【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0218話『鳳翔さんとパーティ』

 

 

 

執務室で資料を見ていた時だった。

執務室の扉が開いてそこから赤城と加賀の二人が入ってきた。

 

「提督、少しよろしいでしょうか……?」

「はい。赤城さんと同じくよろしいですか……?」

「どうした二人とも、そんなにかしこまって……?」

 

私はそう言いながらも二人用のお茶を用意するために備え付けのカップを用意してお茶を注いでいく。

そして二人に出しながらも話を聞く準備を整えた。

 

「ありがとうございます、提督」

「ああ。それでどうしたんだい……?」

「それなのですが……提督は本日は何の日かご存知ですか……? いいえ、この聞き方は変でしたね。ご存知ですよね?」

 

加賀はそう言ってさも私が何の日か知っているという確信を持って聞いてきた。

まぁ、この二人が訪ねてくるんだからおのずと答えは分かってくるというものだな。

それで私は「ああ」と頷きながらも、

 

「今日は鳳翔さんの進水日の日だよな?」

「よかった……覚えていてくれたんですね」

「安心しました……」

 

二人ともそれで安堵の息を吐いているのを見て私も正解してよかったと思う。

 

「それでなのですが、提督には鳳翔さんを少しの間だけでいいのですが連れ出してほしいんです」

「鳳翔さんを……? またどうして?」

「それは……今五航戦や他の空母のみんなにも用意してもらっているのですが空母寮でパーティを開こうと赤城さんと提案したのです」

「そう言う事か。わかった。それじゃどのくらいの間鳳翔さんを連れ出しておけばいいか……?」

「そうですね……午後の三時くらいまではお願いしても構わないでしょうか?」

「午後の三時か。了解した。今はまだお昼過ぎだからちょうどいいだろうしな」

「提督……お願いしますね」

「わかっているよ加賀さん。任せておけ」

 

そして二人は「お願いしますね」と口を揃えて出て行ったのを確認した後に、私は鳳翔さんを空母寮から引き離すために誘いに行くことにした。

この時間だとまだ鳳翔さんは食堂辺りにいるだろうという感じで食堂へと向かうと案の定鳳翔さんはまだ間宮さんや伊良湖ちゃんと話をしていた。

 

「鳳翔さん」

「あら、提督……どうされましたか?」

「ええ。少しの間で構わないんですけど付き合ってもらって構わないですか?」

「まぁ……榛名さんという方がいますのに提督も罪な人ですね」

「いやいや、鳳翔さん違いますから!」

「うふふ……冗談ですよ」

 

鳳翔さんはそれで優雅に微笑んでいるのを見て思った。

やっぱりからかうのがうまいよなぁと……。

 

「それでどこにいかれるのですか?」

「はい。少しの間ですが鎮守府内を雑談をしながら散歩でもどうですか?」

「いいですよ。それでは間宮さんに伊良湖ちゃん、また後で」

「わかりました。それと提督、鳳翔さんの事を泣かせてはいけませんからね?」

「そうですよー。鳳翔さんは私達にとっても大事な人なんですから!」

 

間宮さんからはおおらかに、伊良湖ちゃんからは活発にそう言われたので「大丈夫だよ」と言っておいた。

 

「それではまいりましょうか、提督」

「はい」

 

私と鳳翔さんはそれで鎮守府内を散歩する事になった。

その後に鳳翔さんと散歩をしながらも、

 

「鳳翔さん、最近はどうですか? 元気ですか?」

「はい。みなさんもよくしてくださるので私も気兼ねなく過ごせるので嬉しいですね」

「そうですか」

「そう言う提督はどうなんですか? そろそろ限定作戦も近づいてきましたが準備は平気ですか?」

「はい。備蓄に関してはなんとか言っていますし、西村艦隊や志摩艦隊のみんなも一応の練度は確保できましたので後はみんなを信じるだけですね」

「そうですか。扶桑さん達も最近は張り切っていますからね。見ていて私も元気を貰えるような気持ちになります」

「そうですね。最近は特にみんなは気合を入れていますからね」

 

そう、最近は演習以外にも自主特訓をする子が多く見られるのでみんなそれぞれレイテ沖海戦に向けて意欲を燃やしているんだろうなという思いを感じるからな。

そんな感じで酒保にも顔を出している時に私は鳳翔さんに「少し待って居てもらえますか?」と言って鳳翔さんに承諾をもらって急いで鳳翔さんにプレゼントするものを選んでいた。

事前になにを買うのかも検討していたのですぐに買えることが出来てよかった。

それからすぐに鳳翔さんのところへと戻るのだけど、

 

「提督? なにを購入していたのですか……?」

「まだ内緒ですよ」

「あら。それは楽しみですね」

 

そう言って笑う鳳翔さんはやっぱり気づいているのかな?と思いつつもふと時間を確認するとそろそろいい時間だったので、

 

「鳳翔さん」

「はい」

「ちょっとこれからある場所に連れて行ってもよろしいでしょうか?」

「大丈夫ですけど……どこに行かれるのですか?」

「鳳翔さんにとってもなじみ深いところですよ」

 

少しのごまかしをしつつ私は空母寮へと足を運んでいく。

 

「あの、この先は空母寮のある方角だと思うのですけど……」

「大丈夫ですよ。あっていますから」

「えっと、そうなんですか?」

「はい」

 

そして到着する空母寮。

私は中に入る前に確認を入れる。

 

「誰かいるか……?」

『あ、はい! お待ちください!』

 

するとおそらく龍鳳の声が中から聞こえてきたので「わかった」と答えつつ扉が開くのを待っているとしばらくして龍鳳が扉を開けてきた。

 

「提督! それに鳳翔さんもいらっしゃい!」

「ああ。もう大丈夫かな?」

「はい! 準備はもうできています!」

「あの……提督に龍鳳さん? 話が見えないのですが……」

 

鳳翔さんが少し困惑しているけどそこで龍鳳が鳳翔さんの手を掴んで「ついてきてください!」と言って引っ張っていった。

私もそれで着いていくことにする。

そして居間へと到着すると龍鳳は一気にふすまを開いて、そこには空母のみんなが全員集合していた。

次の瞬間には、

 

「「「鳳翔さん、進水日おめでとう!!」」」

 

と言ってクラッカーを鳴らしていた。

鳳翔さんはそれで少しの間ぼーっとしていたけど次第に状況を飲み込めてきたのか、

 

「あ、あの……提督これって」

「はい。鳳翔さん、進水日おめでとうございます」

 

私は先ほど購入したプレゼントを鳳翔さんに渡す。

 

「あ、あの……ありがとうございます」

「司令官! 抜け駆けはあかんなぁ! うちらもちゃんと準備したんやからな! 鳳翔、受け取ってや!」

「鳳翔さん、おめでとうございます!」

「ひゃっはー! 宴だね!」

 

そう言って続々と鳳翔さんにプレゼントを渡していく一同。

それに鳳翔さんは嬉し涙を流しながらも、

 

「みなさん……ありがとうございます……私、嬉しいです」

 

そして最後に赤城と加賀さんが鳳翔さんの前に来て、

 

「それでは鳳翔さん、私達が準備した食事がありますので日頃の感謝の気持ちも込めて受け取ってください」

「頑張りました……」

「まぁ! お二人が作ったのですか!」

 

鳳翔さんはそれで笑顔を浮かべていた。

普段あまり作る事のない二人がわざわざ作ってくれたのだからなおさら嬉しいんだろうな。

それからはもう結構なパーティを開いたのであった。

終始鳳翔さんは笑顔を浮かべていたので良かったと思う。

金剛と大和もサプライズで登場したのは驚いたな……。

 

 

 




今回は鳳翔さんでした。
空母の皆は全員出せませんでしたがまぁ全員いるから大丈夫ですよね。



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