。

これは何事じゃと思うと同時に最悪の想像をしてしまったのじゃ……。

それは……艤装を使えなくなってしまい艦娘として役立たずになってしまった吾輩はもしかしたら提督に捨てられてしまうのでは……?という想像をしてしまった。

顔から血の気が引いてきて吾輩はもうこの場では耐えられなかったために、

 

「筑摩ー筑摩ー!?」

 

筑摩の事を叫んでいた。

もう吾輩だけでは解決は困難んじゃと悟った最後の防衛本能から来る叫びじゃった……。

 

 

 

 

 

 

 

突然利根姉さんの尋常ではない私を呼ぶ泣き叫び声が聞こえてきたために私は慌てて利根姉さんの部屋へとまいりました。

すると利根姉さんはそれはもう顔を青くさせて震えているではないですか?可愛い……、ではなくて!

 

「ど、どうしたのですか利根姉さん!?」

「ぢぐまー……」

 

利根姉さんが私に抱きついてきました。

相当の出来事があったのですね……。

それで丁寧に事情を聴きだすために一から聞いていきました。

そして判明したのが、

 

「艤装が出せなくなったのですか……?」

「そうなのじゃ……何度念じても艤装が顕現しないのじゃ……妖精さんも出てきてくれないし……このままでは吾輩は提督に捨てられてしまうのじゃ……」

「そんな……提督はそんな酷い方ではないのは利根姉さんもご存知でしょう?」

「それはわかっておるのじゃ……でも艤装が使えない艦娘などいても迷惑をかけるだけじゃぞ?」

 

利根姉さんはそれでひどい落ち込んでしまっている。

そこまで思いつめてしまっていたのですね。

可愛そうな利根姉さん……。

 

「でも、まずは明石さんに見てもらいましょう? なにか原因が分かるかもしれないですから!」

「そ、そうじゃな……」

 

利根姉さんを説得してすぐに私達は明石さんのいる工廠へと向かいました。

 

「明石さーん! いらっしゃいますかー!」

「はーい!」

 

明石さんは私の声に気づいてすぐに出てきてくれました。

意外と明石さんは多忙な方ですから工廠にいない事も多いので助かりましたね。

 

「どうしたしたか筑摩さん? おや、一緒にいる利根さんがなにやら気分が優れないようですがどうしました……?」

「それが……」

 

私は明石さんにも事情を説明しました。

聞いていく内に明石さんは真剣な表情になっていって最後まで聞き終えると、

 

「なるほど……そのような事情でしたか。分かりました。それでは利根さんは少しドッグに横になってもらってもいいですか? 検査しますので」

「わかったのじゃ……」

「それと筑摩さんは提督を呼んできてもらっても構いませんか……? 結構大事かもしれませんから」

「わかりました。利根姉さん、心配しないでください。きっと治りますからね……」

「う、うむ……明石の腕は信じておるから任せたぞ?」

「お任せください!」

 

それから明石さんの検査が始まりました。

私はその間に提督を呼ぶために工廠にある通信機器で提督のお部屋へと通話を試みました。

もう日も登っていますから朝のお食事に行っているかもしれませんし最悪は執務室に電話をかけてみましょうか。

しばらくして提督は出てくれました。

 

『こんな朝にどうしたんだ明石?』

「い、いえ……筑摩です」

『ん? 筑摩か。工廠からだからてっきり明石かと思ったんだが……どうしたんだ? なにかあったのか?』

「はい。それがですね―――……」

 

私は提督にも事情を説明しました。

 

『なるほど…わかった。すぐに工廠へと向かうとするよ。それとまだ明石以外の他のみんなにはこの件は話していないよな?』

「はい。でもなぜでしょうか……?」

『いや、艤装が使えないって事があるともしかしたら他の子もって事もあるかもしれないから余計な不安を抱かせるわけにもいかないからな』

「なるほど……」

『とにかくまずは向かわせてもらうよ』

「はい。お待ちしています提督」

 

それで提督とも通信を終了して明石さんのところへと戻っていきました。

 

「明石さん。提督はすぐに来られるそうです」

「そうですか……それにしても、うむむー……中々難しいですねぇ」

 

明石さんが珍しく難しい顔をしています。

それほどにこの件は問題なのでしょうか……?

利根姉さんは今はドッグで眠りに入っていますので余計な声が聞かれないだけマシですけど。

 

「なにかわかったのですか……?」

「はい。検査上は特に問題点は見つからなかったんですけど……やっぱりなにか誤作動を起こしているのか艤装が展開できないんですよね」

「誤作動ですか……」

「はい」

 

それで明石さんと一緒に悩んでいるとそこに提督が急いでやってきたのか少しだけ汗を掻いていました。

 

「筑摩、来たぞ。それで利根の様子はどうだ……?」

「はい。それがやっぱり艤装が出てこないそうで明石さんと一緒に悩んでいたんです」

「現状はなにか分からないですから手の施しようもないといいますか……精密な検査をしていかないといけませんね」

「そうか……タイミング的にはよかったのか悪かったのか分からないな……。限定作戦中に起きなかったのがせめてもの幸いだな」

「そうですね。利根姉さんも活躍できなかったら悔しいでしょうから……」

 

それから明石さんとともに利根姉さんの事を調べていく中で、

 

「妖精さんが出てこない……?」

「はい。なにやら呼びかけても出てこないとかで……」

「そうか。それじゃ少し試してみるか……」

 

提督はそう言うと自身の艤装を展開していた。

なにをするのでしょうか?

 

「妖精さん、少しいいか……?」

【何でしょうか提督さん?】

「事情は分かっていると思うけど少し利根の中に入ってもらってもいいか……?」

【可能ですけど大丈夫でしょうか……?】

「たぶん妖精さんの方でなにかあったと思うから確認だけ頼む」

【わかりました】

 

提督の艤装の妖精さんはそう言って利根姉さんに入っていきました。

しばらくして妖精さんは出てきました。

 

【大変です提督さん。利根さんの妖精さん達が全員風邪で倒れていました】

「えっ!?」

「本当ですか!?」

「やっぱりか……それじゃ至急運び出してくれ」

【わかりました】

 

それから話は早かったですね。

利根姉さんの妖精さん達はなぜか全員風邪を引いていたために艤装も展開できなかったらしいです。

明石さんの手でなんとか妖精さん達もしばらくして回復したのか感謝をしながら利根姉さんの中へと戻っていきました。

そして、

 

「おおー! 艤装が展開できるのじゃ!」

「よかったな、利根」

「うむ! 提督よ、感謝するのじゃ!」

「ああ。それとこれからは妖精さん達の体調管理もしっかりとしておくんだぞ?」

「わかっておるのじゃ!」

「よかったですね、利根姉さん」

「うむ!」

 

利根姉さんの顔に笑顔が戻ってきたのでよかったと思いました。

私も妖精さんの事をこれからはもっと気遣いましょうか……。

 

 

 




実際はバグだったらしくて運営に連絡してキャッシュクリアをしてみてと言われたので試してみたら直りました。
利根の姿が映らなくて出撃したらすぐにフリーズしてしまうから焦っていたので直ってよかったです。





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