【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0019話『庭園と南雲機動部隊+お艦』

 

 

 

今日は4月28日。

ここで子日をお呼びしたいところだけど言わせてもらう。

今日は何の日? 良い庭の日だよ。

日本庭園って少し憧れるよねー。

うちの実家は普通の家だったからそんな庭なんてなかったから。

 

「榛名。この鎮守府には奥ゆかしい庭とかはないのか…?」

《庭ですか…? そうですね、確か空母寮にはあったと思います》

「あ、イメージがピッタリあったね。

鳳翔さんとか和服の艦娘が多いイメージだからね。空母の艦娘って…」

 

それで本日の任務を確認する。

最近はもっぱらボーキを貯める任務ばかりしているからな。

ゴーヤ達も南西諸島で定期的な任務以外は休ませているから最近は暇をしているのをよく見る。

なんでかって…ゴーヤ達が執務室にやってきて「今日もオリョクルはしないでちか…?」なんて、職業病も真っ青な事を言ってくるほどには暇を持て余しているらしい。

まぁ、確かにそれもそうか。

基本、最近の私は燃料と弾薬、それに高速修復材をカンストしてからかオリョクルは任務を終わらす目的以外ではしていない。

週初めに大量に発生する任務を終わらしたらそれで後は放置しているのだ。

だからろ号まで終わらないのが現状である。

それにオリョクルをやっても大体早くて六人体制を二回出撃交代で一周するくらいには任務は終わっているしね。

遅いときは三週くらいはしてしまうけど…。

 

 

 

 

――――閑話休題

 

 

 

 

なので今回は空母寮に遊び…もとい見学しに行こうと思い至った。

鈴谷の時にもいったけどあそこは他の艦娘寮とは違って和風な建物が多くあるのだ。

弓道場然り鳳翔という居酒屋然り。

よく二次創作で登場する居酒屋鳳翔が空母寮の近くにあったのにはさすがの私も思わず目を疑ったからな。

それで一度中に入れさせてもらうと中には酒好きの艦娘がやはり多くいて他には料理好きの萩風などといった子達が料理を習いに来ている風景も多く見られたのは鳳翔さんらしい。

大規模な作戦が終わった後にはよく夜な夜なここに集まって宴会をしていたという。

なにそれ。羨ましい。

と、居酒屋鳳翔の話はまた今度にして今は空母寮の見学っと。

それで空母寮に到着する。

そこには純和風のような佇まいの寮があった。

 

「あら? 提督、どうされたのですか?」

 

と、そこに早速と言えばいいのだが空母の母である鳳翔さんの姿があった。

 

「鳳翔さん。ちょうどよかった」

「はい…?」

 

それで私が空母寮の中を見学したいという話をすると鳳翔さんは少し顔を赤らめながら、

 

「…提督。さすがに女性の私生活の場を覗こうというのはどうかと…」

「いやいや! 違いますよ! さすがに部屋の中は見ませんから。ただ、空母の寮だから和風な感じなんだろうなという思いがありまして。

他にも空母ならではの嗜みとか見たいなって…」

「………」

「ダメ、ですか…?」

 

それで少し考え込んでいた鳳翔さんは「そうですね」と一言言って、

 

「ちょうどいいです。なんならじっくりと見学をしていってください。皆さんの色々な顔が見れますよ」

 

そう言って鳳翔さんは私の横に並んで案内をしてくれると言うのでありがたいと思ってご厚意に沿う事にした。

それから空母寮の中を見学している途中で緑と橙色の和服を着ている人物たちを発見。

あれは…、

 

「あ、飛龍さんに蒼龍さんですね」

「二人して何をしているんだ? 蒼龍が飛龍を膝枕しているようにも見えるけど…」

「ふふ。おそらく蒼龍さんが飛龍さんの耳掃除をしているのではないでしょうか…?」

「そうなんですか」

 

それで少し聞き耳を立ててみると、

 

「飛龍。どう? 気持ちいい…?」

「うん。そんな感じだよ蒼龍。気持ちいいよ。今度は反対の方を頼んでいいかな?」

「オッケイ。って…飛龍!? か、顔が私のお腹に埋まっちゃってるよ!? しかも気のせいか匂い嗅いでいるでしょう!?」

「そんばこごないぼ(そんなことないよ)…?」

「やだやだー! 飛龍のエッチ! そんなエッチな飛龍には私からも恥ずかしいお返しするよ!?」

「カモン…?」

「やっぱりやだー!」

 

そんな少し甘酸っぱいやり取りが聞こえてくる。

それで鳳翔さんの「おほんっ…」という掛け声とともに私は現実に戻ってきて、

 

「つ、次に参りましょうか提督…」

「そ、そうですね…」

 

飛龍と蒼龍の件は見なかった事にする私達だった。

背後から「提督!? もしかして聞いてた!?」という虚しい叫び声が聞こえてくるが今は聞こえなーい。

そして歩を進めていくとそこには先日も見た弓道場が見えた。

 

「ここが普段私達が稽古をしている弓道場です。最近になって鈴谷さんが新しく入ってきたので中々賑わっているんですよ?」

「うん。それは知っているよ。昨日に鈴谷がやっぱりというべきか執務室に来て愚痴を零していったから」

 

そう。やっぱり龍驤達の稽古が厳しいらしく鈴谷はすぐに根を上げてしまっていたのだ。

それで軽空母になる予定の熊野の部屋に逃げ込んだとか…。

もし熊野が空母寮に来たら鈴谷も少しは落ち着くのだろうね。

 

「そうなのですか。龍驤さん達には優しく教えてくださいと言ってあるんですけど…」

「まぁ、龍驤と瑞鳳は微妙な悩みを鈴谷に抱いていますからね。大っぴらには言えませんが龍驤は主に『この憎たらしいバルジめ!』と鈴谷を弄ってくるらしく…」

「…それに関しましては私も少し思いますけどね」

 

そう言って鳳翔さんは慎ましい胸を触っていた。

…藪蛇だったか。反省。

と、そんな弓道場にまるで弓を体現したかのような人物がいた。

 

「………」

 

狙うはただ一点のみ。

射法八節を綺麗に決めながらもその人…加賀は弓から矢を放った。

放たれた矢は綺麗に放物線を描きながらも的へと命中する。

当然矢は的の中心に刺さっており、隣で鳳翔さんが、「見事です」と言って褒めていた。

続いて加賀の隣では赤城も出て来て、

 

「加賀さん、負けませんよ…」

 

そう言って同じように矢を放つ。

加賀同様に真ん中へと矢は刺さる。

 

「皆中…お見事です、赤城さん」

「まだまだ加賀さんには負けられませんからね。提督も見ているのですから格好悪い所は見せられません」

「…え? 提督? 見ていらしたのですか…?」

 

それで加賀も気づいたのだろうこちらへと赤城とともに近寄ってくる。

 

「うん。二人とも見事な腕だよ。知識がない私でも感動した」

「そう言ってくださると嬉しいですね」

「はい。気分が高揚します」

「ふふ。提督、今日はいい日になりそうですね。二人の射法を見れたのですから」

 

鳳翔さんがそう言ってくる。

確かに。

二人の弓の腕を見れたのもいい体験かもしれない。

 

「…提督。おそらく私と赤城さんも次の作戦では終盤の所で五航戦の二人とともに投入されるのでしょう。

ですからうまく私達を使ってくださいね。必ず勝利をものにして見せますから」

「わかった…頼りにさせてもらうよ。赤城、加賀」

「「はい!」」

 

それで二人は軽く私に敬礼をしてきた。

本日は庭を見たいという思いで来たんだけどこんな景色も見られてとてもいい気分になった一日だった。

もちろん、そのあとに庭を案内してもらったけども。

とっても綺麗な庭があった事をここに記しておく。

 

 




庭なんてあまり関係なかった。
話題作りに利用させてもらいました。


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