【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0135話『Richelieu着任と以前にあった視察話』

 

 

 

今日は前段作戦が終了したという事で大本営からリシュリューが贈られてくる予定になっている。

それでコマンダンテストも執務室でそわそわしていた。

 

「提督……わたくし、とても今嬉しい気持ちです。ようやく祖国から新たに仲間がやってくるのですから……Je suis donc très heureux(だからとっても嬉しいです)

「そ、そうか……」

 

とにかくフランス語が分からないけどコマンダンテストが喜んでいるのだけは分かったのでよしとする。

 

「とにかく、そろそろ大本営から贈られてくると思うからコマンダンテストは正門まで向かっておいてくれ」

Oui, je comprends(はい、了解しました)

 

おそらく了解の意だと思うけどそれでコマンダンテストは執務室から出ていった。

しかし……、

 

「やっぱりフランス語は難しいな。まったくわからない」

《そうですね。榛名も全然分かりません》

 

私と榛名は共通の認識だと分かったので互いに海外艦も増えてきているのでわざわざ日本語を喋ってくれるみんなに甘えないでそのうち勉強しようかという話になっていた。

そしてしばらくして執務室の扉を叩く音が聞こえてくる。

 

「どうぞ」

『失礼します』

 

声はコマンダンテストの声だろうな。

そして気配から察してもう一人いるな。

だとすると……。

そして私の予想通りに執務室にコマンダンテストと一緒に似ているけど違う子が入ってきた。

 

Je suis vraiment ravie de vous rencontrer amiral(提督にお会いできて光栄です).お逢いできて嬉しいです、amiral。戦艦Richelieu、まいります」

「ああ、歓迎するよ。私の鎮守府にようこそ。リシュリュー」

「はい。……しかし、コマンダンテストの言う通りamiral、あなたも艦娘なのですね」

「ああ、もうその件を聞いたのか。それなら話が早いな。榛名」

 

私は榛名を呼ぶ。

そして榛名がみんなに見えるように姿を現した。

次にはリシュリューに挨拶をする。

 

《今は提督と一緒の身体を共有していますが、戦艦榛名です。リシュリューさん、よろしくお願いしますね》

「オー……ハルナ、よろしくお願いします。それにしてもとても神秘的ね」

「そうでしょう、リシュリュー。だから提督はわたくし達と同じ視線で向き合ってくれるのです」

「そのようね。楽しくなりそうだわ」

 

それでリシュリューは嬉しそうに笑顔を浮かべていた。

よし。まずは掴みは大丈夫だったようだな。

 

「それじゃコマンダンテスト。リシュリューを戦艦寮まで案内してもらっても構わないか?」

「分かりました。それでは行きましょうか、リシュリュー」

「ええ。案内よろしくね。コマンダンテスト」

 

それで二人は仲良く執務室を出ていった。

そんな二人を見て思った事は、

 

「二人を見ているとまるで姉妹のようだな」

《そうですね。それに榛名の事もすぐに受け入れてもらえてよかったです》

「そうだよな。たまに何度か視察に来る他の鎮守府の人は榛名の事を不気味そうな視線で見てくるからな」

《あの時は少し悲しかったですね……》

「まぁ、それだけどその提督の同伴の艦娘に睨まれていてすぐに謝ってきたから怒るに怒れなかったんだよな」

《はい。やはり艦娘の方たちはすぐに分かってくれるようで安心しました》

 

それで榛名は表情を綻ばせていた。

そして私はその提督に内緒で榛名の事をどう思ったか聞いてみたんだけど返ってきた言葉は、

 

『どんな形であれ提督とともに過ごせるのですから私は羨ましいと感じました。それに比べてうちの提督と来たら手が早いくせに鈍感で……』

 

と、いつの間にかその艦娘の愚痴が始まったのでどうしようかという展開になったのはどうしたものかという感じだった。

うちの鎮守府に視察に来る提督は大体は私に好意的な視線を向けてきているので助かっているんだけど、たまに柳葉大将が一緒に同伴してくるとある提督は柳葉大将に信用されていないのか四六時中柳葉大将に監視されていたのを覚えている。

そしてたまに視線が緩くなると途端に私に卑しい視線を向けてくるからたまったものではなかった。

男性視点では分からなかった事も女性になって初めて分かる視線というのを実感できた思いだった。

それでセクハラでもしてきそうな動きをしていたのでどう対応しようか迷った時にすぐに柳葉大将が気づいてその提督の腕を掴んで、

 

『すまんな、榛名提督。こいつはなにかと欲望に忠実な奴なのでな。儂が同伴しないと視察もまともにできないからな』

 

と言って結局はその提督は終始どこか悔しそうに帰っていった。

それで視察とは一体なんなんだろう……?という思いに駆られたものだ。

私と私の艦娘達と鎮守府は異世界から来たからと言ってパンダではないのである。

だからもっとまじめにいつも通りに視察をしてもらいたいものであった。

そんな事を思い出して、

 

「今度、視察してくる提督のためにマニュアルを作成した方がいいかもしれないな……」

《そうですね。私達の鎮守府はどこかしら軽い目で見られている節がありますからね》

「ああ。この鎮守府は憲兵さんとかそう言った役職の人が一切いない珍しい鎮守府でもあるからな。だから今度柳葉大将に相談してみるのもありかもしれないな。

みんなは表立って反対はしないだろうけど部外者をこの鎮守府に少しでもいれたら不安がる子が多そうだから。

それとは別として酒保に女性の人だけを限定して雇ってはいるからみんなはなんとか平気だし、もし憲兵さんをいれるとしたら女性の人だったらみんなも安心するだろうしね」

《おそらくは……。みなさんも分かってはいると思うんです。自分達だけでは鎮守府の運営は回らない事を。ですけど同時に怖いのだと思います。異世界からやってきた私達を変な視線で見てくる人も少なくないですからどうしても部外者をいれると萎縮しちゃうんだという感じで……》

「難しいものだな……」

《はい……》

 

榛名とそんな会話をしながらも私は別の思考では後段作戦について考えていた。

今後のことも大事だけど今は大規模作戦にも力をいれないといけないしな。

頑張らないと!

 

 




書かないところで実は何度か視察は来ていたということを書いておきました。
うちは日常メインなので書いている話だけの裏では実はこんな事もあったんだー程度の認識で構いません。
新たなオリキャラを鎮守府に入れるかは今後考えていきます。




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