【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0194話『ドイツ艦のオクトーバーフェスト』

 

 

 

 

今日はなにやら間宮さんのお店が騒がしい事になっている。

特にお酒を嗜んでいる子がよく出没しているという。

今日は何かあっただろうかと私は思いながらも、

 

「なぁ大淀。今日はなにかあったっけ? 甘味処間宮が騒がしいという話を聞いたんだが……」

「あぁ、その件でしたか。今日はドイツの艦の人達が少し遅いオクトーバーフェストを開催しているんですよ」

「あ、なるほど……確かに遅いよな。オクトーバーフェストはやるのは10月の上旬までだからな」

「そうですね。ですが楽しければいいのではないでしょうか……?」

「そうだな……それじゃお昼にでも行ってみるか」

「提督? 午後の仕事に支障が出ない程度にお願いしますよ」

「わかってるよ。大丈夫、少し見に行くだけだから」

 

それで午前中はしっかりと任務をこなしていってお昼になったので私は甘味処間宮へと赴いていた。

しかし甘味処でお酒を飲んでいるというのはそれはそれでどうなのだろうか……?

鳳翔さんのお店でもよかったと思うんだけどな。

まぁいいけどね。

そして私が顔を出すと、

 

「いらっしゃい。あ、提督だったんだね」

「あ、レーベか」

「うん」

 

そこにはオクトーバーフェストのディアンドル姿のレーベの姿があった。

 

「うん。その恰好は似合っているよレーベ」

「ふふ……ありがとう提督。ビスマルクー、提督が来たから案内よろしく!」

「わかったわ」

 

レーベに呼ばれてまたしてもディアンドル姿のビスマルクが出てきた。

 

「よく来たわね提督。提督はお酒が苦手だからなにか摘めるものを用意するわね。さ、席に案内するから着いてきなさい」

「わかったよ」

 

そしてビスマルクに席に案内してもらっている道すがら、

 

「しかし……やっぱりお昼というのも影響して大型艦のみんなが集まっているんだな」

「そうね。甘味処で開いているのもあって子供たちも食事には来てくれているしね」

「なるほど。それが目当てでここで開催しているんだな」

「ま、そんな感じね」

 

見ればディアンドル姿のマックスやプリンツなどがジョッキのビールを景気よく両手で運んでいるのが目立つな。

客層は戦艦や空母が多しと……。

 

「さ、こっちはあまりお酒を飲まない人が座る席だから安心しておいてね」

「ありがとうビスマルク」

「ええ。……それより提督、私になにか言う事があるんじゃないかしら?」

 

ビスマルクにそう言われて少し苦笑いを浮かべながらも、

 

「はは……。その恰好も似合っているよビスマルク」

「そうでしょう? いいのよもっと褒めても!」

 

でっかい暁であるビスマルクがそれで上機嫌になっていたので良かったと思う。

 

「さて、それじゃ何か持ってくるわね。ソーセージの盛り合わせでもいいかしら?」

「お好みで頼むよ」

「わかったわ。少し待っていなさい」

 

上機嫌のままビスマルクは厨房の方へと向かっていった。

それで少し厨房の中も遠目で見てみるとどうやら裏方の方ではグラーフが料理を作っているみたいだな。

 

「……提督、お冷を持ってきたわ」

 

そこにマックスが水を持ってやってきた。

 

「ありがとうマックス」

「いいわよ。…………」

 

ん? なにやらマックスは私の事をじっと見てきているな。

なにかを訴えているようにも感じるんだけど、はて……?

しばらくしてマックスはため息を吐いて、

 

「……はぁ。レーベやビスマルクには言ったのに私には何も言ってくれないのね。まぁ別にいいけれど……」

「あぁ……なるほど。マックスも恰好を褒めてほしかったんだな。大丈夫、似合っているよ」

「そ、そう……ありがとう」

 

マックスはそれで顔を赤くしながらもそそくさと下がっていった。

うーん……やっぱりマックスは恥ずかしがり屋だな。

私は少しそれで和んでいながらも周りを見回してみる。

確かに駆逐艦の子達がよく集まっているスペースみたいだな。

みんなお酒は飲めないから食事の方に手を付けていて楽しそうにしているな。

それで近くにいた皐月に話を聞いてみることにした。

 

「皐月、楽しんでいるか?」

「あ、司令官! うん、楽しいね。特にこのパンがなんとも言えない美味しさなんだよね」

 

そう言って皐月はドイツ産のパイ生地にかぶりついてる。

うん、楽しそうだな。

 

「それじゃ楽しんでいってな」

「うん!」

 

それから他の子達にも色々と感想を聞いている間にプリンツが食事を持ってやってきた。

 

「提督ー。持ってきましたよー!」

「ありがとう、プリンツ。それとなにかを言われる前に言っておくけどプリンツもその恰好は似合っているよ」

「ありがとうございます! ビスマルク姉さまにも可愛いって褒められたんですよー。嬉しいです!」

「そうか」

 

と、そんな時に足元の方から猫の鳴き声が聞こえてきた。

それでプリンツと視界を下げてみるとそこにはビスマルク達が飼っているオスカーの姿があった。

 

「あ、オスカー! ダメですよ。さ、厨房に戻りましょうね」

「ニャー……」

「まぁいいじゃないか。私も猫は嫌いじゃないよ。元の世界ではよく逃げられていたからこうして近寄ってきてくれるのは嬉しいし」

 

そう言ってオスカーの頭を撫でてやる。

気持ちよさそうにしているオスカーの姿にまたしても和んでいる私がいた。

 

「……提督がそれでいいんならいいんですけど、オスカーに食事を与えちゃダメですからね? ペット用の食事はこちらで用意しておきますので」

「わかったよ」

「ニャッ!」

 

するとオスカーは私の膝上に登ってきて丸くなってしまった。

うーむ……どうしたものか。

 

「どうやらオスカーは提督の事が気にいったようですね」

「うん……嬉しいやらなんやらで」

「それじゃお昼の間だけでもお世話をお願いしますね」

「わかった」

 

プリンツはそれで戻っていった。

私はオスカーを撫でてやりながらも食事を開始する。

 

《オスカーちゃん、楽しそうですね》

「そうだな」

 

榛名とそんな会話をしながらも食事を楽しむ。

それとお酒の席の方ではすでに宴会が開かれているから後で注意しておかないとな。

そんな事を思う秋の一日であった。

 

 

 

 

 




オクトーバーフェストをまずは消化しました。
次は誰にしましょうかね。




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