【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0121話『如月と睦月の提督慢心事情』

 

 

如月は睦月とともに執務室へと向かっていた。

その道中で、

 

「ねぇ、睦月ちゃん?」

「なぁに? 如月ちゃん……?」

「そろそろ大規模作戦が近づいてきたじゃない?」

「そうにゃし! だから睦月も輸送作戦をがんばるにゃしぃ!」

 

そう言って「おー!」と拳を突き上げる睦月。

それを見て如月は「あらあら、睦月ちゃんは元気ねぇ」と言って頬に手を添えていた。

事実、輸送作戦は睦月型が有利なのは変わらない事実なのである。

燃費はいいし最近になって文月も改二になって大発動艇を載せられるようになって攻略の幅が広がった事だし。

だけど如月が心配しているのはそこではなかった。

 

「でも最近司令官は油断をしているんじゃないかしら……?」

「およ? なんで? 如月ちゃん?」

「だって、資材はカンストしたからいいもののまだまだ資材が減るのを怖がっちゃってあまり出撃しなくなったじゃない……?」

「そうかなぁ……? 任務分は出撃していると思うけど……」

「そうなんだけど大抵は潜水艦の子達で事足りちゃうじゃない?」

「そうだね。うちはゴーヤちゃんやイクちゃん、イムヤちゃん、はっちゃんの四人が六人ずついるから二回出撃したら次の子に交代って感じでやり繰りしているから周回はスムーズでいいんだよね」

「そう……だから潜水艦の子達の練度ばかり上がっていっちゃって、それに対して私達駆逐艦の練度上げはほぼ演習で済まされちゃうものね」

 

そう、最近の演習風景は大体が戦艦二隻、空母、軽空母一隻ずつ、駆逐艦二隻でやり繰りしている為にたまに負ける時はあるけど大体は勝利しているのだ。

 

「司令官が言うのはまずは駆逐艦を全員練度70まで上げてから後の事は考えるそうだけど……いつになるのか分からない話だから少し心配よね」

「にゃしぃ……睦月達はほぼ遠征で大発動艇要員として出ずっぱりだから練度はかなり上がっているけど睦月達を含めて練度90以上の駆逐艦の子達はまだ合わせて、ひぃふぅみぃ……」

 

睦月が指でわざわざ数えるくらいしかいないのは丸わかりである。

それで計算が終わったのか、

 

「わ! まだ14、5人くらいしかいないね!」

「そうなのよ。後は大体70から80代の間がほとんどだから……最近熱心に駆逐艦の子達の練度を上げているけどまだ32人くらいは低練度の子達がいたと思うわ」

「でもでも全員で確か今の駆逐艦の子達の数は85人だから十分充実してきた方じゃないかなぁ……?」

「まだまだ甘いのよ。さっきもいったけど資材が余るほどあるなら少しくらい本格的な練度上げに消費してもいいと思うのよ」

 

それで如月は困り顔で腕を組んでいた。

だけどそれでももうそんな猶予はないこともわかっている。

だってもう後2、3日したら大規模作戦が始まってしまうのだ。

攻略だけならまだしももしも新艦娘を救出するという名目の掘りで沼ってしまったらどれほどの損害が出るかもわからないからだ。

前々回の作戦の伊13ちゃん掘りでそれはもう十分味わっているからできるだけ資材は満タンにしておきたい気持ちも分かっている。

 

「……そう考えると如月達が考えているよりもっと司令官は深く考えているのかもしれないわね」

「およ? 如月ちゃん、なにか話をいきなり飛ばしちゃったね」

「あら……。ごめんなさいね睦月ちゃん。ただ掘りでの被害も考慮しているとやっぱり臆病でもいい、万全の態勢で挑みたいという気持ちも分かっちゃったのよね」

「そうだねぇ。昔は提督も少ない資材でひぃひぃ言っていたからね」

 

睦月は昔を思い出しているのだろう。苦い顔をしていた。

まだ資材が行って5桁くらいがやっとの時代。全体的に低かった練度、足りない装備、お目当ての艦娘がドロップせずに阿鼻叫喚する様など……。なんとかそれでも資材が底をつきそうになるくらいにはなんとか全員手に入れてイベントも丙作戦でクリアしていった。

この世界に来るまで丙作戦に甘んじていたために甲作戦になかなか挑めなかった。

だけど大本営のお達しで甲作戦で初めてクリアできたことなど……。

睦月は昔から最近の事までをざっと思い出していて、

 

「今までかなり苦労したにゃしー……」

「そうよねぇ……」

 

それで二人して溜息を吐くまでが定番のやり取りだったりする。

と、そこに背後から気配を感じた二人。

なにやら嫌な予感がしたのでおそるおそる振り返るとそこには少し複雑そうな表情をした提督の姿があった。

 

「あっ、その、司令官……」

「提督……。にゃ、にゃしぃ……」

 

二人は思わず言葉に詰まってしまった。

この表情からしておそらく二人の会話は聞かれていたのだろうと悟る。

そしてしばらく無言の三人。

少しして、

 

「ごめんなぁ……頼りない提督で」

「そ、そんなことはないわ!」

「そうにゃしぃ! 提督はとっても頑張ってるよ!」

「いや、さっきの二人の会話をたまたま聞いちゃってな。胸に刺さる刺さる……」

《提督……大丈夫ですよ。二人は悪気はないですから》

 

榛名のフォローが入るがそれでもダメージは大きいらしくまだへこんでいるようであった。

それでどう声をかけていいか分からない二人だったが、

 

「だけど、これからも君達に心配かけないように頑張っていくから。だから着いてきてもらってもいいか……?」

 

そう提督が二人に言った。

それで如月は少し安心した表情になって、

 

「ええ、もちろんよ。司令官がダメになりそうだったらいつでも甘えてくれてもいいですからね?」

「睦月も睦月も! 提督のことを慰めるにゃしぃ!」

「ありがとな二人とも」

 

それで二人の頭を撫でる提督。

それで嬉しそうな表情を浮かべる睦月と如月。

 

「まぁ、駆逐艦問題が解決したら順次上げていこうと思っているよ。だからそれまでなんとか頑張ってみる。大規模作戦が終わったら資材の残り次第では練度上げを本格的にしてもいいと思っているしな」

「それじゃ睦月も遠征を一生懸命頑張るからね!」

「ええ。如月にお任せくださいね」

「ああ、十分期待しているよ。………ところで二人はなにか私に用があったんじゃないか?」

「「あっ!」」

 

それで二人は本来の話をするために提督と色々と話し合うのであった。

鎮守府の日常は大規模作戦が迫ってきていても通常運営である。

 

 

 




昔は本当に辛かったですね。
もうあの頃にはあまり戻りたくないという思いです。
結局主砲も改修していないしどうしよう……?
まぁなんとかなるか。
それとなんとか大和の進水日にカッコカリ間に合いました。



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