【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0236話『涼月の着任』

 

 

 

 

 

本日は大本営から今回の限定作戦の全作戦の終了を賞して報酬艦である涼月が我が鎮守府にやってくる日だ。

月を跨いでの事もあり、師走に入ってからの艦隊合流は艦娘達も大いに歓迎している感じである。

秋月と照月と初月の三人が私とともに門の前で待っている時だった。

 

「でも、私達だけでよかったのでしょうか司令?」

「ん? なんでそう思ったんだ秋月……?」

「いえ、大和さん達坊の岬組みの皆さんも来たかったと思うんですけど……」

「まぁな。でもこれから何度でも会えるという事で今は我慢してもらっているんだ。今回はまずは秋月達三人に最初に会わせたいという感じだな」

 

私がそう言うと照月が笑顔になって、

 

「そうだったんだー! 提督、ありがとう!」

「こらこら、勢いよく抱きついてくるんじゃない……」

 

照月が急に抱きついてきたためにどうあやすか困っていた。

一方で秋月も抱きついては来なかったものの、少し優しい表情をしながら、

 

「司令……私たちの事を考えてくださりありがとうございます!」

「そうだね秋月姉さん。僕も……嬉しいな」

 

たまにしか見せない笑みを浮かべて初月も喜んでいるようで良かった。

そんな感じで護送車が来るのを待っているといつもの感じの車が正門の前までやってきた。

停車するといつもの軍人さんが降りて顔を出してきたので、

 

「お疲れ様です」

「提督さんこそ……今回の作戦もお疲れ様でした」

 

ニカッと笑みを浮かべる軍のおじさん。

この人はいつも通り優しい感じでよかった。

 

「ありがとうございます。それでさっそくですが……」

「わかっています。それでは降りてきなさい」

『はい……』

 

車の中から声が聞こえてきた。

声の感じからして優しそうな感じが溢れてくるな。

そしてついに車の中から一人の銀髪の女の子が降りてきた。

その子は私に敬礼をしながらも、

 

「秋月型防空駆逐艦『涼月』です。皆さんを……皆さんをいつまでもお護りできるよう、私……頑張ります。よろしくお願いします!」

「挨拶ありがとう。私がここの鎮守府の提督だ。これからよろしく頼むよ」

「はい!」

 

私は涼月と握手を交わす。

 

「さて、それじゃ私も君と色々と話をしたいところだけど今は我慢しておこうかな。涼月と会いたい子が三人もいるからな」

「もしかして……秋月姉さんに照月姉さん、お初さんですか……?」

 

私の後ろで今か今かとタイミングを待っていた三人がそれで私の前へ出てきた。そして、

 

「涼月! やっと会えましたね! 私も嬉しいです!」

「照月も涼月と会えて嬉しいよー!」

「涼月姉さん……やっと、やっと会えたね……」

 

秋月はなんとか冷静を保って、照月はもう涼月に勢いよく抱きついて、初月はもう目に涙を溜めてそれぞれ喜んでいた。

そしてとうの涼月も三人に会えたことを喜んでいるのか、

 

「私も……私も姉さん達と会えて……嬉しいです!」

 

感極まったのか涙を流していた。

それから少し間、四人で抱きしめ合っているのを私は尊い目で見つめていた。

よかったな、四人とも……。

 

 

 

 

それから少し経過して、

 

「……すみません、司令」

「いや、いいものを見させてもらったからよかったよ。それじゃ涼月、君を鎮守府内のことを案内したいから着いてきてもらってもいいか……?」

「わかりました」

「うん。それじゃまたよろしくお願いしますね」

「はい。それでは私もそろそろ失礼しますね」

 

軍の人はそう言って護送車に乗って帰っていった。

それと秋月達三人が、

 

「それじゃ涼月! あとでまた迎えに来るからそれまで司令とお話を楽しんでいてね」

「はい、秋月姉さん」

「今日はめいいっぱい歓迎するからね!」

「御馳走だな!」

 

そんな感じで三人は先に駆逐艦寮へと歩いていった。

 

「御馳走か……でも三人の事だから質素な感じだろうから後で私もなにかお祝いの料理を持っていくとするか」

「ふふ……提督は姉さん達の事をよくわかっているのですね」

「まぁ、結構長い付き合いだからな」

「そうですか。少し、羨ましいです……」

 

どこか羨ましそうな表情をする涼月。

 

「そんな顔をしないでくれ。涼月もこれからこの鎮守府に溶け込んでいけばいいさ。それに雪風や初霜とかも涼月に会いたがっていたしさ」

「雪風さんに初霜さん達もですか……嬉しいです」

「ああ。だからすぐに馴染めるだろうから安心してくれ」

「はい……改めてよろしくお願いしますね提督」

「うん」

「あっ、それと……」

 

どこか涼月は忙しなく喋り出した。何か聞きたい事でもあるのだろうか……?

 

「軍の人に掻い摘んで聞いた事なのですが……提督は鎮守府内で家庭菜園をやっているというお話は本当ですか……?」

「うん、やっているよ。今ではもっぱら艦娘達に世話は任せっきりだけど私も時期が時期なら色々と収穫の手伝いとかもしているしな」

「そうですか……つかぬ事をお聞きしたいのですがカボチャなどは作っているでしょうか……?」

「カボチャか……うん、作っているよ」

「そうですか。よかった……私、カボチャ料理が少しだけ得意なんです。それでもしよかったらいつか提督に御馳走しますね」

「そうか。楽しみにしているよ涼月。それじゃそろそろ鎮守府内を案内するから着いてきてくれ」

「はい。よろしくお願いしますね提督」

 

それから少しの間、私は涼月を連れて鎮守府内の施設などを案内していた。

その際に色々と艦娘達と何度も遭遇して涼月はその度に関係の濃い子たちとは抱きしめ合っていたのが印象的だったとここに記載しておく。

 

 

 




涼月が着任しました。
これにて私の『捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)』は終了です。




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