【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0018話『畑仕事とハイパーズ』

 

 

最近、鎮守府内での余った敷地で私は野菜などの栽培をやっている。

親が余生の嗜み程度に始めた事なのだがそれが本格的にはまってしまい、私も暇な時があったら手伝う事があったくらいにはやった事がある。

そしてこんな世界だから食糧の自給率もやっぱり悪いらしくそんなに大食いはできない。

だから私はまずは農業などの知識を調べながらもまずはきゅうりとかトマトやらを栽培を始めている。

榛名の姿にツナギ姿はどうだろうか…?という感じになってしまうがそこは我慢してもらおう。

まぁ、まだ四月だから種まきをして育つのを待つくらいしかないのだけれどね。

 

農業体験もまぁいいものだよね。

たまに演習くらいしか出番がない武蔵とかが一緒に手伝ってくれたりしてる。

畑を耕すのはやっぱり力作業でそこで「私も手伝おう」と名乗り出てくれたのだ。

そんな耕すことをしながらも一息ついている時に来客がやってきた。

 

「あ、提督。やってるねー」

「お、北上か」

「うん。状況はどうなっているかなってね」

「まぁ、まだ始めたばかりだから何とも言えない状況だな」

「そっか。まぁ、収穫出来たら楽しみにしているよ。きゅうりは美味いからね」

「わかった」

「それより、榛名の姿でツナギってなんか少しいいもんだねー。榛名のイメージはまずないけど」

「そうなんだよな。まだ夏じゃないから日差しもそんなに苦じゃないけど夏でもなったら麦わら帽子だけで耐えられるか分からない」

「武蔵のように真っ黒に焼けちゃうかもねー」

 

そんな事を話していたら榛名が出てきた。

そして、

 

《提督? 夏はしっかりと紫外線の対策をしましょうね? こんがりと焼けてしまったらちょっと私も恥ずかしいです》

「そうか? 逆に健康的でいいと思うんだけどな」

《それでもです》

「わかったわかった」

 

私と榛名がそんなやり取りをしていると北上が実に不思議そうにじっと私達を見つめてきた。

なんだろうか…?

 

「なんか、提督と榛名って良い仲だよねー。

表現的にはいつも着かず離れずに一緒の部屋に同居しているようなもんでしょう?

だったら多少のいざこざですぐに仲が悪くなっちゃうもんじゃないかな…?」

 

北上のそんな例え話をされて私は少し考え込む。

確かにいい歳の男女が一緒にいれば価値観の違いで喧嘩でもしてしまうかもしれない。

それで私と榛名で考えてみる。

でも、すぐに答えは出たんだよな。

なぜかって榛名って甘える時は甘えて、怒る時は怒るけどすぐにお互いに気持ちが通じ合ったらすぐに仲直りをしてしまう。

榛名が一歩引いてしまうっていう事もあるけど、今のところは関係は良好だ。

なぜって思うけど榛名は私に歩を合わせてくれるからだ。

器量の良さがいいと思うんだけど、寛容なんだよな。

 

北上にそんな話をしてみると、少し納得した顔になって、

 

「確かに、榛名ってきまえ上手だよね。提督のしたい事は大体一緒になってやってるし」

《そ、そうでしょうか…? 私もしたくない事ははっきりと断っていますけど…》

「でも、大体許しちゃうでしょう? 提督もだけど榛名にさせたくない事は言わないし」

「当然だろ? 榛名に嫌われたくないし…」

《私こそ提督にもし嫌われてしまったらもう表に出てこれません…》

「そんなところだね。二人ともお互いに歩幅を合わせているから今のような調和が取れていると思うんだ」

 

そんな北上の結論に確かになるほどと納得をした私と榛名。

そんな時だった。

 

「北上さーん!」

「あ、大井っちの声が聞こえてきた。こっちだよー」

 

そこに北上を探していたのだろう大井がやってきた。

 

「探しましたよ北上さん。これから間宮で甘味でもいかがですか?」

「いいねー。あ、でももう少し待ってもらってもいいかな。提督が畑仕事を終わらせたら一緒にいこう?」

「いいですよ北上さん。………提督? 北上さんに迷惑かけていませんよね?」

「ああ、迷惑はかけている節はないよ」

「でしたらいいんです。あ、そのツナギ姿………榛名さんの姿ですけど似合っていますよ」

「ありがとう」

 

大井にもこの姿を褒めてもらいそれから今日の畑仕事を終わらせて今日はこのまま甘味処間宮に二人と一緒に行くことになった。

その際、

 

「ですが、提督は私達をあんまり兵器として見てくれないですから私としても微妙ですけど、でも嬉しいです」

「突然何を言い出すんだ、大井。確かに君達艦娘は言い方は悪いけど兵器だ。

だけど同時に人間と同じように一緒に生きているんだから兵器としてだけで見たら失礼だろう?」

「…そうですね。でも、久保提督にも習ったと思いますがこの世界の提督は私達艦娘を兵器としてだけで運用している鎮守府もあると聞きます。

ですから、私達を同等の目で見てくれる提督の存在はとてもありがたいんですよ?」

 

そして大井は小声で、「………そうでなければとっくに私はもうこの指輪は外しています………」と、ケッコンカッコカリの指輪を撫でた。

そんな大井の本音を聞けたようで少し嬉しい気持ちになりながらも、

 

「…ありがとう、大井。君の気持ちを無下にしないようにこれからも君達と対等になって頑張っていくよ」

「…ん。ありがとね、提督」

「わ、私も提督のそんなところが…その…」

 

北上の素直な感謝の言葉はしっかりと聞き入れて、少し小声になって照れてしまっている大井の声は今回は聞かなかったことにしておく。

 

「それと、提督。多分この世界での戦いももうすぐ来ると思うからさ。

だから存分に重雷装艦の私と大井っちの活躍に期待していてよ。

ハイパーズは最強なんだってこの世界でも教えてあげるんだ」

「わかった。使う時が来たら存分に期待しておこう」

「うん!」

 

それで北上は笑顔になった。

それと最後に間宮に入る前に阿武隈に遭遇して北上がやはりというべきか阿武隈の前髪を弄って阿武隈に怒られていた。

 

「も~! 提督、見ていないで北上さんを止めてくださいよー!?」

 

阿武隈。今回はオチ要員にしてしまいすまない…。

 

「聞いてますか~!?」

 

阿武隈の虚しい叫びだけが響いてきた。

 

 

 




阿武隈のオチ要員の安定度。

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