【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0186話『白露の秋の味覚』

 

 

 

 

 

今日はもう少しで雨が降り続ける陽気になりそうなので締めとして焼き芋を焼いています!

 

「白露の姉貴! そっちはもういいンじゃないか?」

「まだですよ江風。まだ焦らないの……」

 

江風が目を光らせてあたしの温めていた焼き芋を取ろうとしていたんだけど海風のおかげでなんとか防げたので良かったと思う。ありがと海風!

 

「あ、なにか水物でも持ってきましょうか……?」

「「「いやいや、五月雨(の姉貴)(姉さん)は大人しくしていていいよ……」」」

「なんでぇ……!?」

 

アタシ達が全員で五月雨の水物という単語を聞いてその後に訪れるだろう悲劇を予想してなんとか阻止する。

こういう時に五月雨はここぞという時に焚火に水をぶっかけちゃうとかやりかねないしねー。

 

「五月雨はこんな時って水をこけて焚火にぶっかけちゃうかもだろう? あたいはそう感じたんだ」

「涼風! 思っていても口には出さないのが優しさだよ!」

「うう……そうですよねー。私はそうしちゃいますよねー……」

 

るーるるーと涙を流す五月雨の背中に哀愁を感じちゃうなー。

まぁ、犠牲が出ないうちに対処しとかないとだもんね。だから許してね五月雨。

それから気を取り直して焼き芋も全員分焼きあがったので、

 

「それじゃいただきましょうか白露姉さん」

「そうだね春雨」

「村雨のいいところを見せてやろうかしら……?」

「何をする気だい、村雨……?」

「とっても美味しそうっぽい!」

「焼き芋……おいしそう……」

 

全員に行き渡ったのを見たあたしは声を揃えるように、

 

「それじゃいただきます!」

「「「いただきます!」」」

 

そして白露型全員で一気に焼き芋にかぶりつく。

うーん……この焼けている部分がとっても美味しいんだよね。中に熱が伝わっていて熱いんだけどお芋のまろやかなうまみが伝わってくるっていう感じで。

 

「幸せだなぁ……」

 

あたしはついそんな事を呟いていた。

そんな時だった。

 

「おーい、みんな」

 

そこに提督が何かを持ってやってきた。どうしたんだろう……?

 

「どうしたんだい提督?」

「うん。間宮さんから栗を貰ったからちょうど焼き芋をしているっていう話を聞いたからお裾分けに来たんだ」

 

「ほら」と提督は袋の中に入っている栗をみんなに見せてきた。

それで誰かが言ったのかはわからないけどつばを飲み込む音が聞こえた。

みんなも焼き芋以外も食べたいもんね。気持ちはわかるよ。

 

「今日は栗ご飯がいいかもしれないですね」

「お! それはいいな。海風の姉貴」

 

海風がさっそく今日の献立を考え始めているな。うん、それはいいかもしれないね。

 

「ああ、間宮さんもそれをしようと今頃作っている頃だろうと思うぞ」

「そうなんだ。少し楽しみかもね♪」

「栗ご飯も美味しいっぽい!」

「夕立はなんでも美味しく感じちゃうもんね。羨ましいなぁ……」

「ぽい!」

 

そんな夕立にアタシも少し羨ましいという気持ちを感じながらも、

 

「それじゃ提督。さっそく入れようか」

「まぁ待て。栗は跳ねるから準備をしてしないと食べられなくなるぞ」

 

そう言って提督はなにやら焚火に入れる前にアルミホイルに包んでいた。

確かに跳ねると痛いし勿体ないしだもんね。

しばらくして準備を終えた提督は焚火の中に栗を入れていった。

美味しく焼けるといいなぁ……。

 

「白露姉さん、よだれが出ていますよ?」

「おっと、失敬……」

 

まだ残っている焼き芋を食べつつ栗が焼きあがるのを待っていると、五月雨がなにやらそわそわしだしている。これはもしかして……?

それでこっそりと聞いてみることにした。

 

「五月雨……? どうしたの? もしかしてお腹にガスとか溜まってきていない……?」

「うー……なんでこういう時の白露姉さんは鋭いんですか……? 提督がいる前では恥ずかしいですからどうにかしないとですし……」

「そうだなー……」

 

それで提督の方を見る。

提督は山風の事を構っているようでこちらには気づいていないようだ。

山風も「構わないで……」と言いつつ逆に構ってオーラ全開だし。

だからあたしは名案と言わんばかりに、

 

「提督ー! ちょっと五月雨と一緒にお花を摘みに行ってくるね!」

「ん? あ、ああ……わかった。行ってきなさい」

 

提督は少し顔を赤くしたけど意味が通じで良かった。

それで五月雨と一緒におトイレに行って、

 

「ありがとうございます、白露姉さん……」

「いいって。姉妹の事を助けるのも姉の役目だからね」

 

それから少しして少しスッキリした表情の五月雨の姿があった。

うん、恥ずかしい思いをしないで良かったね五月雨。

 

「それじゃ戻ろうっか。焼き栗が待ってるよ!」

「はい!」

 

あたしと五月雨はすぐに戻っていった。

そして到着してみるとどうやらまだみたいで提督はちょうどアルミホイルを取り出しているところだった。

 

「おーっと! 提督、ちょうどよかった?」

「ああ。今から開くから待っていなさい」

「よかったですー……」

 

それで一安心するあたしと五月雨。

提督は安心したような表情を浮かべながらもアルミホイルを開いていった。

そこにはぱっかりと割れている栗の姿があった。

 

「うわー! 美味しそう!」

「まだ熱いから気を付けて食べるんだぞ。まだ向けていない部分は軍手をつけて剥くように」

 

提督がアタシ達に順番に焼けた栗をアルミホイルに包んで渡してきた。

よし! それではいざ参ろうとするかね!

あたしはアルミホイルを持ちながら器用に残った皮を剥いていく。

そして、

 

「それじゃいっちばーん!にいただきます!」

 

あたしは大きく口を開いて栗にかぶりついた。

そして焼き芋とは違ったうま味が伝わってきて、思わず「うーん!」と唸り声を上げてしまう。

それだけ焼き栗がうまかったという事である。

みんなもあたしのそんな姿を見たのか急いで皮を剥いている。

それから美味しく頂いていた。

そこに提督が、

 

「今日は間宮さんお手製の栗ご飯のメニューだからあんまり食べ過ぎないような」

「提督もそれは同罪でしょー……?」

「確かにな」

 

笑みを浮かべる提督。

そんな提督の笑みもまたいいものだよねとあたしは思った。

そして夕ご飯では栗ご飯を美味しく頂いたのであった。

秋の味覚を堪能中です!

 

 

 




今回は白露を出していきました。
多少五月雨成分も含んでいますね。




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