【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0148話『春雨の頑張り』

 

 

 

 

先日に宣言した通り、嵐はリランカ島で嵐を巻き起こしてきたためにすぐに練度は70へと達したことになった。

よって私は春雨を旗艦にして、萩風を最後尾に置いて演習を行っているのであった。

 

「それじゃ春雨。当分の間だけど旗艦でよろしく頼むな」

「はい! ふつつかものですがよろしくお願いします、司令官!」

 

そう言って改になってからは持たなくなったであろう飯盒を持ちながら私に頭を下げてくる春雨。

いや、春雨は癒しになるねなにかと仕草が可愛いから。

そんな事を思っていると、

 

「それで……その、司令官。私は今日はなにをすればよろしいでしょうか……?」

「ん?……ああ、そうだね。そういえばうちでは秘書官は大体が大淀が務めちゃっているからなにをすればいいのか分からないか。それじゃそうだな。一緒に資料の整理でもするか。大本営に提出する資料がまだまとまっていないから」

「わかりました! 春雨、頑張ります!」

 

そんな感じで春雨と私は色々と残っている資料を纏め始める。

と言っても大方の資料はすでに終わっている為に後は間違いがないかの点検くらいなんだけどね。

大規模作戦が終わった後はこの作業に追われることが多いから手伝ってくれる大淀達には本当に感謝している。

そんな時だった。

執務室の扉が開かれて独特の語尾を付ける子が部屋に入ってきた。

 

「提督さん。それに春雨も頑張っているっぽい?」

「あ、夕立姉さん」

「夕立か。どうした?」

「うん。今日は春雨が提督さんと一緒に色々と頑張るっていう話だから、だったらって思って手伝いにきたっぽい!」

 

夕立はそう言ってわーいという仕草をしながらも春雨に抱きついている。

 

「やっ……夕立姉さん……体を弄らないで……!」

「春雨はとってもいい匂いがするっぽいからいつまでも抱きしめていたいっぽい……」

「夕立、姉さん……」

 

それでどこかうっとりとした表情をし出す春雨。

なんだ? 普段この二人はいったいなにをしているんだ……?

ただの姉妹の光景には見えないんだけど。

どこか百合百合しいな。

それは榛名も思ったのか、

 

《どこか比叡お姉さまと金剛お姉さまがじゃれついているのを見ている気分です……》

「ああ、納得だな」

 

私も見ている分には飽きないけど、仕事が進まないのをどうかと思うので一度「おほんっ」と咳払いをした。

それで春雨もやっと正気に戻ったのかはっとした表情で、

 

「ゆ、夕立姉さん! 仕事ができませんから……!」

「残念っぽーい……いつもはもっと甘えさせてくれるのにな」

 

それで夕立はしぶしぶだけど春雨を解放した。

うん……夕立。君はもしかしてそっちの気があるのかい?

私も思わず気になってしまうではないか。

 

「まぁ、いいか。それじゃ夕立、君も資料まとめを手伝ってくれ」

「分かったっぽい! 夕立も頑張るっぽい!」

 

それで三人で資料まとめを開始して午前中にはなんとかそれも終わりの目途がついた。

それでお昼時になったので、

 

「ありがとう、二人とも。それじゃこれから一緒にお昼でも行くとするか?」

「わーい! 提督さんとのおっ昼ーおっ昼ー♪」

「嬉しいです!」

 

二人も楽しそうなのでいいとするか。

それで三人で食堂へと向かうとそこで時雨達とも遭遇する。

 

「あ、提督。今日は春雨が秘書官で頑張っているって聞いたんだけど夕立も一緒にいたのかい……?」

「ああ。手伝いに来てくれたので予定より早く仕事が終わったよ」

「そうなのかい。夕立もえらいね……」

「もっと褒めてっぽい!」

 

それで時雨に頭を撫でられて嬉しそうに表情を綻ばせる夕立。

と、そこに春雨もおずおずと、

 

「あの……時雨姉さん。私も……」

「ん? わかったよ、春雨」

 

それでもう片方の手で春雨の頭を撫でる時雨の手に癒されるような顔をする春雨。

どこか綾波のようなセリフと口調で、

 

「はぁー……癒されますぅ……感謝ですねー」

 

と、呟いている。

それでツッコミを入れたかった。

見ているこっちが癒されるわ!と……。

実際、時雨と一緒にいた村雨と白露もそんな光景を見て癒されているのか表情がうっとりとしていたし……。

それでその後は白露型のみんなと食事を一緒に摂って色々と楽しませてもらった。

この五人の中では一番春雨が年下なので特に可愛がられているんだろうな。

見ていて本当に飽きないからな。

 

「白露がいっちばーん!なところを見せてあげるからね! 春雨!」

「はい、楽しみです。白露姉さん」

「春雨……? 白露姉さんの無茶に付き合わなくていいからね?」

 

そんな白露と春雨の会話に村雨がため息を吐きながらそう言っていた。

それに白露が「なんだとー!」と叫んでいたけど村雨は相手にはしていなかった。

そして食事が終わったのか時雨と夕立がまたしても春雨に抱きついていて、なんというか……その御馳走様ですと言いたい気分だった。

何か本当に仲が良いなこの姉妹は。

今ここにはいない五月雨や改白露型の面々とも仲はかなりいいし。

それでもそんな楽しい時間もあっという間に過ぎて行って、

 

「それじゃ姉さん達、すみません。私、司令官の手伝いがありますので」

 

それで時雨達は「わかった」と言って先に戻っていった。

だけど少し心配になったので、

 

「春雨、よかったのか……? 無理に私に合わせないでいいんだぞ?」

「いえ、大丈夫です。姉さん達とはいつでも会えますけど司令官とは中々接触する時間が掴めませんからむしろ一緒にいたいですし」

 

そう言って笑みを浮かべる春雨。

そんな顔をされたら断れないじゃないか。

自慢じゃないけどうちの艦隊の子達は金剛を筆頭に私と一緒にいたいって言う子が結構いるから私としては役得な気分なんだよな。

これもまだもとの世界で大事にみんなを育てていた恩恵なのかもな。

ブラック鎮守府のように毎日のように捨て艦戦法をしているプレイヤーはもし私と同じようにこの世界に来てしまったとしてもここまで艦娘達に好意を寄せられないと思うし。

 

「そうか。それじゃ午後も頑張るとしようか」

「はい!」

 

それで私と春雨は午後になったとも日が落ちる頃合いまで一緒に事務仕事を頑張っていた。

そしてやる事も無くなったのか、

 

「それじゃ司令官。その、お夕飯は私が作りましょうか?」

「いいのか?」

「はい!」

 

それで春雨は元気よく私の部屋にある台所で食事を作り始めた。

だけど出てきたのがお約束というか、

 

「春雨……別に無理して作らなくてもいいんだぞ?」

「だ、大丈夫です……」

 

そう、出てきたのは春雨特製の麻婆春雨だったのだ。

 

「そうか。それじゃ頂くとするけど……」

「はい。召し上がってください」

 

一緒に食べたいのだろうけど最初は私の感想を聞きたいのかどこか真剣な表情で見てきたので私は先に食べさせてもらった。

そして、

 

「うん、美味しいよ春雨」

「よかったです。どんどん食べてくださいね!」

「わかった」

 

それでお夕飯は春雨と一緒に楽しんで食べて本日も特に問題なく終わっていくのであった。

 

 

 




今回は春雨を書いてみました。
姉妹たち間では春雨は可愛がられていると思うんですよ。
そして夕立とはちょっと違う雰囲気も醸し出してほしいところデスネ。



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