【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0217話『最上の件と伊勢と日向のからかい』

 

 

 

 

今日は最上が先日からレイテ沖海戦に向けて衣装を整えたという話を聞いたので見に行っていた。

なにやらそれで昨日は朝霜の方が少し様子がおかしい事になっていたので少し見守っていたが、そういえば昨日はあの悪夢の輸送船団壊滅の日だったかという思いでどうにも素直に最上の方にいけなかったけど足柄達のおかげでどうにか落ち着いたのを見てよかったとは思っていた。

そして気を取り直してもう一度最上に行ったら伊勢と日向が最上のところに一緒にいる光景を目撃した。

 

「……素晴らしい格好だぞ最上」

「えへへ……ありがとう日向さん」

「でもこれで改二じゃないんだからまだまだ大本営は出し渋っているようだね」

「そうですけど……気持ち心構えは出来たかなって」

「そうだな……」

 

そんな会話がされていたので私も混ざろうという気持ちになったので顔を出していく。

 

「三人とも。元気そうだな」

「あ、提督! どうしたの?」

「ああ。最上が決戦前におめかしをしたっていうんで見に来たんだけど……そのはちまき、似合っているぞ」

「そうかな? ありがと!」

 

最上はそう言って笑顔を浮かべる。

そして伊勢がそこでずずいっという感じで、

 

「それで提督としてはどうなのさー?」

「な、なにが……?」

「わかっているんでしょう? 西村艦隊の話題だって事。私達は知っているんだからね? 提督は榛名と同じくらい山城の事が好きだってことは」

「それかー……そういえば君らは知っていたのか?」

「ふむ……扶桑と山城関係についてはだいたい周知しているつもりだよ提督。最初にケッコンカッコカリしたのも実は山城だってことは初期組では知っている方さ」

「そうだよねー」

 

三人がそれで少し面白がっている顔をしているけどそううまくは事は運ばせないぞ。

 

「確かに……なにかと大本営は西村艦隊を最終決戦で第三艦隊で突撃させる旨を電文で言ってきているけど、それはそれ……ただ私は信じるだけさ。そしてもし山城がピンチになったら私も出撃するつもりではある。扶桑からも頼まれているからな」

「おー! 提督ってすごいね。少しも恥ずかしがらないでそんな事を言ってのけちゃうなんて。山城も愛されてるなー」

「フフフ……からかうつもりが逆に惚気られてしまうとはな」

「本当だよねー。日向も少し顔が珍しく赤いしね」

《提督は山城さんの事も好きですからね》

 

そこで榛名も顔を出してきたんだけど、日向の目が光ったのを目視した私は今度は榛名がいじられるのを感じたので心の中で事前にご愁傷さまとしか言えないでいた。

 

「いいカモがネギを背負って出て来たじゃないか……」

《え……?》

「そうだね日向ー」

「榛名さん、ご愁傷さまです……」

 

日向と伊勢がニヤリと含みのある笑みを浮かべて最上だけは榛名の事を思って祈りを捧げている。

 

《あ、あの……提督、どういうことでしょうか?》

「いやなー……このタイミングで二人の前に顔を出してしまった榛名が不憫だなって思って……」

 

私にはもうどうしようもできないので榛名を切って捨てた。

そしてさっそくとばかりに伊勢が榛名にいい笑顔を向けてきて、

 

「それでさー、榛名はほんとうはどう思ってるのさー?」

「そうだな。そこは確かめておきたいところだな」

《な、なにがでしょうか……?》

「もう! 榛名はさー、ここぞという時に押しが弱くていざとなったら『榛名は大丈夫です!』って言って我慢しちゃうんだからもっとぐいぐいって感じで提督に迫らないとそのうち山城に提督を取られちゃうぞ?」

「そうだな。あの山城も表面上は提督の事はあまり気にしていないが心の内は扶桑の次には好きという感じだからな。フフフ……いつ榛名との取り合いが起こるか楽しみではあるがな」

 

伊勢と日向のそんな会話を聞いて榛名もサァーッと言う感じで少しだけ顔が青くなる。

これは、真に受けてしまったな。

そしてついには涙目になって、

 

《伊勢さんも日向さんも私をイジメないでください……て、提督は榛名と山城さんを同等に愛してくれますよね!?》

「それは当然だけど、榛名もこの会話だけで動揺しすぎだぞ」

《そ、それはそうなんですけど榛名も急に不安になってしまいまして……》

「不安になるって事は榛名も提督との間に少なからず溝があるって感じているんじゃないか……?」

 

そこに日向が追走した。

それで榛名は《そ、そんな……! 榛名は……》とさらに動揺してしまっている。

そろそろ榛名が可愛そうになってきたので、

 

「日向に伊勢、この辺でそろそろ勘弁してやってくれないか……? 後でなにか奢ってやるから」

「言質は取ったぞ、提督」

「そうだねー。やりぃ!」

「ついでに今日は伊勢の進水日でもあるんだからなにか買っておくとするよ」

「あ、私の事覚えていてくれたんだね。提督、やるねー」

 

そんな感じで二人は榛名も構うことが出来たのか上機嫌で満足そうにその場を離れていった。

残された私と最上はというと、

 

「……あの、榛名さん? あの二人も悪気があったわけじゃないから、そのですね……あ、だとするとなお性質が悪いですね……うーん……」

《わかってますよー……あの二人の話に乗ってしまった榛名もいけなかったんです……もっと気持ちを強くしないとですね》

「そうだな。榛名ももう少し状況にあった対応をしていかないとまたからかわれてしまうからな」

《でも、提督ももっと早く助けてほしかったです……》

「うっ……それは、ごめん」

「あはは。提督も恋愛ごとに関してはまだまだ素人だからねー。山城もこれは大変そうだねー」

「言うな最上。これでも二人とも同じくらい好きなんだからな」

「うん、知ってるよ。きっとこれを聞いてたら山城も顔を真っ赤にしていただろうね。……うん、それを聞けただけでも満足かな? それじゃ僕もそろそろ退散するとするよ」

「わかった。それじゃまた後でな最上」

「うん!」

 

そして私と最上もお互いにその場を離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

……提督は歩いていったね?

よしよし……それじゃそろそろいいかな?

僕は物陰の方に歩を進めて行って、

 

「……だってさ、山城。愛されていてよかったね」

「………」

 

そこには顔を盛大に真っ赤にさせている山城がいたのは僕だけが気づいていた事なんだよね。

うん、いいものを見れてよかったよ。

 

 

 




最後に最上と山城に全部持って行ってもらいました。
うん、私としましては満足ですかね。




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